第242話 ワードローブが尽きた⑤
翌日のショッピングモール『イーアスつくば』。
サイバーダインのロボットの前で陶子が来るのを待っているくのいち。タンスの奥から陶子の知らない服を何とか発掘してどうにかコーディネートしてきた。
「陶子の奴、もしあたしよりもオシャレな服でやって来たら……今日があの女の命日だわ」
懐に刃物モードの手裏剣を『きらりーん』と忍ばせるくのいち。
「くのいち、お待たせ」
陶子が約束の時間の少し前に現れた。早速服装に目が行く。今日はカジュアルな服だ。『GU』の大きな文字が入ったTシャツ。
くのいちはそのTシャツをじっと見つめる。
「(GUってまさかグッチの新作のモノグラム? 最近グッチはチェックしてなかったけど、あいつ最新のブランドのTシャツをあたしに見せびらかしに来やがった!)」
彼女は先日、くう子とミルクの3人で、リニューアルした渋谷パルコに行った。そこで見たロエベやミュウミュウのモノグラムのTシャツのイメージが頭にこびりついていたのだ。
「(やっぱ頃す! こんな女、生かしておいても地球の為にならない!)」
くのいちの手が懐の手裏剣に伸びる。
そこに、
「おう、くのいち。それに陶子ちゃんも。偶然だな」
やって来たのは強。見ると強もTシャツを着ている。しかも『GU』という大きなロゴが入っている。
「(やっぱ強の服を見ていると安心するわ。あんな分かりやすいGUのTシャツなんか着て。1000円でお釣りが来るわよね)」
くのいち、ふと冷静に考える。
「(って事は陶子もGU? なーんだ。あの子もワードローブが尽きていたのね)」
懐の手裏剣をカチリと押して刃物モードを解除するくのいち。とりあえず陶子の危機は去った。
「お前たち、ショッピングか? 俺はここのゲーセンで遊んでくるから、なんかあったら連絡してくれ」
そう言って去って行く強。




