第209話 エピローグ② 琢磨に蘇生術を施すミルク(これにて第4部終了)
狭い救護室で意識の無い琢磨を横にさせるミルク。
「取り敢えず心臓マッサージだよね〜」
無抵抗の琢磨の胸を存分に堪能するミルク。
「や、やっぱりこういう時は人工呼吸もしなくちゃダメだよね〜。これは不可抗力。命の為に必用なのよ〜」
辺りに人はおらず、誰もミルクを止められない。
「心臓だけじゃ不十分だわ〜。もっと下の方もマッサージしてあげなくちゃ〜」
実際、『彼氏が彼女にされて喜ぶ事』をネットで検索すると必ずマッサージが上位に入る。彼氏を上手に立ててくれる彼女もポイントが高いらしい。
「きっと足でもマッサージしてあげているのだろう。ふくらはぎは第二の心臓とも言われているから」
と穢れを知らない作者。
「今日はクッキーは持ってこなかった〜。直接飲めば効果百倍だよ〜」
第二部のヒッキーの仮想現実世界で、琢磨が死にかけた時、ミルクはウエディングドレスのビスチェを脱ぎ捨てて上半身ブラ一枚になった。あれって……。
暫くして二人は救護室から出てくる。
「もう大丈夫です〜。ありがとうございました〜」
と係員に挨拶するミルク。
インタビュアーが二人に近づく。
「救護室があるなんて、しっかりした遊園地ですね。琢磨さん、大丈夫ですか?」
琢磨は明るい表情でポーズを取って見せる。
「この通り元気ピンピンです」
さっきまでとは別人の様である。マッサージが効いたのか。
「顔色も随分良くなりましたね、安心しました。でもお顔がちょっと赤い様な……」
「琢磨さ〜ん、次は『イッツァスモールちゅくば』に乗ろうよ〜」
乗り場から二人を見送るインタビュアー。
「このアトラクションはゆったりしているので、休憩代わりにも使えますよねー」
アトラクションから戻って来た二人。今度は琢磨がミルクの肩を支えて歩いている。
「どうしましたか、ミルクさん」
「私、乗り物酔いしちゃったみたい〜。近くのホテルで休みたいわ〜」
と棒読みのセリフのミルク。
「あ、あそこに日帰り利用のできるホテルがあります」
と琢磨。
「お二人は高校生ですから、お酒に酔った勢いでホテルに入るなんてダメですが、乗り物酔いでホテルのデイタイムユースを使うなら合法ですよねー」
とインタビュアー。
ホテルに向かう二人の横に付いて、大きなうちわでそよ風を送るヤンキーとヒッキー。なんだ、まだいたのか。
「やっぱ、彼氏がいないと人生つまらないよな」
と呟くヤンキー。
「拙者は今日、一つ大切な事を学んだでござる」
「何だヒッキー、言ってみろよ」
「絶叫マシンに行列している女の子って、巨乳の割合が少し高い気がするでござる」
「人間、前向きに生きると何かしらの収穫があるもんだな。今日はあたし、うっかりノーブラで来ちゃったけど、ヒッキーと二人じゃどうでもいっか」
思わずヤンキーの胸の辺りを見つめるヒッキー。
「こら、あたしをご褒美にするな、ヒッキー」
こうしてちゅくばケーブルの『わらしべ可愛い子探し』の収録は無事に終了したのであった。めでたしめでたし。
「あっ、たった今ミルクさんと琢磨さんが休憩から戻って来ました。不思議です。休憩から戻って来た筈なのに、お二人は体力を消耗している様子です」
余計な事を言うなよ、インタビュアー。
それから半年後。仁希先生はめでたく結婚となった。
「ミルクちゃんのおかげなのれす。あれから私は、彼に積極的にアタックできるようになって……」
「先生の体の中で何かが目覚めたんだね〜」
「順調にいけば、半年後には産休を取れそうなのれす」
「産休って妊娠9ヶ月から取れるんだよね〜。って事は逆算すると〜」
「何れすかミルクちゃん」
「受精したのは期末試験の頃だよね〜」
「先生は私たちが苦しい試験勉強をしている時、何をしてたのかな〜?」
「ミ、ミルクちゃんには頭が上がらないのれす」
五人力の脅迫メール騒動はミルクが割井校長に働きかけて、内々で済まされていた。(ミルクは学費及び生活費が支給される特別留学生の待遇で割井校長夫妻の家に居候している)。仁希先生は身も心もミルクに支配されてしまったのだ。
こうして五輪仁希先生はめでたくミルクの下僕2号となった。ちなみに1号は頭にバンダナを巻いたヤンキー。
「次はどの子を下僕にしようかな〜」
とつぶやくミルク。第5部が待ち遠しい。
ガーディアンデビルズ第4部 完




