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ガーディアンデビルズ〜学園治安維持の会〜  作者: トミロン
第2部 天才ゲーマー&プログラマー比企新斗(ひきにいと)編
111/243

第111話 いつまでもあなたの側に

 いよいよ最終決戦。武器の無い強には遂にあのアイテムが手渡される。「ザベル」この雄叫びには何の意味が隠されているのであろうか?

「お前を?」

「『くのいちさんの強さんに対する思い』で私は作られています。この施設であなたにご奉仕する様に私はプログラムされているのです」


『そうなのか』と強も妙に納得する。確かにこのメカくのいちには何か惹かれるものがある。DVDの代金だって琢磨に払わせる様に促し、強のマジックポイントは温存してくれた。風呂場でもポンコツなりに一生懸命やってくれた。そのお陰でリラックスモードを実体験する事ができ、ミルクのマジックポイントの残りに注意を払う事を教わった。あぶないDVDのタイトルを声に出させてポンコツさをからかってじゃれあいたくもなる。くのいちのいいところだけ取り出して作られたみたいだ。


「お前の任務はここまでだ。ご苦労だったね」

 シスターはそう言うと機械メイドの背後に近づき、後ろ髪で隠れている首の下のスイッチを押す。

「いつも私を(そば)に置いて下さいね」

 彼女はその言葉を残して体はぐにゃぐにゃと変形していく。機械メイドは幅60センチ、長さ2メートルほどの南京玉すだれとなる。

挿絵(By みてみん)


「今回の玉すだれは戦闘用だ。切れ味は刃物と変わらない。どう使うかはお前さん次第さ。この武器はマジックポイントを九百も消費する。あの子があんたのポイントを温存させたのもそのためさ」

 そう言ってシスターは玉すだれを強に渡す。

「俺のマジックポイントはこれでほぼゼロって訳か。それにしても玉すだれに一体何の意味が……」


「強殿。貴殿はもういくらも体力が残っていないとお察し致す。拙者が一太刀でケリをつけて差し上げよう」

「ヒッキー、この無理ゲーの成功報酬は三百万円だよな」

「無理ゲーかどうかは後でゆっくりと判断していただきたいでござる」

 強は銀色に輝く玉すだれを手にして構える。

挿絵(By みてみん)


「勝負だ、ヒッキー」

「すぐに終わらせてさしあげるでござる」

 肉切り包丁を構えるヒッキー。


 ふいにくのいちが駆け寄り強に抱きつく。

「強、あたしに出来る事ってこんな事しか無いけど……」

 くのいちは唇を強の耳元に付けたままで何かを囁いている。

「分かったよ、くのいち」

 と強は言う。


 ヒッキーと強、武器を構えて睨み合う。現実世界であれば、強はたとえ片手を縛られて片目を閉じていても、相手がヒッキーなら楽に倒せる。だがここはダイブの仮想現実。相手はeスポーツの格ゲー日本チャンピオン。油断などしている暇は無い。ヒッキーは既に琢磨とミルクを葬り、くのいちもほぼ無力化している。緻密な戦略に裏打ちされた頭脳と体力の最終クエスト。


「こんなバトル、現実じゃ体験できなかったよな」

 と呟く強。彼は今、常日頃望んでいた異世界でのケンカをしているのだ。


「シスター、開始のベルを鳴らすでござる!」

 シスターがチャペルの壁のスイッチを押す。チャペルの外からベルの音が聞こえる。


 肉切り包丁を構えたヒッキーがジリジリと間合いを詰める。彼は大上段に構えている。

「The Bell !!」

 という雄叫びと共に高くジャンプするヒッキー。肉切り包丁が強の脳天目掛けて振り下ろされる。


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