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ガーディアンデビルズ〜学園治安維持の会〜  作者: トミロン
第3部 サイコなヒロイン、演劇部の松戸彩子(まつどさいこ)編
126/243

第126話 騎乗位、正常位、つばめ返し。次は背面駅弁!

遂に本作にも四つ目の体位が登場する。

ちなみに箱根駅伝では区間距離の長い2区が「花の2区」と呼ばれる。池面は陸上部。

「茨城県竜ヶ崎市藁葺き村旅館? 今日は東京ドームシティホテルのスイーツバイキングに連れて行ってくれるんじゃなかったの?」

「ここだって大体同じだろう。

東京→茨城(とうきょう)

ドームシティ→藁葺村(ドームシティー)

ホテル→旅館(ホテル)

スイーツバイキング→甘い物食べ放題

言い方が違うだけだ」

 と池面。

「そうかなぁ……(ドームシティが藁葺(わらぶ)き村になっちゃうのも言い方が違うだけか)」

「こんなのは気の持ち様だ。さあ入ろうぜ」


 二人は古民家風旅館『半兵衛』の八畳程の和室に通される。ガラスの扉の向こうには中庭が広がる。座布団に座り、部屋を見回す。

挿絵(By みてみん)

 ポスターには、

『茨城は芝生の生産日本一』

『れんこん、白菜も日本一だっぺ』

『水菜も日本一』

などと書かれている。

「(水菜っていったい何よ? 水樹奈々の略称? 食べられるの?)」


 くう子がそんな事を考え、備え付けの茶を池面と二人ですすっていると、女中さんが料理を運んでくる。

「ようこそお越しやすだっぺ。甘いもん一杯食べてってちょ」

 女中が和テーブルに料理を並べる。

「栗きんとん、干し芋、卵焼き、トマト、メロン、どら焼き、どれも茨城の名産だっぺよ」


「いただきます」

「いただきます」

 二人は粛々と箸を進める。

「どうだ、美味いだろう?」

と得意げな池面。

「美味しい。でも何かが違う気がするの」

「何かって?」

「ムードとか、かなあ。ドームにはムードはあると思うんだけど」


「ムードはこれからさ」

 池面は部屋の襖を開ける。次の間が現れ、布団が敷かれている。

「池面君、これって……」

 池面は背後からくう子を抱きしめる。

「お前、最近鉄研で駅弁食べまくってるんだろう? 俺とも駅弁を楽しもうぜ」

挿絵(By みてみん)

 池面はくう子を背後から抱いて持ち上げる。そして両手で彼女の両膝頭の裏側を持つ。くう子は池面に抱えられたまま体育座りの格好になる。池面は彼女の両膝の間を横に開く。

「ちょ、ちょっと〜!」

「俺と一緒に花の肉を突き抜けよう!」


挿絵(By みてみん)


「あんたの言ってるのは箱根駅伝。あんたがやろうとしているのは背面駅弁!」

「そんな体位があるとは五十六年間生きていて知らなかった……のであった」

 とのナレーション。

 花の肉で5人ヌキ、10人ヌキは黒人の体力があればこそだ。


 くう子は両手で池面の両手首を強く握る。

「あいたたた!手首が折れる!」

 池面は思わずくう子を離す。

 くう子は池面の手首を掴んだまま背中越しに勢いよく投げ捨てる。


ドスッという音を立てて倒れる池面。腰を強打し動けない彼を尻目にくう子はテーブルに戻り残った甘い物を完食する。


「あたし、食べ物は残しちゃダメ、とおじいちゃんに言われてるの」

 くう子は部屋の庭に面しているガラス戸を開ける。そして倒れている池面の胸ぐらを右手でつかんで軽々と顔の高さに持ち上げる。

「甘い物チャージ完了。これより攻撃体制に入ります……やはり私のフィニッシュブローはこれだ。ざんぱーんち!」

挿絵(By みてみん)

 彼女は池面に強烈な左アッパーカットを撃ち込む。彼は中庭に吹っ飛び、残飯の入ったゴミ容器の中に落下する。

「グヘエッ! なんという攻撃だ。ジェット機並みのアッパーカットで敵を残飯の海に沈める。これがあの鉄研部長を倒した『ざんぱ〜んち』か! 見事だ残飯マン。ゲホッ、グホッ」


「こら!あたしにちゃんとシティホテルのケーキをご馳走してから果てろ!」

「俺の母ちゃんが『こら!ちゃんと退職金をもらってから死ね!』って俺の父ちゃんに言っていたのに似ている」

「お金目当ての人を選ぶとそうなるのよ」

「あんたが言うか! なのであった」

 とのナレーション。


「やっぱ池面とはスイーツの相性が悪過ぎたわ。マッチングアプリで好みの合う人を見つけなきゃ」

「マッチングアプリ? あのガーディアンデビルズが『今日中に必ず全員入力』と脅して……もとい、勧めているやつか?」

挿絵(By みてみん)


 くう子は携帯のアプリに情報を入力している。携帯がピロリンと鳴る。

「うわ、早速ヒットしたわ。オシャレなスイーツ好きの女生徒。節……陶子さんか。ピッグテールなんだね」

 節陶子はあの切磋琢磨をも籠絡した屈指のスイーツハンター。


 くう子は倒れている池面を見下ろしながら言う。

「あんたとはこれでお別れね。タクシー代いただいとくね」

 くう子は池面のポケットから財布を抜き取る。


 池面、薄れゆく意識の中で独白。

「そうか、背面駅弁って言うんだ。俺はずっと逆駅弁って言うのかと勘違いしていた。無念。

挿絵(By みてみん)


 あ、倒れる前に今日中にアプリ入力しとかないとガーディアンデビルズにボコられる。やべぇ……」

 池面は意識を失い倒れる。








遂に斬パンチの正体が明かされた!

だったら最初から池面なんかに付いて行くなよ……とも言いたくなるが、ここまでの展開すらくう子は計算していたのか? いや、彼女に計算など無縁のはずだ。

次回よりいよいよ第三部本編。

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