第18話 治安維持の会、ガーディアンデビルズと改名
「治安維持の会」という名称はダサい。不満を述べるくのいちにミルクが素敵な代替案を出す。「ガーディアンデビルズ」という名称はミルクの発案なのだ!
場の盛り上がりを冷ます様にくのいちが手を上げる。
「校長、一ついいですか?」
「何だね、久野君?」
「この『治安維持の会』っていうネーミング、ダサくないですか? もうちょっとカッコよくならないですかね?」
「それは私も考えていたところだ。それでこんなのはどうだろう?」
校長は『ガーディアンエンジェルズ』と書かれたロゴをスクリーンに映す。
「ガーディアンエンジェルズ。学校の平和を守る天使達、という意味合いだ。どうかね?」
くのいちは親指を下に向ける。
「ダメよ。それじゃあまるであたし達がいい人みたいじゃない。こっちは報酬をもらって働くのよ。ボランティアじゃないんだから」
聴衆からは『報酬?』とざわめきが起きる。校長が説明する。
「治安を乱した生徒にはこちらで定めた罰金が課される。被害を受けた生徒や携帯チームの情報などを元に生徒指導室が裁定を下す。父兄には了解を得てもらっている。罰金の何割かは治安維持の会に還元される」
聴衆のざわめきをかき消す様にミルクが言う。
「それじゃあ〜『ガーディアンデビルズ』なんてどうですか〜?」
「あ、それカッコイイ。それでいこうよ」
くのいちの言葉に琢磨が続ける。
「校長先生、『ガーディアンエンジェルズ』という組織は既に存在します。くのいちさんの言う通りボランティアの団体ですが」
「皆もそれで異存が無ければ私は構わないが」
と割井校長。
聴衆からも『いいんじゃないの?』『やってもらおうよ』との声と拍手。
「じゃあ『ガーディアンデビルズ』で決まりね」
とくのいち。
チョコが手を上げる。
「ねぇ、携帯の連絡チームは『携帯アーミー』って呼んでいい?」
強が答える。
「大丈夫だ、チョコ。有料の報酬だ、ガーディアンデビルズだ、とかが決まった後でわざわざ反対する奴はいないさ」
聴衆からは再び拍手。チョコは聴衆を味方につけた様である。
「最後にもう一つだけ」
と割井校長が言う。
「校内のトラブル解決は腕力だけではどうにもならない面がある。我が校では心の問題にも取り組むべく、画期的なシステムを開発中だ。魚池大学のSFキャンパスの技術者達が『ダイブシステム』とよばれる装置で深層心理を映像化する試みを実行中だ。システムの構築に多大な貢献をしてくれているのが森野ミルク君だ」
スクリーンに制服姿のミルクが映る。身長百六十センチ、推定Fカップのバスト、緑色の髪に赤い瞳、ヨーロッパの森の妖精の様な顔立ちのミルクがいつものおっとり口調で話す。
「深層心理の世界を冒険するダイブシステムが〜やっと完成したよ〜。適合者がいたら〜私から声をかけるから〜、その時はよろしくね〜。スリーサイズは〜ガーディアンデビルズの仲間になった人には〜おいおい公表するね〜」




