第64話 ヒッキーvs兼尾貢
遂に雌雄を決する事になったジャイアントニオ比企と兼尾貢。しかし比企は戦う事を拒否する。仕方がないので兼尾は対戦相手に比企の代わりにくう子を指名する。ヒッキーとくう子の戦いとなるのか? しかしくう子は仮病を使い戦いをバックれる。ただのエヴァンゲリオンのパロディーでストーリーもへったくれもない展開となる。
この言葉にジャイアントニオ比企は怒りが込み上げてくる。
「アポッ、差別ダァッ! 欺瞞ダァッ! この世は差別と欺瞞に満ち溢れている。恋人がいない拙者は天体観測を楽しむ事も許されないのでござるか?」
「そんな事無いよ! 思う存分天体観測を楽しんで! 一人で」
「俺も応援してるぜ。心からかみね公園のジェットコースターを楽しんでくれ。一人で」
「ふっふっふっ。所詮天体観測など若気の至りの遊び事に過ぎぬ。大人になると趣味は最終的には以下の三つのカテゴリーに収れんされていくのでござる!」
「な、なんだその三つとは?」
「カニ飯弁当、イカ飯弁当、牡蠣飯弁当」
「それはくう子の好きな北海道駅弁ランキングでござろう。大人が趣味に走る目的は……」
「目的は?」
「一つ、金が儲かる」
「二つ、異性にモテる」
「三つ、マウントを取れる」
「この三つだけじゃ!」
天文部銀河艦隊の兼尾とくう子、呆気に取られる。
「兼尾君、あんな汚い大人になっちゃダメ。変な寄生虫が感染るから、あの変なプロレスラーと一緒に遊ばないでね」
「おい、あんた。これ以上俺達の邪魔をする様なら俺様が黙っちゃいないぞ!」
兼尾がジャイアントニオ比企の胸ぐらを掴む。彼は怯える。
「拙者は本当は戦いたくないのダァッ。誰も傷つけたくないアポー」
「お前が戦わないと多くの地球人が犠牲になるぞ」
と兼尾部長。彼はいつの間にか色メガネをかけている。
「ダメだ、僕にはできないアポーでござる!」
「仕方がない。ヒッキーの代わりにくう子を戦わせるしか無い様だな」
兼尾とヒッキーが闘う、というストーリー展開だったはずだが、これでは兼尾とくう子が闘うという流れになってしまう。全く意味不明だが何かのパロディなのであろうか。
兼尾はストレッチャーに乗ったくう子を運んでくる。くう子は何故かビキニは着用しておらず、そのかわりにバストには包帯。
「兼尾司令が戦えというなら私は命令に従います。ここはブラックカンパニーですから。だけど私は手の骨も折れているし、足の骨もやられているから歩く事も出来ない。血圧も八十を切っているから点滴で辛うじて心臓を動かしている。酸素マスクがないと血中酸素飽和度も八十を切ってしまうので息をするのも苦しい。全身が痛い、しゃべる事もできない」
くう子はヒッキーを見つめる。
「だからお前が行けよ」
という念が送られてくる。
それを無視して兼尾司令はくう子に言い放つ。
「くう子よ。さぁ勤務終了のタイムカードを押せ。これからサービス残業の開始だ。どんなに辛い業務実態も掻き消して残業!」
「うぅ私が死んだら労働基準監督署に化けて出てやるー」




