表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ガーディアンデビルズ〜学園治安維持の会〜  作者: トミロン
第3部 サイコなヒロイン、演劇部の松戸彩子(まつどさいこ)編
184/243

第184話 野球拳リターンマッチ

古門との二度目の野球拳勝負に挑むチョコ。前回の反省を踏まえ、今回は本気で命懸けで全力で臨む。

 まさかこんな展開になろうとは誰も予想していなかったので説明をしていなかったが、チョコも古門もブラウスにスカートのいで立ち。条件は互角だ。

「(古門は完全にお手上げの状態だ。ここはパーでくるだろう。あたしはチョキだ!)」




 ミルクの道具屋ではメンバー達がチョコと古門の帰りを待っている。退屈しのぎに女性陣は池面をオモチャにして遊んでいる。

挿絵(By みてみん)

「ねぇ、池面君を縛っちゃおうよ〜。私、一度〜男の子で輪投げをしてみたかったんだ〜」

挿絵(By みてみん)

「(男の子で輪投げ……やっぱミルクって発想が魔女的だ)」

挿絵(By みてみん)

 とドン引きしながらも顔を赤らめてヨダレを流しているくのいち。



 場面戻って、野球拳を開始して約十分後の取調室。

挿絵(By みてみん)

 

 腕で胸と股間を覆ってコミカルに涙を流している全裸のチョコ。古門の足元にはチョコの着ていた制服と下着。

挿絵(By みてみん)

「負けたーっ!」

「勝ちました。マスター。この服はどうすればいいのですか?」

「これはあんたが勝ったんだから受け取れ!」

「こんな小便臭い幼女の服なんて貰っても嬉しくないのですが、マスター」

「だったら今すぐネットオークションで売れ!」

「わかりました」


 古門はチョコが脱いだ服を一枚ずつ写真に撮り、最後にチョコの顔写真も撮る。

「万全を期して一円スタートにします。マスターの顔写真は目には黒い横棒を入れておきますね」


『あたし、UO池学園ソフトボール部のピチピチの女生徒です。今、部活の顧問の先生と野球拳をして負けちゃったんで、仕方なくブラとパンツを売ります。みんな入札してね♡』

 との文言。古門が気を利かせて文章を書いたらしい。

挿絵(By みてみん)


 チョコの顔写真付きで制服と下着はネットオークションにかけられた。ダイブの仮想現実ならではのイベントだろう。これが現実だったら大問題だ。しかし……いくら待っても買い手が現れない。


「古門、もっと死ぬ気で売れ!」

「わかりました、マスター。『いい兵衛(べい)』と『仮りメール』にも出品します」


 しばらくして古門の携帯がピロリンと鳴る。

「あっ、連絡が来ました、マスター! ……えっとですね、『ご出品のアイテムですが、当方の受け取り後の処理が必要かと思われます。処理に必要な経費の明細を案内致します』だそうです」

「経費って何なのよ!」


「ガラス固化処理の後、鉛でコーティングして、地下二百メートルの貯蔵庫に何百年も貯蔵が必要だそうです。その費用が三十万円ほどと」


「あたしの服は危ない廃棄物かっ! それに費用も中途半端っていうか……」

「マスターも、もう少し着込んでから野球拳に挑めばよかったのではないですか? ブラウスの下がいきなりブラジャーでしたから、あっさり決着がついてしまいました」


「作者は男子校出身だから、ブラウスの下は体操着だったりキャミソールだったりするなんていう展開は思いつかないのよ!」

「そうですよね。いけないビデオの知識だけだと、制服の下はいきなりブラジャー、となっちゃいますよね」


 チョコは古門に慰められ、服を着てこの場はお開きとなる。

 二人がミルクの道具屋に戻って来た時、池面は紐でグルグル巻きに縛られ立っている。そこをめがけてミルクがフラフープの大きな輪っかを楽しそうに投げている。


「なーんだ。輪投げって、服を着せたままか(あたしはてっきり、裸にひんむいて柱に縛りつけて……えっ、それじゃあ輪投げの輪っかが通らない?……いえ、成せばなるわよ!)」

 ともあれがっかりするくのいち。


 一同は道具屋の中で手を取り精神を集中させる。皆の精神は無事にSF研ラボのカプセルに帰還する。こんな結末で良いのだろうか?



 数日後、真夜中のちゅくば山への山道。人気の無い林の間をろうそく片手に登る白装束の幼女。髪は短めの天パ。チョコである。真夜中でチョコレート色の肌だと透明人間になってしまうので、ホワイトニングしている。

挿絵(By みてみん)

「古門劇代! 呪ってやる! 現実世界でもギッタギタにしてやる!」

 そう呟きながら、ろうそくの灯りだけを頼りに真夜中の山道を歩く彼女。この時間はちゅくば山ロープウェイは運転していないので歩くしかないのだ。


 真っ暗な人気の無い山道。ふと一陣の風が吹き、チョコの手にしていたろうそくが消える。それとほぼ同時に『ギャアギャア』という声。


 チョコが驚いて声の方を見るとガサガサと物音。震えながら背中のバットを抜く……どうやらカラスであった様だ。


「なんだ。脅かさないでよ」

 そう言って一息ついた次の瞬間、今度は犬の遠吠え。


「近くに養犬場でもあるのかしら。何か気味が悪いわ」

 チョコは心細くなり、携帯を手にしてガーディアンデビルズの仲間たちに電話する。しかし今は真夜中の二時。誰もつながらない。


「この時間じゃみんな寝ているよね」

 片っ端からリストに電話をかける彼女。残るはあと一人だけ……やった! つながった!


「もひもひ〜?」

もひもひの声の主はもひかひて……次回から第3部のエピローグに向けて話は進む。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ