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ガーディアンデビルズ〜学園治安維持の会〜  作者: トミロン
第3部 サイコなヒロイン、演劇部の松戸彩子(まつどさいこ)編
179/243

第179話 校長と組んで古門先生を嵌めるくのいち

文化祭のガーディアンデビルズの演劇もこれでフィナーレ。この演劇には別の目的があった。くのいちがカーテンコールの直後から動き出す。

 彩子は、悪の組織の下っ端達を見つめる。そして彼女達をいさめる様に言う。


「みんな聞いて。日本は法治国家なのよ。現状に不満があるのなら民主主義的手法を取るのが筋ってもんでしょう!」

「民主主義的手法って、どうすりゃいいんだ?」

 とヤンキー。


「今度の校内の人気投票では、オーディションに落ちたスレンダーな子に投票すればいいのよ」

 これは悪の組織とか世界征服の話ではなかったのか? しかし組織の下っ端一同は大きくうなづく。

「そうよね、私達の清き一票で日本をより良い方向に導けばいいんだわ」

 校内の人気投票で日本を導けるのか? それはさておきエンディングの様だ。


 楽しい音楽が流れる。一同、手をつないで輪になり、ランランランと歌を歌いながら、グルグル回る。これでおしまいか、と思ったら、ミルクが例の如く余計な一言を言う。


「水晶玉や藁人形で人を倒しておいて〜、法治国家だとか民主主義だとか言うのは変じゃな〜い? それにあなた達、まだ選挙権もないよね〜?」


 一同、ミルクを取り囲み袋叩きにする。

「うわあ〜やられる〜。今日のところはあなた達の勝利という事にしておいてあげるわ〜。だけど覚えておくのね〜。たとえ私を倒しても〜すぐにオーディション一発合格の悪の女幹部が現れて〜あなた達を苦しめる事になるのよ〜。悪の組織万歳〜!」


「こうして、民主主義を愛する若者達は森の動物達と幸せに暮らしましたとさ」

 とのアナウンスが流れて、幕が降りる。観客からは拍手喝采。


「ブラボー! アンコール!」

 と観客の声が飛び交う。


 観客の拍手に応え、再び幕が上がる。出演者全員が横一列に並んでお辞儀をする。くのいちは彩子に近寄り彼女を軽々とお姫様抱っこする。

「彩子、頑張ったね。胴上げするわよ!」


 メンバー達がそれに加わる。『ブラボー、ブラボー!』という掛け声と共に宙を舞う彩子。


「今回の主演と脚本の一部を担当した松戸彩子さんです。皆様、大きな拍手を!」

 とのアナウンス。


 彩子は感涙している。寸劇ではあったが、観客の反応は良かった様だ。


 くのいちはもう一度幕が降りるやいなや、すぐに舞台袖に姿を消す。彼女はくのいちとしての大事な仕事がまだ残っているのだ。


 満場の拍手の中、席を立ったまま観劇していた古門劇代先生にくのいちが近づく。隣の客席には第一部で活躍した割井校長もいる。くのいちはお盆に飲み物を乗せている。


「古門先生、今日は私達の劇を観に来てくれてありがとうございます」

「校長先生が主演している演劇ですからね。私も楽しませてもらったわ……それにしてもここ、なんか暑いわね」


「空調がちょっとおかしいみたいなんです。私達も汗だくで」

 くのいちはお盆に乗っている飲み物を差し出す。よく冷えたお茶の様である。

「一杯いかがですか?」

 一瞬戸惑う古門先生。すると割井校長が言う。

「私もちょうど喉が渇いていたところなんだ。古門先生もどうですか?」

挿絵(By みてみん)

 校長にそう言われてはむげに断るわけにはいかない。

「ではいただきます」

 古門先生と割井校長は汗のかいたグラスに入っている冷えたお茶を飲み干す。微笑むくのいち。

「(かかった)」


 お茶を飲んで数分間、雑談をする古門先生と割井校長。すると今までずっと立っていた古門先生が座席に座り込む。

「どうしました、古門先生?」

「何か今急にめまいが……」

「そうですか。実は私も……」


 数分後、客席で眠り込む割井校長と古門先生。それを見つめて声をかけるくのいち。

「古門先生、こんなところで眠っちゃダメですよ。私がお連れしますね……SF研出張所のラボまで」


 そこにミルクも近づいて来て割井校長に声を掛ける。

「お父さ〜ん、寝ちゃったの〜? 私がお家まで自転車で送るよ〜」

 すると校長が目を覚ます。

「私は寝たふりをしていただけだよ。久野君のお茶も飲んでいない」


「な〜んだ。せっかく奥さんの割井イシヨ先生が『一度、眠り薬プレイを試してみたかった』って言っていたのに〜」

「本当かね、ミルク」

「な〜んちゃって〜」

 ミルクの『な〜んちゃって〜』は安易に信用できない。大抵マジである。


「私は久野君のダイブの補佐役という大切な役目があるからね。私がいないとダイブの世界で久野君の体が寂しがるだろう」


「そういう冗談はダイブの世界だけにして」

 とくのいち。

「悪かった。お嬢、いや久野君」


 劇を見終えて講堂を後にする生徒達からは感想が漏れ聞こえる。

「ミルクちゃんって、あんな憎まれ役をやってもやっぱり癒されちゃうよな」

「あたし、次の人気投票はくのいちに入れる」

 などなど。そんな聴衆を尻目に古門先生を肩で軽々と背負って、くのいちはSF研出張所に向かう。


古門先生に一服盛り、眠らせたくのいち。これから学園のSFラボに連行して、先生を黒いカプセルに入れるつもりの様だ。古門先生の仮想現実世界がダイブの世界で創造され、ガーディアンデビルズの面々が白いカプセルに入って探検をする。前回の彩子が創造した仮想現実では、彼女の心が生み出した古門先生のモンスターが登場し、チョコはコテンパンにやられた。今回はリベンジなるか?

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