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ガーディアンデビルズ〜学園治安維持の会〜  作者: トミロン
第2部 天才ゲーマー&プログラマー比企新斗(ひきにいと)編
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第99話 ミルクのピンチに琢磨現る!

 ヒッキーとミルクの誓いのキスの寸前で琢磨が現れる……はずだ。彼はヒッキーに敢然と立ち向かう……という流れだ。多分。それともやっぱりミルクがまた拷問でもするのか?

 これを見てミルクは唖然。

「(えっ、今の強君とくのちゃんだよね? 私を助けに来たんじゃないの? う〜っ! ヒッキーにキスされるまでに助けに来なかったら、今度はどんな拷問がいいのかしら?)」


「釜茹で、水責め、八つ裂き……久野一恵のもがく顔が見たい。剛力強も同罪ね……」

 と不穏な事をぶつぶつと呟くミルク。ふと、先程一緒に入浴したくのいちのバストが頭に浮かぶ。

「あんな粗末の胸の女は、う乳首よ、う乳首!」


 その時式場の二階のバルコニーのガラス戸をドンドン叩く音がする。

 ミルク、ヒッキー、シスター、シェフ、機械メイドが一斉に目を向ける。


「ミルクちゃん!」

 とガラス戸越しに叫ぶ琢磨。ウェディングドレスに着替えているミルクとは異なり、服は先程の浴衣着のままである。

「この扉は特殊硬化ガラスで出来ています。いかに切磋琢磨様といえども侵入は不可能か、と」


 シェフのセリフをよそに、琢磨はガラス戸に付いているジッパーを開けて悠然とチャペルに入ってくる。

挿絵(By みてみん)

「琢磨さん、著作権、著作権〜!」

「このガラス戸がチャックで開く様になっているとは知りませんでした。なんの特殊能力も無い僕ですが楽々入ることが出来ました」

「なんか展開がドラマチックじゃなくて〜段々グダグダになってきてるわ〜」

 取り敢えず、くのいちのう乳首はお預けの様だ。


「リラックスモードはこれにて終わりだよ。今からここはバトルモードへと移行だ」

 とのシスターのアナウンス。


「琢磨さ〜ん!」

「ミルクさん! 僕は新郎の試着室で機械メイドに突然すまきにされて久慈川に流されていました。戻るのが遅れてすみません」

「やっぱり来てくれたんだ〜」


 琢磨はヒッキーを指差し、睨みつける。

「僕の大切なミルクさんの貞操を奪ってあんな事やこんな事をしようと画策しているのは比企新斗(ひきにいと)君、君だったんだな! こうなったら僕と勝負したまえ!」

「こんな勇ましい琢磨さんを見るのは初めて〜。感動しちゃう〜!」


「琢磨様、よくぞ生きて戻られました。お召し物が大分濡れているご様子。ざっとですがお乾かし致します」


 機械メイドはバスタオルとドライヤー、ヘアブラシを手にして琢磨の体裁を整える。敵なのに変なところで律儀である。


 さっぱりした琢磨。彼はテーブルの両側に椅子を並べようとする。するとシェフがそれを手伝ってテーブルと椅子を綺麗に並べる。

「これはどうもすみません」

「いえいえ、これからも当ホテルを、ごひいきに、と」


「琢磨はシェフの言葉に一瞬ハッとするがすぐに気を取り直してヒッキーに問いかける。

「では比企君、ここに掛けて下さい」

 と琢磨は自分が座っているテーブルの向かいの席を手で示す。

「あ、これはどうもご丁寧に」

 とヒッキー。

「ミルクちゃんも比企君の隣に座って下さい」

「わ、わかりました」


 当惑気味のミルク。ミルクとヒッキーが隣り合って着席すると、向かいに着席した琢磨がヒッキーに問いかける。

「まずはあなたが結婚したいという動機を聞かせて下さい」

 琢磨の左前腕に巻かれた包帯が蛇の様にヒッキーの顔の辺りを威嚇する。少し怯えるヒッキー。


「動機ですか。……私は友達もいなくて家に引きこもっている高校生でした。ある日ガーディアンデビルズのダイブシステムを割井校長先生から勧められ試してみました。それからは補習室へ登校が出来る様になり、暗記科目などをマスターしていきました。軽めのトレーニングプログラムを始めてダイエットにも成功し、徐々に自信もつきました」

挿絵(By みてみん)

 

ダイブの仮想現実でも鬼の様な女剣士と闘うことができる様になりました」

挿絵(By みてみん)

 ヒッキーの隣に座っているミルクが口を挟む。

「その女剣士ってどんな人だったの〜?」

「剣を振り回す時に胸が邪魔、などという事もなく、とにかく強かったです。声が校長先生に似ている、喋る剣を操り僕を苦しめました。ビットコインの暴騰により、僕は危うく命拾いをしました」

 ウェディングケーキがカタカタと小さく揺れる。中にはくのいちと強がまだ居るはずだ。


 琢磨が質問を続ける。

「分かりました。続けて下さい」

「ミルクさんは補習室で、時には付きっきりで僕に指導をしてくれました。勉強や体力作りでゲットしたポイントを道具屋でアイテムと交換してくれて、仮想現実を探索する楽しさを教えてくれました。僕が諦めそうになる時はご褒美で励ましてくれる事もありました」

「ご褒美って……ちゃんとテレビで放映できるものですか?」


 琢磨は強とのつばめ返し対決で、ミルクからの『特別なご褒美』をもらい損ねた事を多少気にしているのか。

「琢磨さん、やきもち焼いてくれているんだ〜」


「残念ながら地上波ゴールデンでもOKです。彼女が時々くれるクッキーが僕を変えてくれました」

「ミルクさんのどの様なところにあなたは惹かれたのですか」

「さらさらと流れる様な美しい緑色の髪。人を魅了する赤い瞳。ふとした動作のたびに揺れるたわわなバスト。それでいて引き締まっているウエスト。程よい大きさのヒップ。柔らかそうな右手と唇……」

挿絵(By みてみん)


 ウェディングケーキが再びカタカタと小さく揺れる。


「こういう時は普通、相手の内面を褒めるものですよ」

「申し訳ありません。若さがたぎってしまいました」

 ミルクがちょっと引き気味に言う。

「男の人なんてみんな同じだね〜。外見ばかりに目がいって〜私の内面を見ようとなんてしな〜い」


ミルクの「著作権」のセリフの元ネタが分からない場合は「スティッキーフィンガーズ」をYoutubeで見て下さい。

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― 新着の感想 ―
見た目が兎に角好み、ということですね。若さゆえということなら理解は出来ますね。ただ、それを露骨に出されて、相手のことも好きになれる女性がいるかどうかということだけで。今回もとても面白かったです。
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