第183話 古門劇代への刑の執行
古門先生の罪状を明らかにするチョコ。しかし先生に謝罪の意思は感じられない。さてどの様な刑を下すのであろうか?
「教師と生徒がショッピングモールを一緒に歩いちゃいけないの、マスター?」
「いい、いけない、の話ではないの。私は事実を知りたいだけ」
「松戸彩子さんが乱れた服装でショッピングモールで自撮りをしている画像を自分のSNSにアップしていた。私は偶然それを見つけて、彼女に削除する様に指導した。それが事実です」
「あんたは池面とデートしていたのがバレるんじゃないかと恐れて、彩子を脅したんだ」
「脅した覚えはありません」
と古門。
「あんたが演劇甲子園の辞退を決めた事で、部員の間では『彩子さんのせいだ』っていう評判になったんだけど」
「私もそんな事になるとは思いませんでした。私は演劇部員から流行り病が発生したのでやむなく演劇甲子園の辞退を決めたのです」
「部員向けのホームページには、『松戸彩子さんが問題の自撮り写真をSNSにアップしたから、連帯責任で出場辞退を決めた』というニュアンスの書き込みがあったんだけど。それを書いたのは当然、古門、あんただよね」
「松戸さんの自撮り写真と出場辞退は関連はありません。私がそんな書き込みをした証拠でもあるのですか、マスター?」
答えに窮するチョコ。彩子によると確かに古門のそんな感じの書き込みがあったらしいが、それはとっくに削除されていてもうどこにも残ってはいない。
「あんたの罪状は池面と二人でショッピングモールを腕を組んで歩いていた事だけか」
成り行きを見守っていた池面、クコリーヌのコスプレをしたくう子、カツ丼を運んで来たウエイトレスのミルクの三人にチョコは言う。
「ここから先はあたしと古門の二人でケリをつける。みんな、席を外してくれるかな?」
「チョコ、いえマスターに任せるよ〜」
とミルク。
「それとあんたの道具屋のモニターもオフにして、ミルク」
「マスターの仰せのままに〜。ご自由に拷問でも処刑でも〜」
いつもの癒し系の優しい笑みを浮かべながら残酷な言葉をしれっと言うミルク。池面とくう子はミルクのこの言葉にドン引きしている。
ミルク、池面、くう子の三人は部屋を後にする。残ったのはチョコと古門の二人のみ。
「お待ちかねの処刑の時間だ」
そう言ってチョコレート色の剣を古門の喉元に突きつけ睨みをきかせるチョコ。
「さあ古門、戦うなら相手になってやる。武器は隠し持っていないの? モンスターに変身したりはしないの?」
「マスターの信念に従った裁定を」
と古門。
チョコはその言葉に何故か怒りが込み上げ、剣で古門の喉を一センチほど突き刺す。喉からはたらたらと出血。なおも無抵抗の古門。
チョコは更に剣をあと一センチ深く古門の喉に差し込む。流れ出る血に勢いが出てくる。
「うっ……」
と痛みに耐えながらも動こうとはしない古門。
「あたしの信念に従えだと? 偉そうに命令するな! お前の存在ごと浄化してやろうか!」
声を荒げるチョコ。しかし辺りを見回しても野球の神様は登場する気配は無い。今の古門は浄化の対象にはなり得ないのだ。さあどうする。このまま怒りに任せて彼女を切り刻んでしまおうか?
「何故抵抗しない! 彩子がマンションの五階から危うく飛び降りそうになったのはお前のせいだ! お前がここで悪あがきでもしてくれたら、私はお前を喜んで処刑するだろう!」
古門は額から脂汗を流しながらも無言で無抵抗。痛みをこらえながら、首からダラダラと流血は続く。
それを見てチョコは古門の喉に刺さった剣を抜く。
「傷口を押さえろ。五分もすれば血は止まるだろう」
チョコの指示に素直に従う古門。
「よしわかった。お前に一つだけチャンスをやる。私と勝負しろ。お前が勝ったら、お前と池面の件は学校側には口外しない」
「どんな勝負なのですか、マスター?」
「私と野球拳で勝負だあーっ!」
余りに荒唐無稽な展開に作者も唖然。バットや携帯を自在に操るこまっしゃくれた幼児体型の幼児と、さほど美人でもない四十過ぎの女性との、裸を賭けた対決だ! 一体誰需要なのだ? この展開には読者も呆れているはずだ。
チョコは剣の柄の部分をカチリと押す。剣は元のバットに戻る。
「お前が負けたら全裸のお前にケツバットを打ち込む。その後でズブズブとあんな事やこんな事もしてやる!」
そう言ってバットをブンブンと振り回すチョコ。もう古門は武力では完全に制圧した。彩子への卑劣な行為とその不純な動機も暴いてみせた。あとは知力で圧倒して辱めを与えるだけだ!




