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ガーディアンデビルズ〜学園治安維持の会〜  作者: トミロン
第3部 サイコなヒロイン、演劇部の松戸彩子(まつどさいこ)編
154/243

第154話 事件は収まり部室で反省会

マッチングアプリで「強に抱きしめられたい」と要望していたくのいち。さらに彩子からは「告白される」と予言もされていた。これらは実現の運びとなった。

 同じ日のお昼頃。ガーディアンデビルズの部室の入り口には『反省会中』と書かれた張り紙。中には強とくのいち。


「ではこれから反省会を行うわ」

「反省会って……家賃はもう少し待ってくれる約束だろう?」

「そうじゃなくて、あんたに言いたい事があるの」

「何だよ。家賃の値上げには断固反対するぞ。なんだったらクラスメート達の署名だって集めてやる!」

「あたし、怖かったんだからね」

「俺もお前にまた拷問されるのかと思うと怖い」

「あの時、彩子は本気だった。あたしもどうしたらいいかわからなかったんだよ」


 強は急にシリアスな表情になる。

「お前は体を張って彩子を助けた。本当にすげえよ」

「体の震えが止まらなかった。あたしも死ぬんじゃないかと思った」

「お前の言葉で彩子は飛び降りをためらった。それで俺が間に合ったんだよな」


「慰めてよ、強」

 この言葉に当惑する強。

 彼はくのいちの頭を優しくなでなでする。


「よちよち、一恵っち、がんばりまちたね。えらいえらい」

「あたし子供じゃないんだからねっ! もっとちゃんと慰めて!」

「慰める、子供じゃない……って事は慰みものにすればいいのか?」

挿絵(By みてみん)

「あんた日本語おかしいでしょ! ちゃんと口で慰めてよ!」

「口でやればいいんだな」


 そう言ってくのいちを見つめる強。

 くのいちはそれを見て赤面する。


「ちょ、ちょっとー」

 彼女はそう言って、何故か左腕で自分の胸を覆い、右手で股間を覆ってしまう。何を想像してるのだか。


「お前何やってんだ? 見ているこっちが恥ずかしいぞ」

「うるさい! 手が勝手に動いただけ!」

 てっきり彼女は自分で慰めるのか、と作者でさえも勘違い。いや、それはないか。


「おいくのいち」

 再びシリアスな表情でくのいちを見つめる強。

「あによ?」

「お前に一つ告白しなければいけない事がある」

「えっ!」

 遂にこの言葉がキター!。くのいちは彩子の水晶玉のお告げを聞いて以来、ずっとそれを待っていたのだ。

 くのいち、固唾を飲んで強の言葉を待つ。


「何でも正直に言ってよ」

「お前って自分の得にならない事でしか動かない女だと思っていた。でもそれは俺の見込み違いだった。ごめんな。お前って普段は見せないけど、いい所あるんだよな」


 愛の告白ではなくてがっかりするくのいち。でもせっかくの告白なのだから自分からも一歩踏み出そうと考える彼女。


「そうよ。少しは惚れ直した?」

 くのいちにしてはかなり思い切ったセリフである。

「惚れ直すにはまず惚れなきゃならんだろう?」


 くのいち、反射的に髪飾りの手裏剣を外し、真ん中のあたりをカチリと押す。慌てる強。

「悪い悪い、冗談だってば」

 ここでいつもの様に強気で押してばかりではダメな気がするくのいち。

「ちょっと喉が渇いたね。お茶でも淹れよっか」

「隣の部屋の冷蔵庫に俺の牛乳取っといてあるから、お前飲んでいいぞ」


 そう言ってくのいちの肩を抱く強。それだけで彼女は報われた気持ちになる。

 二人で隣の畳敷きの給湯室に入ると、そこには何故か布団が敷かれている。枕元にはティッシュとチョコレートの箱くらいの大きさの0.02mmと書かれたアレ。


 くのいちはおもむろに押し入れのふすまを開ける。やはり、というか当然というかそこにはミルクが隠れていた。


「くのちゃ〜ん。よく私を見つけたね〜。さすが忍者〜」

「こんな事するのはあんたくらいでしょ!」

「くのちゃんが(お茶を)入れて上げて〜、強君のミルクを飲み干すんだよね〜?」


「ミルク、お前そういう話は強引に持っていくな。感動した」

 と強。

「さぁさぁ、私の事は気にしないで〜、ちゃっちゃとやる事やっちゃいなよ〜」

 こうして反省会はうやむやの内にお開きとなった。

 ところでくのいちは『慰めて』と言っていたが、この場合は『ねぎらって』が正しい日本語なのではないか。


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