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まだあるんかい。

おいしいシチューを心行くまで堪能し、ついでに(おい)新たなクランメンバーをゲットした俺たち。その場で早速クランに加入してもらい、さあ帰ろうか、となったのだが・・・


「アルク・・・」


アヴァンが興味深げに()()を見ている。


「・・・ああ、さっきまで無かったよな、あんな扉。」


そう、司令官ロボが暴れまくってボロボロになった部屋(良くこんな部屋で食事なんて出来たな俺ら)の奥に妙な扉が現れていた。


俺たち全員の見落としでなければあんな扉は最初は無かった。じゃあ何時現れたのかと言われると分からんのだが・・・


「時間経過で現れる扉なのだ?それとも誰かが何かのトリガーを引いたのだ?」


うーん、俺たちがしていた事と言えばイスとテーブルを出してシチューをおいしく頂いてたくらいなんだが・・・まさかシチューがトリガーなのか?


「そんなバカなことあるわけありませんよ。」


いや、分からんよアルマ。ゲーム運営陣に遊び心が分かる人が・・・居るわけ無いか。しかもアルマ、普通に人の心を読むんじゃない。


「何はともあれ行って見れば分かるんじゃない?」


確かにそうなんだが・・・アテナ、何で君はそんな元気なの?・・・あ、コイツ途中参戦だった。元気が有り余ってんのか。


「お宝なのですー。隠し扉なのですー。」


いや、ソレは違うんじゃないかな、アーニャ。敵基地にお宝なんて・・・あるのか?隠し扉・・・隠せてないんだろ。


「今入ラナイト、モウ出テコナイカモシレマセン。」


嫌な事を言うな、ラグマリア。・・・いや【幻獣界】でのレアモンエリアみたいな例があるし、可能性はあるかも。


全員の視線が俺に集中する。・・・これ、俺が決める流れなのか。


「・・・まあ、せっかくここまで来たんだ。行ってみようぜ。」


正直司令官ロボより強力なボスキャラが出てきそうな気がビンビンするんだが、問題ない。今の俺には最強装備がある!・・・すいません、調子こきました。


ま、まあとにかく行ってみなければ始まらない、と扉に手をかける。が、


「開かねぇ。」


押しても引いても横にスライドしても扉は開かなかった。ここに来てまさかの外れかと思ったが、なにやらアナウンスが。


【クランクエスト 禁断の兵器を撃破せよ!】

勝利条件:禁断の兵器の破壊

参加制限:同じクランメンバーの1パーティのみ

備考:このクエストにおけるペナルティは発生しません


「・・・クランクエスト?」


「初めて聞くが、おそらくクランに対してのクエスト、と言う事なのだ。」


つまり複数クランが参加するレイドクエストよりも小規模なクエストと考えて良いのだろうか?


「1パーティのみと言うことはクランの中から選りすぐりを6人選んで参加しろと言う事ですかね。今入れなかったのは私達が2パーティだったからでしょうか?」


人数制限のあるクエストなんだからそうだろうな。一つのクランに限定する理由がわからんが。


「ふむ、となるとあの扉が現れたトリガーは我が【アークガルド】に加入したからなのだ。我が加入した事でこの場にいるプレイヤーは全員【アークガルド】のメンバーになったのだ。」


そうか、一つのクランに対するクエストなら、部外者だったアヴァンがクランメンバーになった事で受注できるようになったってことか。・・・シチューじゃなかったか。


「それは良いのですが、どのメンバーが中に入るです?」


「「「「・・・」」」」


そうそれが一番の問題だ。


現状、俺たちのクランでパーティを組めるのは、プレイヤーの俺、アテナ、アルマ、アーニャ、アヴァンの5人と眷属であるアーテル、レオーネ、フィオレ、ブラン、ノワール、ラグマリアの6体だ。ただし、アーニャとアヴァンは戦闘職ではない。しかし、二人がいなければブラン、ノワール、ラグマリアという強力な眷族は使用する事が出来ない。


クエスト内容から見て戦闘が起こるのは間違いない。それも司令官ロボ以上、つまりLv.50以上と考えて良いだろう。フルメンバーで挑めないのが厳しいな。


「・・・俺とアテナ、アルマ、アーニャ、アヴァンに・・・ラグマリアでパーティを組む。アーテルたちは一旦クランホームに送還する。」


「クルル!?」


アーテル他から「えー!?」「何でー!?」と言うニュアンスの鳴き声が聞こえる。あくまでニュアンスだが、見るからに不満そうだ。


「・・・3人は分かるが我やアーニャのような戦闘専門ではない者を入れるのは不利ではないか?なのだ。少なくとも我の戦闘力はアルクたちの眷属たちに遠く及ばないぞ。」


「アーニャもですー。」


確かに二人の言う事も分かるんだがなぁ。


「【限定召喚】があるだろ?LPを消費した一時的な召喚になる代わりにパーティメンバーに加えなくてもすむやつがな。この編成にしておけば、どんな敵が出てきても、フルメンバーで対処することが出来る

・・・はずだろ?」


なるほど、と皆納得してくれる。アーテルたちも納得してくれたようだが・・・代わりに「絶対呼んでよ!」と言う目で見られているような気がする。


「ふむ、パーティ編成は判ったのだ。だが、最後の一枠がラグマリアなのは何か理由があるのだ?」


「クエスト内容から見ても敵は兵器・・・ロボットだからな。ラグマリアが一番適任・・・だと思っている。」


「獅子奮迅デガンバリマス。」


・・・アンドロイドなのに獅子とはこれいかに。若干不安だが間違いは無いと思う。アヴァンも納得してくれたようだ。


というわけで早速パーティを組みなおし、アーテルたちを送還する。


「クルルー。」「がおー。」「ピュイー。」「キュイー。」「キュアー。」


納得したとはいえアーテルたちもどこか寂しそうだ。しかし、1パーティしか組めない以上、どうしても誰かが引っ込む必要がある。


「ホームにお菓子を一杯用意してあるのです!好きなだけ食べてよいのです!!」


アーテルたちを元気付けるようにアーニャが言った。


「クルルッ♪」「がおがお♪」「ピュイー♪」「キュイー♪」「キュアー♪」


アーニャの言葉を聞いたアーテルたちは、それはもう嬉しそうにホームに送還されていった。・・・さっきまでの寂しそうな顔と声はなんだったんだろうか。


「私モホームニ・・・」


「お前はこっちなのだ!」


ラグマリアもお菓子に釣られてホームに帰りたそうにしていたが、アヴァンに叱られて諦めたようだ。・・・不安だ。


「レオーネたちが納得してくれたのは良いんだけど・・・このままじゃ主の座をアーニャに取られちゃいそうな気がするんだけど?」


お菓子に釣られて・・・いや、俺はアーテルを信じる!・・・大丈夫だよな?俺のことなんて忘れてお菓子に夢中なんてことはないよな?


「・・・大丈夫だ。さっさとクエストをクリアして俺たちもホームに帰ろうぜ。」


そしてアーテルと一緒に仲良くお菓子を食えば良いだ。


「早速行キマショウ!!」


妙に気合の入った声をさせているラグマリアに背を押されて改めてその扉に手をかけた。

作者のやる気とテンションを上げる為に


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