第6話 アフターバトルティータイム
いじめ生徒を仕置きしたくのいちと強。いじめの被害を受けた生徒は生徒指導室に被害を報告して、加害者への処罰が決定する。
治安維持の会の部室。無事に鉄研のトラブルを解決してくつろぐ強とくのいち。くのいちが椅子に座っていると強がお茶を運んで来る。
「くのいち様、お茶が入りました」
「今日の茶葉は何?」
「当ててごらんになりますか?」
強は執事の様に優雅にコースターを敷いて湯呑み茶碗を机に置く。くのいち、茶をすする。
「う〜ん、濃い目に淹れても苦味が無く、上品な甘味がある。新緑を思わせる柔らかな香り……わかった、一番安いお茶!」
「正解でございます」
強は『若者用 粗茶 百グラム二ペソ』と書かれた緑茶のパッケージを見せる。
そこに先程くのいちに助けられた兼尾貢が入って来る。
「梅干しらっきょうクリームパン、生徒指導室に持って行ったら話を聞いてもらえた。鉄研部長のカツアゲの件は協議の上、罰が与えられるらしい。ありがとな、くのいち」
兼尾貢は半分に切られた梅干しらっきょうクリームパンをくのいちに差し出す。
「このパンは治安維持の会と生徒指導室を繋ぐ符牒になっているの。半分に切られたパンは確かに情報をみんなで共有した証なのよ。パンの種類は極秘に毎日変更されるの」
「何かすげえな。スパイ小説みたいだ。ところでそれ、うまいのか?」
「あたしの携帯のAIが決めているから間違い無いでしょ」
くのいちは梅干しらっきょうクリームパンを一口食べる。彼女の顔は苦痛に歪み、口から吐液がしたたる。
「強、一口あげるよ」
「いらん」
「どうして? あたしと間接キスができるんだよ」
「それは間接キスじゃなくて直接ゲロだ」
「(本当だ、かかっちゃってる)」
場面再び鉄研の部室。ボコボコにされた部長と気の弱そうな部員が茶を飲んでいる。
「鉄道の駅名って不思議ですよね。横浜駅は大きな駅なのに神奈川駅だととてもちっぽけな駅」
と部員が部長に問いかける。
「神戸駅と兵庫駅もそうじゃな」
「京浜急行なんか青物横丁駅に特急が停車するんですよ。横丁に停車した特急は神奈川駅を余裕で通過していくんです」
「じゃあもし銀河鉄道駅があったらゴミみたいに小さな駅じゃろうな」
くう子はそんな会話をよそに一人でガツガツと弁当を食べている。
「この駅弁風弁当、結構イケるわ。茨城のブランドポークと常陸牛が美味しい」
彼女はいつの間にか袖無しの、丈の短い黒のウインドブレーカーを着ている。黒のニット帽もよく似合う。何かのパロディであろうか。さすがコスプレ同好会である。銀河鉄道のパロディは訴訟に発展する恐れがあるのでこれ以上は語れないのが口惜しい。




