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ガーディアンデビルズ〜学園治安維持の会〜  作者: トミロン
第3部 サイコなヒロイン、演劇部の松戸彩子(まつどさいこ)編
178/243

第178話 正義の呪いパワーで悪の女幹部を倒せ!

彩子の武器は水晶玉だけではない。あの究極の呪いグッズも持っているのだ! 水晶玉は台座付きで1600円、呪いの藁人形は400円くらいでアマゾンで買える。彩子はアマゾンのよいお得意様だ。

下っ端とくのいちはミルクを取り囲む。

 それを見て状況を冷静に分析するヤンキー。「悪の女幹部が不利になってきた。よし、今ならいけるかもしれねえ。水晶玉のサイコな人、目を覚ませよ!」


 ヤンキーの必死の問いかけに、意識を取り戻す彩子。

「やっと目を覚ましたね、サイコな人。今、悪の組織が仲間割れしているところなんだ。客席からも自称正義の味方を名乗る、悪のオーディションに落ちた女が乱入したりで。あんたの力で何とかならないのか?」

 とヤンキー。

「悪の組織の女幹部が取り囲まれているのね。でもあの電気スタンド攻撃には、私の水晶玉は役に立たない……ここは奥の手を使うしかないわ!」


 彩子はそう言うと、懐から人形と木槌を取り出す。思わぬ展開に呆気に取られるヤンキー。


「ムンクのレインコートに頭にはロウソクを立てたしめ縄、手には水晶玉を持って、肩から『いいもの』と書かれたタスキをしているサイコな女が今度は呪いの笑人形と木づちを取り出した!」

挿絵(By みてみん)

 もうこれはライトノベルの限界を超えている。文章だけでは訳が分からない。誰か映像化して欲しい。藁人形も笑人形になってしまっている。しかも人形は緑色の長髪に赤い瞳。ミルクだ。


「正義の呪いのパワーを受けてみて、えいっ!」

 彩子はそう言うと、木づちで人形の頭部を『ぽすっ』と叩く。

 それと同時にミルクが叫び声を上げる。


「うわ〜ん、頭が痛いよ〜」

 頭を抱え込みうずくまるミルク。


「すごいじゃない彩子、正義の呪いの力は絶大ね!」

 くのいちはそう言って苦悶の表情を浮かべるミルクを見つめる。


『ぽすっ、ぽすっ』と木槌で人形の頭部に攻撃を加える彩子。やがてミルクは倒れたまま、動かなくなる。

 それを見届けてくのいちは彩子に近寄る。

「よし、とどめよ! ねえ彩子、人形と木槌を貸して!」

 そう言って彩子のアイテムをひったくるくのいち。

「どうするのですか、くのいちさん?」


 くのいちは床に寝かせた人形の胸部を、横に寝かせた木槌の柄でごしごしと押し付ける。


「でこぼこは平らにしなくちゃね」

 なんとくのいちは呪いの人形の力でミルクの胸を潰そうとしているのだ。これを見て驚くヤンキー。


「なんて恐ろしい事を考えるんだ。この客席から飛び入りしたくのいちさんは。ミルクさんのバストをぺしゃんこにしようとするなんて」


 彩子は半ば呆れてくのいちに言う。

「くのいちさん、気持ちは分かりますが、私の人形にそんな痒い機能はついていません。他人のバストを羨むよりも、己のバストアップに励むのが建設的な対応なのでは?」


「牛乳も毎日飲んでる! フィットネスクラブで大胸筋も鍛えている! ナイトブラも毎晩着用している! マッサージもしている! それにあんただって人に同情できる立場じゃないでしょ!」

 と彩子の胸の辺りを見つめるくのいち。

「と、とにかく、悪の組織の女幹部は倒せたみたいです」


 悪の組織の下っ端達はミルクが敗れて歓喜の声を上げる。

「やったー!」

「幹部を倒したわよ!」

「やっぱり最後に悪は勝つのね!」


 そこに彩子が悪の軍団に近づいて言う。

「あなた達、いい加減気付いて。女幹部のバストを平らにしたところで、あなた達のバストは変わらない。オーディション一発合格の女を憎んでもそれであなた達が合格できるわけじゃない。池面君に二股をかけていたヤンキーに改造人間の手術をしても、それで池面君が戻ってくるわけでもない」


「戻ってくるかもしれないじゃない!」

 と下っ端のリーダー格の女生徒が言う。

 すると倒れているミルクが口を挟む。


「無理だと思うよ〜。池面君、まだ私にゾッコンだもの〜。ついこないだも『メガネ少年の魔法アトラクション遊園地に行こう』って私を誘ってきたも〜ん。あそこは大阪だよね〜。日帰りはキツいかも〜」


「リア充は敵だ! もう一度女幹部を倒そう!」

 とくのいち。

「池面とは大洗水族館にしか行った事がねえのに……大阪じゃあ改造チャリでも行かれねえよぅ……」

 とヤンキー。

「大洗より、池袋のサンシャイン水族館の方がオシャレなのよ!」

 とヤンキーの恋敵の悪の組織下っ端リーダー。彼女は『ヤンキーは池面君と大洗水族館にしか行った事がないけど、私は二人で都会のサンシャイン水族館に行った』と自慢したいらしい。

 


 

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