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ガーディアンデビルズ〜学園治安維持の会〜  作者: トミロン
第2部 天才ゲーマー&プログラマー比企新斗(ひきにいと)編
73/243

第73話 防具も武器も揃った。あとはチームワークだ!

 友情! 努力! 勝利! これさえあれば十代の読者さん達はついて来てくれる筈だ!……って最初から十代の読者さんなんていないか(笑)

 二人の親密な仕草を怪訝(けげん)に思った強とくのいちの気を逸らす様にミルクが言う。

「次は武器だね〜。みんな、アイテムは持ってきた〜?」

 くのいちは髪飾りの手裏剣を外し頭上に上げ、指先の上でクルクルっと回す。手裏剣はソードプリンシパルに変化する。柄の部分に豪華な装飾が施されたちょっと成金趣味の大きくて派手な剣。


 琢磨は懐からボールペンを取り出す。魚池系列三校統一テスト一位の賞品のやつだ。彼がそれを頭上で指先で回すと、やはり大きな剣に変化する。

 腕には黒い包帯。

挿絵(By みてみん)


「俺は特別なアイテムは無いんだが」

「大丈夫。僕が強君にピッタリのアイテムを持ってきました」

 琢磨は強がバレエで使う股間のカップを懐から取り出す。強は呆気に取られる。


「お前、それってもしかして俺の……」

「僕達が二人で選んだ愛のアイテムだよ。さあ、頭上にかざして!」

 ガーディアンデビルズのメンバー自己紹介の時、バレエ『海賊』の衣装で踊る強の写真が皆の前で映し出された。その時やけに大きな股間のカップが目立っていた。

 琢磨は『股間のカップは僕と強君の二人で選びました』と言っていたが、あれは冗談ではなかったのだ。


 強が手のひらサイズの半楕円球状のカップを頭上で回すと、それは大きな盾に変化する。


「勃ての戦士だ!」

 と大真面目で言う琢磨。

「勃て、勃つんだ強君!」

「お前、日本語変換おかしいだろう。でも、もしかしてこの盾、後で悪魔的な力を発揮するとか……」

「いえ、おそらく強君も盾もボロボロになって『勃ての戦士のなれの果て』とか呼ばれるのではないかと」


「盾は今回のエピソードで終わりになって〜次の強君のアイテムは南京玉すだれの予定だよ〜」

「南京玉すだれを操るヒーローか? 俺はガーディアンデビルズの玩具なのか? 第一、ストーリーの必然性ってものがあるだろう」


ここでナレーションが入る。

「剛力強が南京玉すだれ使いになる事は既に決定事項なのであった。そのための伏線も既にしっかりと張られていたのであった」


「俺はまだ南京のなの字も聞いていないぞ。取り敢えずはこのカップ……じゃなかった、盾を使いこなさねえとな」


 琢磨はいつの間にか、女性用の茶髪のカツラを被っている。キツネの様な耳と尻尾も生やしている。

 その格好で三校統一テスト一位の剣をかざして強に言う。

「大丈夫。強君が盾なら、僕は強君の剣になるから!」

挿絵(By みてみん)

(琢磨の妄想です)


「琢磨、その展開は著作権的にちょっと……」

「だったら僕の剣をいつでも使ってくれ。僕は包帯使いに専念する!」

 琢磨は左前腕の包帯を蛇使いの様に操ってみせる。


 ミルクは金色チェーンの十字架のネックレスを頭上で回す。それは百八十センチくらいの電気スタンドに変化する。ミルクは構えてポーズを取る。


「ウンビリカルケーブルの長さはおよそ二百メートル〜。それより遠くでは二分間しか稼働しないわ〜。その間に私がガブリエルを倒す〜」

「要するに何が言いたいんだ?」

「電気コードが届かないと灯りがつかない、って言いたいみたいね」


「ミルクは電気スタンド使いなのね。あたしもあの作品はよく見るんだけど、仲間の助けが間に合わない事が多いよね」

 これは何かの伏線か。


 その時、出し抜けにくのいちの(ソードプリンシパル)が喋り出す。

「お嬢、久しぶりのバトルだな。俺様の業物(わざもの)が恋しくてたまらなかっただろう」

「あんたのセクハラトークにも大分慣れてきたわよ」

「いざとなったら俺様を激しく求めたっていいんだぜ」


 そう言ってソードプリンシパルはくのいちの太ももの間にはさまりこむ。

「バカ。わかってるくせに」

 少しはにかみながら、慌てて剣を腰の位置に戻すくのいち。

挿絵(By みてみん)

 いつもとはちょっと違うくのいちのリアクションに琢磨が反応する。

「おやおや、くのいちさんと剣は抜き差しならぬ関係みたいですね。妬けちゃいますよね、強君」

 そう言って、強と少し顔の赤いくのいちを見つめる。

「ふざけるな。俺の本当の気持ちはわかっているだろう、琢磨」


 これは強から琢磨への思いの告白なのか?

「(顔を赤らめて) えっ!」

 と珍しく動揺する琢磨。

「なーんてな」

「冗談でしたか」


 その時強の耳に『あの時、念の為局部を切り取ってもらえばよかったかも』と、ごく小さな囁き声が聞こえる。強は少し驚いて声の方を見るとミルクだ。強と目が合うと、急に作り笑顔を浮かべる。


「(慌てた様子で少し早口で) あはは〜。今のって冗談だったんだ〜。一瞬本気にしちゃったよ〜」

 強、表情がひきつる。

 ミルクは小声でつぶやく。

「(くのちゃんに切り取ってもらえば〜琢磨さんは強君の事を諦めるかも〜。な〜んちゃって〜)」


「(心の中で独白) しっかりしろ、俺。俺はケンカ十段、剛力強。怖いものなんて無いはずだろう。でも……あれっ? またあの匂いが……微かだがやっぱり血の匂いだ」

 大丈夫なのか、このパーティーのチームワークは?


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― 新着の感想 ―
皆で全力で実は猥談をしているように見えてならなかったのですが、きっと私の理解力不足でしょう。徹頭徹尾、装備のお話でしたものね。今回もとても面白かったです。
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