第217話 SF研ラボにロックトイン!
「キャッチャーは〜ボールを握ったまま〜『三塁ランナーにタッチしなくちゃ』とか言って〜ボールごとグーパンチをランナーにあびせるよね〜。三塁ランナーは憤死だね〜」
(彩子の決死の本盗が決勝点となり、甲子園に進出。だが晴れ舞台のグラウンドに彩子の姿は無かった……)
確かアストロ球団とかいう漫画にそんなネタがあった様な。
「ランナーは憤死ですが私は即死です」
ここでミルクと彩子の頭の中にユニホーム姿のチョコが現れ、二人にツッコミを入れる。
「『憤死』ってのはギリギリでアウトになる事。彩子の場合は『犬死に』って言うんだよ」
チョコのありがたい言葉を拝聴してからミルクが話を進める。
「彩子ちゃんは何がきっかけでその男の子が好きになっちゃったの〜?」
「自分に無い物を持っている人って憧れますよね」
「人並み以下の知能&象さんとか〜?」
時々ミルクは余計な事を言う。確かに強は脳筋かもしれないが、自分だって脳乳ではないか! そんな作者のシュプレヒコールを『そうだよ〜。それがどうかした〜?』と華麗にかわすミルク。
「えっ、ミルクちゃん誰の話をしてるの?」
「ううん。人は誰にでも何かしら弱点はあるっていう例えだよ〜。でも〜どうしたら男の子は女の子を好きになってくれるのかなあ〜?」
「やっぱりオッパイが大きくてカワイイといいよね」
とうらやましげにミルクを見つめる彩子。
余談だが作者は以前、グラマーな女性に素直にその容姿を褒めた事がある。すると、『女の人の胸は将来赤ちゃんに母乳をあげるためにあるの。ちゃんと母乳が出れば、おっぱいが大きいかどうかなんて関係ないわよ』と言われてしまった。
もっともな意見だが、グラマーな人の余裕の発言とも取れる。もし作者が貧乳女子だったら負け惜しみに聞こえかねないので怖くて言えない。ここで『じゃあ男も大きさは関係ないよね』と言いかけたが、これも負け惜しみと取られる可能性があるのでやめた(笑)。ちゃんとくるみぽんちさえ出ればいいはずだが。
話を元に戻す。
「彩子ちゃんは〜どうして演劇部に入ってたの〜?」
「私、自分を変えたかったんです」
「どんな風に〜?」
「私引っ込み思案だから、演劇の役者さんになれば違う自分を表現できると思ったんだ」
「彩子ちゃんももっと自信を持って明るく振る舞えば、可愛さをアピールできるよ〜」
「そうかなあ」
ミルクにそう言われるとちょっとその気になる彩子。
「水晶玉占いにハマったのも、不思議な力を身につければ違う自分になれるんじゃないかと思って……笑わないでね、ミルクちゃん」
「自分に無い物に憧れるってのはあるよね〜」
「(私が持っていて強君が持っていない物って何だろう……)」
と思いを巡らす彩子。
「取り敢えず〜やれる事をやってみようよ〜」
「私、料理ならちょっとできる」
「いいじゃない、彩子ちゃ〜ん、他には?」
「男の子が興味を持ちそうな話題についていけるといいのかなあ?」
「ゲームとか〜スポーツとかの〜話ができる女の子って貴重かもね〜」
「インパクトのある会話って必要だよね」
「普段、同性の友達とはできない話なんかできる異性も魅力的だよ〜漫画やアニメとかでもいいけど〜」
話に花を咲かせる二人。やはりちょっとした工夫の積み重ねは大事なのか。
長話の後で二人はSF研の出口のドアの前に立つ。ドアは閉まっている。彩子はマイクに向かって『ク、クルミポンチ』と言ってみる。ドアから反応がある。
「本日ノ符牒一致。声紋モ、オマケデ合格トシテオキマショウ。デモ色気ガ不合格」
「やっぱ私ダメだ」
「やればできるよ彩子ちゃ〜ん。これから徹夜で特訓するよ〜!」
「そんなぁ、ミルクちゃんドア開けてよー」
ミルク、突然喉を押さえる。
「ああっ、私突然喉の調子が〜!……ぐるみ盆地」
(やる気あんのか、ミルク?)
ドアは無反応。
「ミルクちゃんしっかりして!」
「私じゃ開けられないよ〜彩子ちゃん、頑張って〜」
「ク、クルミ……ポンチ」
「恥ずかしがってちゃダメだよ〜。もっと堂々と〜」
そうミルクに言われ、演劇魂がともる彩子。
いけ、彩子。
「(堂々とした男声で)どうだ、俺様のクルミポンチは? わーっはっはっはー」
(彩子です。念のため)
「それじゃあ萌え要素ゼロだよ〜」




