第195話 ガーディアンデビルズ 緊急早朝ミーティング
時間を昼休みから五時間ほど戻す。早朝のガーディアンデビルズの部室。メンバーを囲む割井校長。プロジェクターのスクリーンには例の怪文書の文言。
『ちゅくば市随一の学園の一番カワイイ人をサライに参ります。決行日時は学園で一番大事なイベントの放課後です。五人力より』
割井校長が一同に説明する。
「昨日からこの怪しげなメールが生徒の間で出回っているらしい。このメールを受け取った人はいるかね」
ミルク、くのいち、チョコ、彩子が挙手する。
「私は一週間くらい前に目にしました」
と松戸彩子。早いな。こういう怪しいメールはまず彩子に回しておこう、と考える人は少なからずいるのか?
琢磨が口を開く。
「このメールは一種の犯行予告ですよね? 警察に連絡はしたのですか?」
「君ならどうするかね、琢磨君?」
「……確かに微妙な文章ですよね。誰が、どこが標的になっているのかがわからない。日にちもはっきりしない。爆破予告でも殺人予告でもない」
割井校長が答える。
「『うちはちゅくば市随一の高校ですから、我が校の一番カワイイ生徒を守って下さい』とおまわりさんにお願いするかね?」
「おっしゃる通り、難しいですよね。せめて日にちだけでも特定できればいいのですが」
「『学園で一番大事なイベント』とは何か、という事だな」
チョコが口を開く。
「昨日の放課後、校長から連絡を受けて、あらかた調べてみたよ。鍵になるのは『放課後』だよね。つまり祝日じゃない」
「創立記念日でもない。平日ですよね」
と琢磨。チョコは自分の携帯の画面を見ながら言う。
「学園祭は二ヶ月前に終わったばかり。遠足や修学旅行も何ヶ月も先。焼き芋会も秋の終わり頃だし、林間学校は夏休み中だから放課後じゃない。スノボ合宿も冬休み中だよね。餅つき会はお正月だし家庭科の調理実習も……」
「税所君、今は『学園で一番大事なイベント』の話をしているのだが」
「チョコは〜『大事なイベント』を『楽しいイベント』と考えているんだよね〜」
とミルク。
「じゃあ楽しくないイベント。割井校長のお誕生会。二ヶ月前だから次は十ヶ月後」
(実はチョコが一生懸命盛り上げていた)
「他にどんな楽しくないイベントがあるんだ、チョコ?」
と強。
「校内大掃除は三ヶ月後。予防注射が二ヶ月後」
「(その日は〜仮病を使って休も〜う)」
とミルク。
「魚池系列三校統一テストは先週終わったよね。強烈に楽しくなかったけど。あ、楽しいイベントは球技大会があるよね」
「それだ!」
と割井校長。
「球技大会は学園で一番大切なイベントだよね」
とチョコ。
「そうじゃない。三校統一テストの話だ」
「だから次は半年先だってば」
「テストの結果が公表されるのは明日だ。生徒の大学の推薦の選考基準にもなる大切な日なのだ」




