第7話 巨乳癒しキャラ 森野ミルク
武力では解決できない問題をメンタル面から解決する癒しキャラ、森野ミルク。バイリンガルで時には英語と翻訳調の怪しげな日本語を操る。精神世界を探索する「ダイブシステム」の開発に、大学のSFラボと協力している。
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治安維持の会は武闘派の二枚看板、くのいちこと久野一恵とケンカ十段の異名をとる剛力強がいる。彼らに連絡を入れる係がチョコこと税所千代子。ここで四人目のメンバーを紹介したい。おっとり癒し系の森野ミルクである。
緑色の長髪に赤い瞳、百六十センチの身長に推定Fカップのバスト。エキゾチックな顔立ちはヨーロッパの森の妖精の様である。彼女はメンタル面からのアプローチで学園の治安維持に貢献する事になっている。こう見えて、と言うかやはり、と言うか彼氏持ちである。
今日は魚池高校裏アカウントの放送の収録をチョコと行っている。チョコレート色の肌にウェーブのかかったショートヘア、ソフトボールのユニホーム姿で身長百四十五センチのチョコがカメラを前にして口火を切る。
「魚池の裏アカへようこそ! 進行を務めるチョコこと税所千代子と……」
ミルクはカメラ目線のまま無表情で無言。
「ミルク、起きて! ……あんた今日も脳みその中身が胸に行っちゃってるみたいね」
やはりミルクは反応が無い。
「ようし、かくなる上は強硬手段よ!」
チョコはトイレの詰まりを直すための棒の着いた吸盤を取り出す。それをミルクの左胸にぐいと押し込む。ミルクが我に帰る。
「あ、みんな〜、おはよ〜。森野ミルクだよ〜」
チョコが棒から手を離すが、吸盤はミルクの左胸に吸い付いたままである。幼児体型でバストとは無縁なチョコが自分の胸のあたりをチラリと見て嫌味を言う。
「胸の大きい女は馬鹿が多い、とか世間では言うよね」
「私〜胸が大きく見えるけど〜実はパッドが入ってるんだ〜」
「え〜っ、そんな物も入るんだ。凄いね」
チョコはiPadを見せて言う。
「入れてやろうじゃないの〜!」
ミルクはチョコのiPadを手にして右胸にねじ込む。左胸は吸い付いたままの吸盤、右胸はハミ出たiPadで収拾がつかなくなっている。
チョコは吸盤の着いた棒に手をかける。
「これ、一旦外すね」
スポン、と吸盤が外れるとミルクが再び無言、無表情になる。
「吸盤を引っ張った刺激で胸の中に脳みそが移動しちゃったみたいね」
チョコはバットでミルクの頭をコツンと叩く。ミルクは再び我に帰り、頭にタンコブができた状態でしゃべり始める。
「もうすぐ魚池系列の〜三校統一テストだよね〜。みんな頑張ろうね〜。私が体を張って〜英語の先生からゲットした〜問題が出そうだよ〜。今日の英語の授業は〜必ずチェックしてね〜」
「そんな事ここで言っちゃっていいの?」
と驚くチョコ。
「信じる者は〜救われるかもよ〜」
ミルクの言葉を話半分に聞いて、チョコはカメラに向かって語りかける。
「それから放送を観ているみんな、治安維持の会に相談したい事があったらあたしチョコあてに連絡ちょうだいね。メールでもLINEでも直電でもオッケーだよ」
それを聞いてミルクが言う。
「最近〜『夜眠りたくない』っていう相談があったよ〜。私にできる範囲で〜相談に乗るね〜」
「あたしも休みの前の日の夜は眠りたくないよ。ミルク、相談に乗って」
「夜の十二時まで頑張って起きていたら〜? そうしたら〜もう休みの前の日じゃなくなるよ〜」
「ミルクの分際でとんちを使うとは……」
と言ってチョコはカメラに向かって話を続ける。
「それと、治安維持の会のメンバーの人気投票を近々行うから皆んな協力してね」
「頭に手裏剣を着けている〜怖いお姉さんには〜無理に投票しなくてもいいからね〜」
とミルクはくのいちを揶揄する。
「そんな事面と向かって言えるのはミルクだけだよ。それじゃあ、今回はこの辺でお別れです」
チョコとミルクが声を合わせて言う。
「まったみってね〜」
裏アカ放送の収録が終わる。
「はい、オッケーだよ」
とカメラ担当のミルクの彼氏が声をあげ、長めの髪をかき上げてキメポーズを取る。ミルクとチョコ、会心の笑みを浮かべる。




