第186話 第3部エピローグ② 古門先生の大量出血の原因 (これにて第3部完結)
翌朝、古門劇代のアパートの部屋。彼女は下半身からおびただしい出血をして倒れている。
数日後。ガーディアンデビルズの部室。メンバー一同が会している。そこに割井校長と奥さんの割井イシヨ医師が入って来る。
「先日は一同、ご苦労だったな」
と校長。くのいちが彼に近寄る。
「それで、古門先生の処遇はどうなったのですか? まさかお咎め無しとか?」
校長を責める様なちょっと怖い顔で睨むくのいち。
それを制する様に妻のイシヨ先生が口を挟む。
「みんなよく聞いて。これから話す事は個人情報に関わる事だから、くれぐれも他言無用でお願いするわ」
それを聞いて神妙にうなづく一同。
「三日前、古門劇代先生が魚池の附属病院に救急で入院したわ」
「入院って、病気でもあったのですか?」
とチョコ。
「デリケートな問題だからこれは聞いた瞬間に忘れて欲しいのだけど、彼女は重度の痔を患っていたらしいの。三日前の深夜、それが大量に出血して、意識を失って倒れたそうよ。どうにか119番をして救急車を呼べたらしいけれど、電話できなかったら危なかったらしいわ」
痔の手術後の大量出血は時に命を落とす事もある。手術とは関係なくても痔からの大量出血で失神、などはたまに耳にする話ではある。
『古門、肛門から大出血』などと不謹慎な駄洒落を言う場面でもない。
割井校長が言う。
「今日、面会許可が下りて古門先生に会ってきた。彼女は自主退職するそうだ」
「学校側にとってはそれが一番丸く収まるわよね、ダーリン」
とイシヨ医師。
「自主退職だから退職手当は出ない。税所君達が暴いてくれた古門先生の問題も、あくまでダイブの中の事だから無理に表ざたにしなくてもいい。松戸彩子君も立ち直ったみたいだし、これで全て丸く収まったわけだ」
「あんたは丸く収める事に命かけてるわよね」
「あんたじゃない。割井校長先生だ」
「やっぱり古門先生ってお尻が痛かったんだね〜。私達の演劇を見ている時もずっと立ちっぱなしだったし〜」
「(そういえばダイブの世界でも、古門はずっと立っていた。椅子も真ん中に大きな穴が空いている丸椅子だった)」
と振り返るチョコ。
古門の大量出血はただの痔のせいだったのか? それとも彩子の藁人形の力? はたまたミルクが困っているチョコに不思議な力を与えたのか?
後日、チョコは彩子に藁人形を返しに行く。
「彩子、呪いのアイテムを貸してくれてありがとう。これ、勝手に捨てていいのか分からなくて一応持ってきたんだけど」
「チョコ、そんなにマジにならないでよ。ただの人形なんだから」
そう言ってチョコが持参した藁人形を受け取る彩子。五寸釘は刺さったままである。それをまじまじと見つめて彩子が言う。
「ねぇチョコ、五寸釘を刺す方向が裏表逆だったね。これじゃあ効き目はなかったんじゃない?」
釘は人形の尻の穴の辺りにグサリと刺さっていた。
ガーディアンデビルズ第三部 完




