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ガーディアンデビルズ〜学園治安維持の会〜  作者: トミロン
第5部 彩子、くのいちに命を狙われる編
212/243

第212話 ストレスによる急性胃潰瘍で入院

 同じ日の午後六時頃、搬送先の病院では緊急の胃カメラが行われた。


挿絵(By みてみん)


 医師は『おそらくストレスなどによる急性の胃潰瘍でしょう』と説明してくれた。しかし彩子はそれを信じなかった。


挿絵(By みてみん)


「(私が聖水を飲まされたのが丁度正午頃。遅効性の毒が五時間経って効くようになっていたんだわ。しかも消化器科の医者もそれには気づかない!)」


緊急入院となり、病院のベッドで点滴を受けながら悶々と過ごす彩子。


挿絵(By みてみん)


 病棟ではWi-Fiが使えず、携帯の電波だけになってしまうので、電話代が心配で山の遭難チャンネルをぶっ通しで見る事ができないのもストレスだった。



 10日間入院して、退院後2日で彩子は学校に復帰する。その日の放課後はガーディアンデビルズの集まりがあったので、彼女も部室に(おもむ)く。

 一同が集まった所で、くのいちが皆に話しかける。


「球技大会が2ヶ月後に迫ってきたわ。例年は全員参加だったけど、球技に参加したくない生徒も多い事から、今年は参加は任意になったの。そうしたら不参加者が続出して、実行委員である生徒会も困っている様なの。それで不参加の生徒達には代わりに何かに参加してもらう事になったんだけど、全員が意欲的に参加できる物はないかと、生徒会が我らガーディアンデビルズに相談してきたのよ」


「くのいちがピッチャーで参加するなら、私も参加するよ」

 とピッチャー返しが得意なチョコが挑発する。


挿絵(By みてみん)


「おっ、やるのか? じゃああんたはあたしとドッジボールに参加しろ」

 と受けて返すくのいち。

「あんたの投げる球は止まって見える。よけるのは楽勝」

 とチョコ。


 チョコこと税所(さいしょ)千代子はガーディアンデビルズの情報担当。いじめなどの情報を『携帯アーミー』と呼ばれるチームを通じて集めるのが役割だ。チョコレート色の肌。身長145センチと小柄なソフトボール部員。だがバットを持たせると、くのいちもビビらせる程の戦闘能力を発揮する。先日のちゅくば山のピクニックで、山頂の神社の古木が折れていたのも、彼女が丑の刻参りで金属バットでやった物だ。


「私は〜球技は苦手だから〜押しくらまんじゅうがいいな〜」

 と、おっとり口調のミルクが言う。緑色の髪、赤い瞳のイギリスからの留学生。ガーディアンデビルズの癒し担当である。

挿絵(By みてみん)

「じゃあ僕もミルクちゃんと一緒にあんこ役になります」

 と彼氏の琢磨が言う。包帯使いの名人で、人を瞬時に縛り上げる特技を持つ。


「あーっ、ミルクと琢磨ずるーい! ねぇ強、あたし達もあんこに加わろうよー」


挿絵(By みてみん)


 くのいちのこの口調がちょっとかわい子ぶりっこっぽく聞こえたので、チョコがごく小さな声で『きっつ』と呟く。


挿絵(By みてみん)


チョコは強の幼なじみである。くのいちの言動が癪にさわったのか。くのいちのデビルイアーはそれをのがさなかった。


「あーっ、今誰か『きっつ』って言った!」

 チョコはそっぽを向いて口笛を吹く。昭和のアニメだと、何か都合の悪い事があるとこの仕草でごまかすシーンがよく見受けられたが、令和の読者には意味不明であろう。


「今『きっつ』って言ったの彩子でしょ!」

 思わぬところから流れ矢が飛んで来た。立場の弱い者には流れ矢は命中するものなのだ。


「め、滅相もございません」

 代々、彩子の家系は『お主、呪詛(じゅそ)(呪い)をかけたであろう』とかいうあらぬ嫌疑をかけられ迫害されてきた歴史がある。ここは平身低頭誠意を示すしかない。

 幸運な事にここで強の助け舟が入る。


「俺はお前の男女混合騎馬戦を見てみたいぞ、くのいち」

 と強。身長178センチの茶髪。くのいちより少しだけ背が高い。やっとここで第5部で初めてのセリフが出た。『ケンカ十段』などと呼ばれているが気の良いお人好しの主人公である。


「グーパンチはありなの?」

 と騎馬戦にも乗り気なくのいち。いいぞ、ルール無用の悪党に正義のパンチをぶちかませ。ちなみにパンチはプロレスではルール違反である。

「俺が馬になってやってもいいぜ」

「またくのいちさんが騎乗ですか?」

挿絵(By みてみん)

 と琢磨。

「強く〜ん、液体のチャージしておいてね〜」

 とミルク。


 これにはくのいちも赤面。ミルクのこの手の攻撃にくのいちは弱い。くのいちは以前、強とアウトレットデートの権利を賭けて決闘した。

 くのいちが卑怯な戦法で強からマウントポジションを奪った。その際、琢磨とミルクの陰謀でくのいちは強と共に包帯でグルグル巻きに縛られてしまったのだ。強との騎乗(マウントポジション)の体位であったはずが、縛られて正常な体位に無理やり持ち込まれた。

挿絵(By みてみん)

 危うく強に液体を放出されかけた。


 チョコが隣にいる強に小声で囁く。

「ねえ強、正常位Cって言うと、高級なスーパーみたいだね」

 とお気に入りのジョーク。強と二人だとリミッターが解除気味になる。

「俺はああいう店は怖くて入れないぞ」

 とチョコの耳元で返事する強。

「大丈夫だよ強、今度私が入れてあげるよ」


 ちなみに茨城県土浦市には『亀城公園』があるが、夜の公園でそんな事をするとお巡りさんに『めっ』された挙句、『バカップル、夜の亀城公園で騎乗』との見出しで東スポの一面を飾ってしまうので注意したい。


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