表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/114

ナイロン

「………。これは…やばいね」


 いやーわかっちゃった。あいつが何をしようとしてるのか。


 多分だけど今倒した隊はナイロンがいつも自慢していた隊ではない。第二隊か、ただちょっと強かった者を集めただけの隊か、どっちかだ。


「そして本命はあいつの後ろに隠れている」


 魔力反応が多数、全員ステータス8000オーバー。でもまだなんか忘れてる気がする。これじゃ手札にしては弱すぎない?戦線を突破はかろうじてできるかもしれないけど、時間がかかってしょうがない。


「でもとりあえずはあいつらを引きづり出さないと」


 なのでボクはもう一度剣を抜いた。


「<威力増加><範囲拡大>」


 フロレントに擬似的な身体強化魔法をかける。魔法が再度込められた剣は結構な範囲で敵を切り裂いた。


「おー。結構死んだね。これでナイロンが反応するはずだけど……」


 もう一度ナイロンの方を見てみる。案の定、顔が引き攣っていた。顔から汗が出てる。


「あはは、無様だねー。ボク1人にあんなに焦るなんてさ。………でも動かないのか」


 奴は焦ってはいたが動く気配は全くなかった。


 このまま焦れていてもしょうがないと判断し、ボクから出向くことにした。


「身体強化」

 

 自分の脚力を上げて一気にナイロンのいるところまで移動する。


「君がナイロンで合ってる?」


「な、何者だ⁈」


 警戒したナイロンが剣を腰から抜き、ボクに向けて構える。


「ボクはただの魔王軍の者だけど……」


「ここまできたことは驚きだが、数は1人。運が悪かったな」


「そうかな?」


「見えないのか。残念な奴だ。俺のそばには強者が何百人といる。お前ら、こいつを殺せ」


「「「はっ!」」」


 そう言ってボクを囲み始め、殺しに来る。………でも、そんなのは無意味だった。


「な、なぜだ!なぜこいつには攻撃が効かないんだ!」


 何回も切りつけられるけどボクからすればただのじゃれあいだった。


「それは簡単な話じゃない?君たちのステータスが弱すぎるんだよ」


「私たちのステータスが……?」


 意味がわからないと言ったような顔をする兵士たち。確かにこいつらは強いかもしれないけど、ボクはもっと強いし。


「たしかに、一般的に見たら強いかもしれないけどさぁ、ボクから見たらみんな同じなんだよね。あ、ナイロン君、君もだよ?」


「俺をこいつらと同じにするな!俺は!王国十二騎士第七席『謀略』のナイロンなんだぞ」


「だね。でもステータスいくつよ。せいぜい10000とかじゃないの?」


「そういうお前は」


「ん?感じる方が早いと思うけどな。ちょっと待ってね。<偽装解除>」


 ボクは自分のステータスを全開放した。もちろん、身体強化も載せて。


「ヒイッ!」


 思わず後ずさってしまっている。


「ほらね、感じる方が早いでしょ。どう?ボクのステータスの味は」


「ば、化け物だ……。これは…ヴェロスト様とどっちが…」


「実力差がわかったところで君たちはもういらない」


 この場にいたナイロン以外の人間を始末する。


「で、ナイロン君。君にはいくつかしゃべってもらいたいことがあるんだけどいいかな?」


「……いいぞ」


「快諾してくれて助かるよ。じゃあまず1つ目、この戦場に君以外の十二騎士はきてる?」


「俺だけだ」


「なら次。勇者はこの戦場にいる?というか今戦に出てる?」


「ここにはいないが出ているぞ」


 そっかー。ナイロン以外の収穫は無しかなー。勇者も他の十二騎士もいないなら目立つような戦果を魔王様には報告できないし。


 ボクがそんなことを考えてぼーっとしていると、ナイロンは会話している隙に忍ばせてあった転移石を使って逃げようとした。


「あ、ちょっと!」


 ボクがそれに気づき急いで転移席を持っていた腕ごと切り上げる。


 一歩遅かったか?と思ったがぎりぎり間に合っていたようだ。体が半分ぐらい転移したところで転移がキャンセルされていた。


「あー、よかった間に合って。で、ナイロン君。最後に質問いいかな」


 ナイロンは転移に失敗したからか、明らかに焦った様子で冷静さを保てていなかった。


「ん?ちょっとー?」


「なあ、頼むから逃してくれないか。俺にだって大切な人がいるんだ。な、お前にもいるんだろ。だからさ」


 急にへりくだる態度で見逃してくれと懇願してもなー。


「えー、それはボクの質問に答えてもらったらかな」


「言ったな!なんでも答えるから」


「じゃあ今の十二騎士の面子。教えて欲しいんだけど」


「お前が名前を知っているかはわからないが上位は基本変わっていない!変わったのは第五席によくわかんねえ女が入ってきたぐらいだ」


「その女っていうのは?」


「アクアとかいう剣士だ。本当に強くて俺じゃ歯が立たなかった」


「へー、それだけ強いんだ。ステータスは?」


「それは知らねえ。ステータスは軍人にとって命の次に大事なものだ。いくら同僚だからといって見せてくれるわけではない」


「なるほどね。ありがとう。助かったよ。で、なんだっけ。王都に帰りたいの?」


「ああそうだ。言う通り情報を渡したんだからいいだろ?逃してくれよ…」


「そうだね……せめて返してあげようか。この転移石、まだ使える?」


「ああ、使えると思うが…」


「ならこれ使って帰らせてあげるよ。君の首だけでもね」


「は?」


 その言葉がナイロンの最後の言葉となった。


 ボクは首をチョンパして、その首を持ち上げた。


「約束はしたし、首だけでも返してあげるか」


 ボクはその首を転移石を使って王都に返してあげた。


「多分だけど、王都にいる奴ら、びっくりするだろうなー。反応を見れないのが残念だよ」


「じゃあボクはまた乱戦のとこに戻りますか。数では全然負けてるからここから本陣壊滅もあり得るし」




悲報:ナイロン、1話で退場

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ