表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ガーディアンデビルズ〜学園治安維持の会〜  作者: トミロン
第2部 天才ゲーマー&プログラマー比企新斗(ひきにいと)編
50/243

第50話 ミルクと琢磨のなれそめ

 Mc(マック)はスコットランド英語で「息子」という意味。ミルクの本性が徐々にあらわになってゆく。

 ミルクの回想シーンは続く。


 くのいちは琢磨に、

「ねぇ琢磨、こないだ転校してきたミルクが、マッタの食べ方について分からない事があるから教えて欲しいんだって」

と告げておく。そのホニャホニャなアシストのお陰か、数日後にミルクは琢磨をマッタに誘う事に成功する。


 『又怒鳴るド!』の看板がある店の前。人相の悪いピエロの人形の前にたたずむ、まだ知り合って間もないミルクと切磋琢磨。

「僕はこういう店は初めてなのですが」

「誰にでも初めてはあるよ〜。緊張しないで〜。すぐに慣れるよ〜。さあ入ろう〜。私がリードしてあげるよ〜」


 ミルクと琢磨、店内に入る。ミルクは声を張りあげる。

「頼も〜う!」

 店員が応える

「おう! いつもの嬢ちゃん! ビッグマッタとマッタシェイクでいいんだな!」

「あったりめえよ〜! べらんめ〜!」


「そんでそこの坊ちゃんは何を食いやがるんでぇ!」

「私はマッタタツタだけでいい」

「マッタタツタだけかい? シケてやがんなぁ。ご一緒にちゅくば駅前のタワーマンションはいかがですかってんだ! こんちくしょうめ!」

挿絵(By みてみん)


 店員の独特のノリには乗らず、あくまでマイペースな琢磨。

「いや、それは供給過剰で今後値崩れの可能性が高い。あなたも気をつけた方がいいと思う」


 店員、急に丁寧な口調になる。

「適切なアドバイスありがとうございます。今後も物件選びは注意深く見守ります」

「お互い人生設計は狂いが無い様にしたいですね」

 高校生とは思えない対応の琢磨。


 ミルクと琢磨、店内で着席する。琢磨はマッタタツタを口にする。ミルクはビッグマッタとマッタシェイク。

「割と美味しいんですね、マッタって」

「うめえだろ〜このトウヘンボク〜!……ってさっきのモードが〜元に戻らな〜い」

「あはははは。ミルクさんって面白いですよね。今日は来て良かった」

「(よしっ!)」

 とミルクは心の中でガッツポーズ。


「ところでマタドナルドの『マッタ』ってどういう意味だかご存知ですか?」

「私は知っているよ〜。スコットランド英語でしょ〜?」

「さすがですね。スコットランド英語で『息子』っていう意味ですよね。つまり今ミルクさんが食べているビッグマッタとマッタシェイクは……」

挿絵(By みてみん)


 ミルク、はっとして心の中で独白。

「(ビッグマッタ、つまり『大きな息子』。そしてマッタシェイクは『息子シェイク』?……って凄く卑猥じゃない? なんで気付かなかったんだろう、私。エッチな女の子と思われちゃうよ〜。ここはうつむいて恥ずかしそうにした方がいいのかな〜。くのちゃんは『違ったアプローチ、インパクトが大事』って言っていたけど……ええぃ、ここは勝負よ!)」


 ミルク、威勢よくビッグマッタを食べる

「ビッグマッタを口いっぱいにほおばる〜!」

 そしてマッタシェイクを手に取りストローをくわえる。

「次にマッタシェイクの白い液体を豪快に飲み込む〜! ぷはぁ〜!」


挿絵(By みてみん)


 琢磨、それを見て凍りつく。


 ミルク、心の中で独白。

「(あれ、私、やり過ぎた〜? 琢磨さん引いちゃったかな〜? もしかして嫌われた〜? 作戦失敗〜? ……だとしたら久野一恵のせいだわ〜。あの女〜、一生恨んでやる〜!)」


 琢磨、突然笑い出す。

「ははははは! ミルクさん、面白い! 最高だよ! よーし、僕もひとネタ」

 琢磨はミルクの飲みかけのマッタシェイクを少し振ってからフタを外しどろりとした白い液体を自分がオーダーしたマッタタツタにかける。

「息子タツタの次は息子シェイク、そしてフィニッシュの白い液体がけ!」

 今度はミルクの表情が凍りつく。


 琢磨、心の中で独白。

「(あれ、もしかして僕は、やり過ぎたのか? 女の子とこんな会話をした事が無かったから、どの辺まで盛り上がったらいいのかわからないぞ)」

 今度はミルクが突然笑い出す。

「ははははは! 琢磨さん、おもしろ〜い! それじゃあ〜、えい〜!」


 ミルクはマッタシェイクのかかったマッタタツタを琢磨の口に突っ込む。

「どう〜? お味は〜?」

「とても不味いぞ」

 二人は表情が凍りつきお互いを見つめ合う。と、次の瞬間二人とも楽しそうに笑い出す。


 ナレーションが入る。

「こうして魚池学園随一のヘンテコカップルが誕生したのであった」


 ミルクの回想シーン終わり。

 再びミルクと強、マッタの店内。強はミルクの話を聞いて凍りついている。

「そんなんでお前と琢磨は上手くいったのか」

「くのちゃんのアドバイスって〜凄いでしょ〜?」

「それで、くのいちのアドバイスが裏目に出ていたらどうするつもりだったんだ?」


 ミルク、少し恐い目付きで言う。

挿絵(By みてみん)

「強君、人間って人生の三分の一は眠っているんだよ。その間ずっと悪夢が続くとしたら、あなたは耐えられるかしら? ある意味リアルな人生より辛いかも」

 強、再び凍りつく。

「おいおい、勘弁してくれよ」

「な〜んちゃって〜」

「冗談に聞こえねえよ。くのいちも結構危ない橋を渡ったんだな」


Mcがつく名前は、スコットランド系、アイルランド系である事が多い。映画「バックトゥザフューチャー」でも主人公の父親McFly氏に向かって、いじめっ子のビフは「おい、マックフライ! アイルランドの虫ケラ!」と呼んでいる。表面的には差別に厳しい事になっている今のアメリカではNGか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
なるほどですね。この2人が無事にゴールインすれば、日本の少子化問題にも改善の兆しが見えてくるかもしれませんね。今回もとても面白かったです。でも、ちょっとしばらくは白いものが飲めなさそうです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ