忍びの里へ
「・・・忍の里・・・つまり、そこに行けば【忍者】になれるんですか?」
ちょっと予想外の出来事で頭が働かない。
「なれるかどうかはお前さん次第だ。だがそこに行かねば何も始まらんぞ?」
・・・要するに忍の里でクラスクエストを受けろってことか。
「・・・いくつか聞いてもいいですか?」
「んん?答えられることなら答えよう。」
ふむ、こっちの疑問に答えてくれるらしい。
「まず、何故俺に忍の里のことを教えてくれるんです?」
「忍の里は常に強者を求めている。そこで里につながりのあるワシが紹介を行っておる。」
そういえば歴史上の石川五右衛門は伊賀忍者の抜け忍だという説があるとか聞いたような気がする。
「無論紹介するのはワシが認めた者のみだ。ただ、うちのギルドは知ってのとおり【盗賊】のギルドだ。全てがそうとは言わないが素行の悪いのが多くてな。そこで礼節を重んじる【侍ギルド】でも実績を上げた者を紹介することにしておるのだ。」
・・・つまり【盗賊】と【刀士】クラスを中級に上げることが条件ってことか?しかし・・・
「俺はゴエモンさんに認められるような事をしていませんが・・・」
「お前さんは【侍ギルド】のムサシに認められたのだろう?紹介状もあるし、それで十分だ。」
・・・なるほど。【侍ギルド】か【盗賊ギルド】で紹介状を貰う事も条件か。他にも細かい条件がありそうだが・・・俺には関係ないか。
「分かりました。ちなみに俺以外の人間を連れて行くことはできますか?他にも仲間がいるんですが・・・」
「んん?連れて行くだけならば問題は無いぞ?ただ、その仲間が里で問題を起こしたら全てお前さんの責任になるがな。」
・・・ということは最悪、忍の里を出禁になる可能性もあるってことか。条件を満たしていない人間を誰それと連れて行かないようにするための対策だな、これ。
あとは、その里で入手できるだろう【忍者】のクラスがどれだけ需要があるかってことだが・・・それは行って見ないと分からないよな。
「分かりました。それじゃあ早速行ってみます。」
「おう、そうしてくれ。あ、そうそう、里には徒歩でしか入れんからな。空から見ても見つけることは出来んぞ。」
・・・そうなのか。さすが忍の里、セキュリティが高い。
俺はゴエモンさんに礼を言って【盗賊ギルド】を後にする。
さて、思わぬ収穫があったが、当然興味がある。なんせ【忍者】だ。強力な戦力になる事は間違いない(過度な願望を含む)。
ここで問題となるのは俺一人・・・じゃなくって俺とアーテルだけで行っても良いものだろうかということだ。アテナたちはアヴァンたちと一緒に【幻獣界】に行っているだろう。呼んでも直ぐに来れないだろう。・・・それ以前にアテナとアルマには既読スルーされそうな気がする。
アーニャを誘う?・・・幼女くノ一は萌えるかもしれんが、そもそも本人が戦闘を苦手としているから嬉しくは無いだろうな。
せめて【忍者】クラスの実体がどんなものか分かればまだ誘いやすかったんだが・・・どう見ても武術職だよな。近距離職なのか遠距離職なのかは分からんが、うちのクランで興味がありそうなのはアテナくらいか・・・
そうだ、久々に掲示板を覗いてみようか。他に【忍者】クラスを取得したプレイヤーがいるかもしれんし、詳しく検証している人がいるかもしれない。
・・・検索中・・・
・・・駄目だった。【忍者】になりたい、【忍者】はどこだ、と怨念めいた書き込みは多数あったが、実際になったという書き込みがまったく無い。掲示板の書き込みを見る限り【忍者】クラスはまだ発見されていないようだ。【忍者】捜索隊ってなんだよ。
しかし妙だな。話を聞く限りそこまで厳しい条件だとは思えないんだが。確かに闇雲に探しても見つからないだろうが・・・
ふむ、困った時はドラ○もん、じゃなくって情報通のラングさんに聞いてみようか。どうせ、この情報も【インフォガルド】に売るつもりだしな。未発見の情報なら高く売れるだろう。
独占しないのかって?細かい事は気にしない。
トーナメントで不利にならないかって?男は度胸だ(意味不明)。
ま、まあ条件は皆一緒だ。この情報を公開したってたどり着けるかは結局本人次第だし、もしかしたら【忍者】クラスにのめり込みすぎて戦力ダウンする奴が出てくるかもしれないよ?(ゲス顔)
いづれにせよ全て自己責任、俺としては皆楽しめればそれで良いんだよ。決してさっき覗いた、怨念めいた掲示板にびびったわけではない。
何にせよ、さっそくラングにメールしてみる。
『我、忍の道の探求者なり。』
お、早速返事が。
『急にどうしたんだい?頭がおかしくなる状態異常にでもかかったのかい?』
・・・なんて失礼な野朗だ。せっかく貴重な情報を教えてやろうとしているのに。しかし、大人な俺は冷静に優しくその事実を教えてやる事にする。
『宝の地図ならぬ、忍の地図を入手してな。』
「それは本当かい!?」
「おぅわ!?どっから出てきたお前!!」
まさかの本人ご登場!?どっから湧いて出てきたんだ?エルフやめて妖怪にでも転生したのか!?
「いやあ、たまたまこの街に来たら君を見かけてね。こっそり後を付けていたんだ。」
・・・ぶん殴ってやろうか、コイツ。
「どうもすいません・・・」
あ、ロゼさん、アンタもいたのね。
「それよりも!忍の・・・アウチッ!?」
「声が大きいです、リーダー。重要な情報なのでしたらもっと小声で・・・」
でかい声で迫ってくるラングをロゼさんが止めたようだが・・・今、首筋に思いっきり手刀をお見舞いしてたよね。ラングが悶絶してるんだが・・・このゲームのフレンドリーファイヤ無効だという設定はどこに行ったんだ。
ん?メール?
『ツッコミは攻撃ではありません。by武術界総合管理AI【バトルーツ】』
・・・
・・・俺はそっとそのメールを閉じると、ラングを引きずってこの街のカフェへとしゃれ込んだ。
===移動===>和風喫茶 凛々
和風喫茶ってなんだよ、というツッコミは華麗にスルーされ、奥の個室に通された。ここなら外に話が漏れる事はないらしい。・・・畳も中々良いな。ホームに導入しようか。
「それで本題ですが・・・」
「情報を!早く!プリーズ!!」
ラングの奴、何でこんなテンション高いんだ?情報通じゃなくて情報狂いだったのか?
「すいません、リーダーはかねてよりずっと【忍者】クラスの入手法を探していましたから・・・」
「諜報員といったら忍者だろう!?」
諜報員?・・・ああ、もしかしてコイツ、自分のクランのメンバーを諜報員だと思ってるのか?まあ、情報系クランのメンバーだったらあながち間違いじゃない、か?
「わかった、わかったから、そのうざったいテンションどうにかしろ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・ふぅ、そうだね。落ち着いたよ。」
随分長い沈黙だな。落ち着き無さすぎ。
「・・・あのリーダーをこんなに簡単に静めるなんて・・・」
ロゼさんが驚いてるが・・・え?コイツって普段こんなキャラなの?
「さあ、落ち着いた所で、きりきり喋ってもらおうか?」
・・・本当に落ち着いているのか?まあいい。話が進まないし、華麗スルーして要点だけ知らせておこう。
「なるほど、ここに【忍者】がいるんだね?」
早いよ。まだ、地図見せただけだろうが。やっぱり、まだ落ち着いてないな、コイツ。もういいや、ロゼさんに【盗賊ギルド】であったことを話そう。
・・・
「なるほど、それで忍の里のありかが書かれたこの地図を渡されたんですね?」
「ああ、条件はイマイチ良く分からないけどな。」
すると地図を見ながら唸っていたラングが話に割り込んできた。
「大体の条件はアルクが考えていた通りだと思うよ?あとは多分、移動手段だね。この地図を見る限りかなり遠い場所な上、森の奥深くだ。徒歩で行こうしたら数日掛かるんじゃないかな?【眷属】か乗り物が必須なんだと思うよ。」
話聞いてたんだコイツ。・・・ってそんな遠いのか。アーテルがいなかったら即諦めモードだったな。
「詳しい検証はそっちに任せるよ。俺たちはこの後向かう予定だがお前らはどうするんだ?」
「勿論、同行させてもらうよ。」
「そうですね。我々としても見過ごせませんし・・・同行させてください。」
どうやら付いてくるらしい。しかし・・・
「移動手段はあるのか?言っておくがアーテルには乗せんぞ。」
「クルルー。」
アーテルは俺専用です。・・・前にアテナを後ろに乗っけた?クランメンバーは良いのです。
「分かってるよ。僕達は自前の移動手段があるからね。」
ロゼさんも頷く。どうやら【眷属】を入手していたらしい。
今回はラングたちと組む事になりそうだ。
おまけ 某掲示板より抜粋
992:名無し
忍者はどこにいるんじゃー!!!!!!
993:名無し
忍者在哪里?
994:名無し
忍者プリーズ!
995:名無し
Dove sono i ninja?
996:名無し
Wo sind die Ninjas?
997:名無し
に ん じ ゃ は ど こ だ ?
998:名無し
忍者忍者忍者忍者忍者忍者忍者忍者
忍者忍者忍者忍者忍者忍者忍者忍者
忍者忍者忍者忍者忍者忍者忍者忍者
忍者忍者忍者忍者忍者忍者忍者忍者
999:名無し
My life is 忍者!!
I can't die and leave things this way
1000:名無し
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これを見たアルクの感想
「怖すぎる。日本人以外も混じってるみたいだし。」




