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お約束の展開

俺たちと黒ロボットとの攻防は続いていた。


「【バスタースラッシュ】!」


俺が【豪剣アディオン】を振るうと黒ロボットも大剣を振るう。厄介なのは俺を倒すため、ではなく俺の剣を弾くために、という点だ。これまでどんなモンスターだろうがNPCだろうが機械兵だろうが、俺自身を狙う事は有っても俺の武器を狙う事は無かった。


言い換えるなら闇雲に攻撃を繰り返す敵と、()()()使()()()()()()()()()()()()()()()、という違いがある。


現に俺の攻撃は黒ロボットの左腕を切り飛ばして以来、当たる事は無かった。どうも俺の戦い方を学習されたような気がする。おまけに俺の剣を攻撃してくるもんだから消耗度が心配になる。【豪剣アディオン】が使えなくなったら即終了の予感。


勿論、攻撃しているのは俺だけではない。


「【サンダースパーク】!【アクアストリーム】!」


「【火爆発(フレイムボム)】!」


「【ガトリングカノン】一斉掃射。」


アテナ、アルマ、ラグマリアによる魔法や兵器による援護も加わっているが芳しくない。生半可な攻撃は避けられるし、当たっても直ぐに自己修復してしまう。


正直、ジリ貧の様相を呈してきた。唯一救いなのは剣に関しては武器の性能もスキルのレベルも俺の方が上らしいという事だ。ステータスでは負けてるみたいだが。逆にそうでなければ今のようなこう着状態にすらならなかったかもしれない。


とはいえ、時間をかければかけるほどこちらの消耗が増し、不利になっていく。残された手段は黒ロボットの修復が間に合わないほどの大ダメージを食らわせて、一気に倒しきることだ。再生・回復能力を持つ強敵を倒すある意味お約束の手段だ。


それが分かっているからこそ俺たちは大技を使わず、アーテルたち眷属も召喚していないのだ。


要はタイミングだ。黒ロボットは思いのほか素早く、身のこなしもロボットとは思えないほど軽快かつ柔軟に行っている。要するに当たるかどうか不安と言う事だ。それもただ当たるかどうかではなく()()させられるかどうか、という問題だ。


手足の一本や二本にダメージを与えた所で、直ぐに修復してしまう事は既に確認済みだ。本体にダメージを与え、且つ一気に倒せなければ意味が無いのだ。


・・・最悪、俺が黒ロボットに組み付いて「俺ごと撃て!!」みたいなことをやろうと思ったのだが、俺より黒ロボットの方がパワーは上のようなのでどうもそれも無理なようだ。それに【豪剣アディオン】を手にした俺の攻撃が、現状、一番威力のある攻撃だ。俺が攻撃に参加しなければそれだけ黒ロボットを倒せる確率が減る。


かと言って他に同じ事ができる奴がいるかと言われれば・・・いないんだよなぁ、これが。今更ながらうちのクランにはタンク役がいないんだよなぁ。強いて言えば俺なんだが、俺って元々避けて斬るのが本命なわけで・・・要するに一撃必殺なんだよなぁ。


なんてうだうだ、ぐだぐだと打開策を考えながら、壮絶な剣戟を繰り返してる俺の苦労、分かってもらえるだろうか?戦闘時間で言えば10分そこらなんだろうが、既にもう何百回と剣を振るっている俺と黒ロボット。肉体的な疲労は無いのだが、精神的にはゴリゴリ削られている気がする。


俺たちが隙を伺っているように、黒ロボットもまた、俺を倒そうと隙を伺っているわけで。実際、多彩な剣スキルや体術スキルを駆使して攻撃してくるわけで・・・ステータス的にはパワーもスピードも黒ロボットの方が上なわけで結構きついのだ。


針の穴に糸を通すような精密な攻防を10分以上繰り広げている、と言えば分かってもらえるだろうか。


おかげで考えがまとまらず、何時ものような軽口を叩く事もできない。


あとは、遠距離から援護してくれているアテナたちに何とか打開策を考えてもらいたいものだが・・・高威力の魔法に俺が巻き込まれる未来しか思いつかないのは何故なんだろうな。・・・ああ、もうそれしかないんじゃないかと思い始めてるんだな、俺。


と、若干心が折れかかっている俺の視界の隅に何か写った。


・・・アヴァンだ。


アヴァンが地面に向かって何かを設置している。フラフープみたいな輪っかのような物を。


「・・・よし!出来たのだ!!アルク!!」


俺を呼ぶ声に反応に、そちらへと駆けて行く俺と、俺を追ってくる黒ロボット。アヴァンが何をしていたのか?なんて聞くことは無い。今それを言ってしまっては黒ロボットにまで聞こえてしまうからだ。スキルまで使用してくるロボットだ。俺達の会話を理解できたとしてもなんら不思議はない。


なので何も言わないし、聞かない。ただ、この状況を打破できる何かだと信じて、それに賭ける。


アヴァンは直ぐに距離を取り、俺は輪っかの上を素通りする。そして俺を追ってきた黒ロボットが輪っかの上に通りかかった瞬間・・・


バチバチバチバチバチバチ。


輪っかが電気のような物を発し、黒ロボットをその場に縫いとめるように絡みついた。


「電磁ホールドなのだ!ダメージを与える事はできないのだが、その場で行動不能にするトラップ兵器なのだ!!」


・・・おおぅ。そんな物まで用意してあるとは・・・どこまで有能なんだ、アヴァンは!?


「悠長にはしていられないのだ!電磁ホールドの効果は短いのだ!!」


おっと、どうやら長時間の拘束はできないようだ。


「よし、全員で一斉攻撃だ!アーテルたちも召喚するぞ!!」


「分かったわ!」「はい!」「了解なのです。」


俺たちは【限定召喚】でアーテルたちを呼び出す。


「クルルー!」「がおー!」「ピュイー!」「キュイー!」「キュアー!」


【限定召喚】による召喚では時間制限がある。俺がアーテルを召喚できる時間は・・・5分か。LPが高くないから仕方が無い。・・・アーテルたちの口元にお菓子のカスみたいな物が付いているような気がするが気のせいだろう。


「アーテル!みんな!!ブレスを頼む!!」


「クル!」「ガオ!」「ピュイ!」「キュイ!」「キュア!」


みんな一気に【成体化】し、ブレスの発射準備に入る。


アテナとアルマの魔法の詠唱に入り、ラグマリアもバスターのチャージに入る。


俺も【豪剣アディオン】を構える。拘束した敵に攻撃を加えるのは心が痛むが・・・やむを得ない。


「【俊天の疾走(アーク・アクセル)】!」


俺は一気に黒ロボットに駆け寄り、


「【勇天の一撃(アーク・ストラッシュ)】!」


渾身の一撃を振り下ろす。拘束された中、黒ロボットが構えた大剣を真っ二つにし、黒ロボットの体を大きく切り裂く。体のほうは真っ二つとは行かなかったが、大ダメージのはずだ。本来であれば。


予想通り、黒ロボットの体に、光の粒子・・・ナノマシンが集まり、修復を始めようとしている。


俺はそんな様子を尻目に全速力でその場を離れる。そして・・・


「我が敵対者よ、凍れる時の中でその身、その命を散らしめよ【凍結氷山フローズンアイスバーグ】!!!」


「怒れる炎よ、渦巻く嵐よ、すべてを焼き払え【大爆発(エクスプロージョン)】!!!」


「みんな!ブレスの一斉発射です!!」


「クルルー!」「ガオー!」「ピュイー!」「キュイー!」「キュアー!」


「【グランディスバスター】・・・発射。」


先ほど司令官ロボを吹っ飛ばした大・爆・発、再びである。


・・・


爆煙が晴れた後、そこには手足が吹っ飛び、ズタボロになった黒ロボットの姿があった。自力で立つことも出来ないだろうが、その(センサー)は今だ敵意があるかのように赤く光っている。


「どうやら、これまでのようだな。まだ息がある?みたいだが、ここから修復されても厄介だ。今トドメを・・・うお!?」


トドメをさそうと黒ロボットに近づいた時、黒ロボットを中心とした光の渦が発生し、俺達は吹っ飛ばされた。


「何これ!?魔法!?」


「違うのだ!あの光はナノマシン、ナノマシンが引き起こした竜巻なのだ!!」


これまでとは比較にならないほど光の粒子、ナノマシンが発生し、黒ロボットを覆うように渦を巻く。黒ロボットの姿は見えなくなり、シルエットだけがうっすらと見えるようになった。


まずいな、あの大量のナノマシンで一気に修復するつもりか!?


何とかトドメをさそうと一歩近づいた所で異変に気づく。


「・・・なあ、なんか()()()()()()()()()?」


「・・・うむ。シルエットしか見えないのだが、確かに大きくなっているのだ。」


ここで俺の頭の中には追い詰められた敵が最後、巨大化するお約束の展開を思い出していた。

作者のやる気とテンションを上げる為に


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[一言] ユニコーンみたいなロボットであってほしい
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