禁断の兵器
===移動===>【マーズ前線基地】封印区画
扉を抜けた先は、司令官ロボがいた部屋とほぼ同じ大きさの部屋だった。ただし、司令官ロボのような巨大ロボの姿は見えない。代わりに部屋の中心に磔にされているロボットの姿が見えた。
「・・・今度こそガ○ダムか?」
「完全な人型なのはそうですが、サイズが違うでしょう?あれはどう見ても体長2メートルくらいですよ。」
アルマの冷静なツッコミが入る。今度は巨大じゃないようだ。
「それよりも問題はあるでしょう?・・・憑りつかれているわよね?」
そう、アテナの言う通り、磔にされている人型ロボットは黒いモヤのようなオーラを発している。
【?????(ガティアス) Lv.53】
?????????
うん、やっぱり【ガティアス】に憑りつかれているな。おまけにレベル以外何もわからない。分かるのはさっきの司令官ロボより厄介そうだということだけだ。
「【ガティアス】か・・・噂には聞いているのだ。機械兵やモンスターに憑りついて強化する厄介な奴なのだ。」
そう厄介な奴だ。結局【ガティアス】って何?という部分も謎だしな。分かっているのはどこにでも出てくる厄介者ってことだけだ。
磔にされたロボットに近づくに連れてその姿がはっきりしてくる。黒いオーラのせいでシルエットがよくわからなかったがロボット自身も全身真っ黒だった。黒いロボット。しかしロボット然としたフォルムながら全身(顔まで含む)を覆ったフルプレートの鎧を着た騎士のようにも見える。これまで見てきた機械兵やラグマリアのようなアンドロイドとは違う感じだ。
そしてその体に極太の鎖が巻き付いている。厳重に封印されているって感じだろうか。なぜロボットにこんなことをしているのかは不明だが。
「・・・お?」
近くまで来たとき黒ロボットが目を覚ますように顔を上げる。赤いセンサーのような目が俺たちを捉えた・・・ように見えた。途端に暴れだす黒ロボット。全身にまかれた鎖にひびが入る。
「・・・やっぱり禁断の兵器ってこいつだよな。」
「そうですね。このロボットの撃破が勝利条件のようですね。」
元々強そうな感じのロボットに、さらに【ガティアス】が憑りついて狂暴になってるとか勘弁してほしいな。
なんて考えている間に黒ロボットを縛り付けていた鎖は完全に砕け、その身が自由になった。・・・もろい封印だな。次はもっと頑丈な鎖を使ってもらいたい。誰がやったのか知らんが。
「「「「!?」」」」
自由になった黒ロボットはいきなり襲い掛かってきた。狙いは俺。【攻鎧アルドギア】によって防御力が爆上がりした俺は鎧を使ってその攻撃を受け止める。
「・・・正拳突き、だと?」
黒ロボットのしてきたのはただのパンチだ。これまで出てきた機械兵の中にも格闘系のロボットがいたからそれ自体は珍しいことではない。ただ、これまでと違い、きちんと型にのっとった正拳を繰り出してきたロボットは初めてだった。
それからも蹴り、肘打ち、手刀など流れるように攻撃を繰り出してくる。ロボットらしくない、まるで人間がやっているような精錬された動きだ。
【体術】か【格闘術】のスキルを持ったロボットか?ロボットだからってスキルが使えない理由はないだろうしな。ただし・・・
「甘い!」
猛攻を仕掛けてくる黒ロボットにカウンター気味に正拳突きを食らわせる。俺からのカウンターを食らった黒ロボットはダメージを受けたのか数メートルは吹っ飛んでいった。
「格闘系スキルが使えるロボットか・・・だが、スキルレベルは俺のほうが上のようだな。」
「アルク!!」
離れてみていたアテナたちが近寄ってくる。俺以外のみんなは格闘系のスキルレベルが低い、なので邪魔にならないように離れて様子を伺っていたのだ。いちいち指示しなくても空気読んでくれるのはありがたいよな。
「こいつは俺向きの相手みたいだ。俺が足止めするからアテナとアルマでスキを見て魔法で決めてくれ、アーニャとアヴァンは離れていてくれ。やばそうだったら援護を頼む。ラグマリアもな。」
全員が頷いたと同時に距離を取る。黒ロボットが立ち上がったからだ。しかし様子がおかしい。その場で棒立ちのまま手のひらだけをこちらに向けている。・・・と。
「うお!?」
黒ロボットの手のひらから火の玉が出てきた。とっさに避けた俺だったが、黒ロボットは次々と火の玉を放ってくる。
「【ファイアボール】!?魔法まで使えるんですか!?」
アルマも驚いているが、確かにあれは魔法だ。おまけに火の玉だけでなく、氷の槍や風の刃まで放ってきている。
「馬鹿な!?魔法が使える機械兵など聞いたことがないのだ!?」
アヴァンも驚いている。機械兵たちは兵器を使うので魔法は使わないと聞いたことがある。ラグマリアのようなアンドロイドも一緒だ。例外はロボット系の種族を選んだプレイヤーくらいだ。もちろん目の前の黒ロボットはプレイヤーではない。
しかし、まずいな。もし仮にだが【爆発魔法】や【凍結魔法】のような強力な魔法が使えるとしたら・・・一気にこちらが全滅することもあり得るぞ。
俺は【豪剣アディオン】を取り出し、一気に勝負を決めることにする。
が、黒ロボットもどこからか同じように大剣を取り出した。刀身が半透明のエネルギー状なので兵器の大剣なのだろう。【エナジーバスターソード】といったところか。
「【スピードスラッシュ】!」
俺は剣のスキルで切りかかるが、黒ロボットの大剣に阻まれる。そのあとも何度も切りかかるがその度に大剣で防がれる。しかも同じパワー、同じスピードで。
【パワースラッシュ】や【バスタースラッシュ】も交えて攻撃しているのに、同様に弾かれる。
やはり、この黒ロボット、剣や大剣のスキルももってやがる。俺の【スピードスラッシュ】を同じ【スピードスラッシュ】で相殺してやがる。
「埒が明かないな、【縮地】!【ハイスピードスラッシュ】!!」
【縮地】によって一瞬で黒ロボットの側面に回り込み、黒ロボットが反応する前に最速の一撃を食らわせる。避けることも防ぐこともできなかった黒ロボットの左腕を切り飛ばすことに成功した!
「今だ!アテナ!アルマ!一気に・・・!?」
魔法でトドメを、と言いかけた所で黒ロボットが距離を取った。何かするつもりなのかと思った違った。黒ロボットの切り飛ばしたはずの左腕、そこに光の粒子の様なものが集まったかと思うとみるみるうちに左腕が形成されていった。
「回復!?いや修復機能か!?」
「あの光の粒子、ナノマシンなのだ!?ナノマシンによる自己修復なのだ!!」
・・・ナノマシンか・・・詳しい理屈は置いておいて、あの黒ロボット、今までの機械兵と違って多少の傷なら自己修復してしまうらしい。恐ろしいのは切り飛ばしたほうの腕は俺の足元に落ちているってことだ。取れた腕をくっ付けたとかではない。新しい腕が生えてきたのだ。トカゲのしっぽのように。
つまりちょっとやそっとの損傷など無意味。仮に部位が欠損しても自己修復で再生可能。まるで不死身のロボットだ。
武術、魔法、機械の要素が合わさったロボット。なるほど、封印された禁断の兵器ね。確かにあの修復速度じゃあ封印するしかないよね。ぶっちゃけどうやって倒すのか見当もつかない。
いったい誰が作ったんだ、こんな厄介なやつ。
どうすっかなー。
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