表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ガーディアンデビルズ〜学園治安維持の会〜  作者: トミロン
第1部 ガーディアンデビルズ結成〜鉄研部長編〜ヤンキー編〜強とくのいちの決闘編〜万引きJK節陶子編
25/243

第25話 チョコの緊急裏アカ配信

 強とくのいちの一騎打ち! こんな美味しいイベントをチョコが放っておくはずがない。彼女は二人のバトルを生中継して闇賭博でテラ銭を儲けようとしていた!

「魚池高校裏アカウントへようこそ! さ〜て今日のイベントはくのいちと強の一騎打ちだよ!」


挿絵(By みてみん)


 チョコが部室の隣の給湯室で、二人の決闘の様子を裏アカウント放送で生中継しているのだ。強とくのいちには当然内緒だ。どうやら闇賭博を始めるつもりらしい。部室の監視カメラの画像と、ミルクと琢磨が携帯で撮影している画像が使われている。


「かたやガーディアンデビルズのリーダーにして、きっての武闘派、切り裂きくのいちこと久野一恵!」


 チョコのセリフの後でくのいちの写真が画面に映る。

 戦っている最中と思われる写真だが、チョコがノリでくのいちにポーズを取らせたものか。写真は加工され、セリフまで入れられている。

 この前のスクール水着とは違う写真である。チョコのコレクションにはまだまだ危ない写真がいっぱいありそうだ。

挿絵(By みてみん)


 この写真が流れた瞬間からくのいちへのベットが流れ込む。

『くの いちえ 身長百七十五センチ、体重五十八キロ、B87 W63 H90 (本人からクレームあり、バストはトップバストで再計測) 座右の銘 あたしはくのいちいじめっ子』

 との情報が掲示される。画面にはネットのユーザーの書き込み。


『やっぱくのいちカッコいい』

『貧乳は人類の宝』

『ああ見えて安産型』

『電車で痴漢を処刑してた。メチャ強かった』


『アンダーバストは75って聞いたぞ』

『トップバストが87って事はまさかのBカップ?』

『AAAじゃなかったのか』

『中身は脂肪じゃなくて筋肉だから』

『好きです、先輩』

 などなど。


 チョコがアナウンスを続ける。

「対するは推薦入学試験で三学年上の空手部の主将とボクシング部の部長を秒殺して、『ケンカ十段』の称号を得たガーディアンデビルズのマスコットこと剛力強!」


 画面には格闘技のスパーリングをしている様な強の写真。

 やはり加工され妙なセリフも加えられている。

挿絵(By みてみん)

『ごうりき つよし バレエ同好会所属。身長百七十八センチ、体重七十三キロ、座右の銘 タダのケンカには興味はありません』

 との情報が開示される。


 続いて強と同じバレエ同好会のダンスパートナー、アリス・ワンダの写真も流れる。

挿絵(By みてみん)

 画面にはユーザーの書き込み。

『アリスちゃん、通報しとこうか?』

『強君、あたしの水着で良ければ、プールの授業で使っていいよ』

『強君って女の子には優しいよね』

『男の子にも優しいぞ』


 などなど。

 チョコによる写真の加工は、強の評判を落とす為の策略かもしれない。そうすれば自然と恋のライバルは減る事が期待できる。しかしこれしきでは、ケンカ10段の人気は揺るがない。


 チョコの説明は続く。

「魚池学園直営のドラッグズ&コスメ、整体サロン、カフェ、の共通ポイントを持っている人、『宿題がんばったね、お掃除がんばったね』のポイントを持っている人、などはそのポイントでベットもできるから奮って参加してね。さぁ今のみんなのベットを見てみましょう!」


 画面にくのいち7320 強3650 とでる。

「二対一でくのいちに人気が集まっています。このバトルの報酬は、強が勝った場合は賞金一万円プラス今月の家賃免除、くのいちが勝った場合には強をくのいちの執事として一日自由にできるそうです。……さあ間もなく試合が始まるようです。現場からの中継に切り替えましょう」


 場面、部室に戻る。強は入念にストレッチや腕立て伏せ、腹筋、スクワットなどを行っている。くのいちは余裕でコンパクトで髪型を整えたりしている。ミルクのフリップには『時間稼ぎありがと、強君。後でクッキー一個奢るね』の文字。

「(クッキー一個『おごる』って言うか?普通?)」


 強は少し待ちくたびれた様子のくのいちにこう言う。

「すまない、くのいち。やはり準備は完璧にしたいんで、決闘は三ヶ月後に延期してくれないか?」

「あんたは慎重な勇者か!」


 裏アカウント生放送の画面。ベットはくのいち52200 強17500 と表示されている。

「はい、そろそろベットは締め切りまーす」

 とチョコ。同時に彼女はミルクにも携帯で合図を送る。


 場面、再び部室。ミルクが『OK、強君。GO!』のフリップ。それを見て強が言う。

「くのいち、分かったよ。今戦うしか無い様だな」

「どちらかが戦闘不能、あるいは負けを認めた時点で決着。それでいいわね」

「望むところだ」


「OK. Let the fi〜ght begin!」

 とミルクが珍しく英語で掛け声を出す。


 くのいちは強に殴りかかる。強は首を動かしさっとかわす。その後の回し蹴り、前蹴り、ストレート、フック、バックハンドブローも全てかわしたりブロックしたりする。くのいちがキックを連続して出し、最後に派手なかかと落としを放つ。脚を大きく上げたため、スカートの中がチラリと見える。


 画面には、

『水色と白のストライプだった』

『もう一回頼んます』

 の書き込み。

 視聴者の熱狂をよそに、強は余裕でよける。


挿絵(By みてみん)


「モーションでか過ぎだぜ」

 そう言って強が軽く回し蹴りを出す。それをかわした瞬間、くのいちがタックル。

 強は体を伏せ、タックルを潰す。二人、距離を取り、再びファイティングポーズ。


「この野郎〜。あたしとアウトレットに行くのがそんなに嫌か!」

 二人を撮影しているミルクが独り言。

「くのちゃんって〜乙女チックなところあるよね〜」

 ミルクの言葉に琢磨はきょとんとしている。


 拳を構えながら、強はくのいちに答える。

「そういう話じゃないだろ。お前は俺の戦闘力を見極めたかったんじゃないのか?」

「そんなだから、あんたは女にモテないのよ!」


「女心に鈍いのは〜誰かさんと一緒かな〜?」

 なおもリアクションの薄い琢磨にまたもミルクが独り言。

「お勉強は〜学年トップなのにね〜」


 くのいち、パンチとキックの連打。強はブロックしたりかわしたりでノーダメージ。

「アウトレットに行くなら、もっと他にこう……誘い方ってあるだろ?」


 くのいち、赤くなって逆上する。

「うるさい! うるさい! うるさい!」


 くのいちが嵐の様にパンチとキックを繰り出す。強はそれを全てかわす。

 くのいちが強烈なフックのパンチを放った瞬間、強はカウンターでくのいちのアゴ目がけて鋭いパンチを放つ。


 くのいちの顎に当たる寸前で拳はピタリと止まる。くのいちのフックは強の側頭部をかすめたのみ。くのいちの動きが止まり、冷や汗が流れ、表情も引きつる。


「お前の拳も蹴りも凄えよ。当たれば俺も一発KO かもしれねぇ。だけどお前の攻撃は癖がある。拳や蹴りを出す瞬間に少しタメを作っちまう。ほんの僅かだがな。普通の奴には気付かれないかもしれねえが、もう少しノーモーションを心がけた方がいい」


 この強の言葉でくのいちは冷静さを取り戻しガードを下げる。

「流石ね、強。あんたやっぱり強いんだ。親切なアドバイスありがとう」


 くのいちはニッコリと笑い握手の為に右手を差し出す。強も表情が柔らぎ右手を出そうとする。と、その瞬間、くのいちの左ストレートがノーモーションで強の溝落ちに入る。


『ドスッ』という鈍い音。強はその場に崩れ落ちる。

「油断大敵よ」

 くのいちは倒れた強を見下ろし、ニヤリと笑う。強は倒れたまま腹部を押さえて声が出ない。


 暫くして強はかすれた声でくのいちに言う。

「お、俺は寸止めしたのに、お前は最後までイキやがったな……」


 撮影を続けながらミルクが琢磨に言う。

「今のセリフ〜お布団の中で聴きたかったね〜」

 琢磨、赤面する。

挿絵(By みてみん)

 くのいち、仰向けに倒れている強にドッカと馬乗りになる。

「どうだった、今のパンチ?」

「お前……ノーモーションちゃんとできるんじゃねぇか……芝居していやがったな」


「フフフ、この手はあんたには二度と使えないけどね。という訳であたしの勝ち。黒い執事用の燕尾服はあたしが用意するから安心して」

「いや、勝負は俺が勝ってただろう」


それを聞いてくのいち、ゲンコツの小指側の部分で少しコミカルに強をポカポカ叩く。いわゆるマウントポジションからのパウンディング。


「違うの! あたしの勝ち、あたしの勝ち! この状況を見れば明白でしょ! 男らしく負けを認めなさい!」

 こう言われては強もなす術がない。おまけに強はくのいちのこの言動が少し可愛くさえ思えてくる。


「わかった、わかった、お前の勝ちでいいから、もうポカポカは勘弁してくれ」

 くのいち、満面の笑みを浮かべる。

「分かればいいのよ。良い子ね。……それにしても、あんたみたいな腕っぷしの強い男を力づくでねじ伏せるのって気持ちイイわね。なんかクセになりそう」


「それってお前がよく言う女……性上位の体制の実現ってやつか?」

「そんな大袈裟な物じゃないけどね」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
最早じゃれあい、イチャイチャにしか見えませんでした。裏垢はさぞや炎上していたことでしょう。最後のももはや、そういう場面にしか。今回もとても面白かったです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ