監視者
「何言ってんだジジィ」
ギューっとエナジーハンドに力を籠める俺。
「おうふっ!? ギブギブじゃっ!?」
苦し気にタップするジジィ。話が進まないのでエナジーハンドの力をゆるめてやる。
「ふーっ・・・小僧、考えてみるんじゃ。これ以上は各世界の奥地・・・つまり、高レベル帯まで行かねばならんじゃろう。しかし、今のワシのレベルではそれも困難じゃ」
・・・まあ、俺たちだって状況は似たようなものだからな。
「じゃが正直な話、ワシには厳しいんじゃよ。時間的な問題もそうじゃし、スキルや装備品を整えるのは大変じゃしな。年寄りにはこたえるわい」
「・・・だから、後の事は俺に任せる、と?」
「その通りじゃ!!」
「ざけんなよ?」
ぽーい! パシャーン!!
「おうふ!?」
湖にジジィを投げ捨てる俺。これで少しは頭を冷やせるだろう。
・・・ただ、ジジィの言うことにも一理ある。あれだけの実力者であるアミネでさえ、奥地にある何かって奴は見つかっていない以上。アミネ以上の実力が必要になるわけで、確かに大変なわけだが・・・ジジィだって頑張ればなんとかできるだろうに。
人に押し付けるとは何事か・・・って、む?
「・・・おい、ジジィ!」
ジジィが湖に沈んだまま顔を出さないでいたが・・・逃げやがったな!!
ちぃ、やっぱり手放すんじゃなかった!!
「ふぅー、やれやれ。これじゃあやっぱり俺が頑張るしかないなぁ」(棒読み)
とわざとらしく一人事で愚痴っていると・・・
「・・・ひどい茶番だな」
「・・・監視者のくせに堂々と出てくるんだな、カオス」
実は俺とジジィは途中でこちらを監視している存在に気付いた。
それでも、それなりに深い話をしてれば、もしかしたら監視者から何か情報を引き出せるかと思ったが、監視者は動きそうになかったので俺たちは話を打ち切ったのだ。
ジジィの俺に任せるというのは半分は本当だろう。
ただし、ジジィは手を引くとは言っていない。おそらくジジィはゲーム内の情報収集をあきらめただけで、今度は現実世界の方で情報収集するきなのだろう。アテナたちやその両親の事もあるしな。
それを悟らせないためにジジィとは喧嘩別れしたように見せかけたのだが・・・カオスにはお見通しだったようだ。
それでもカオスは監視に徹すると思っていたが、まさか俺の前に出てくるとは予想外だった。
「丁度良い。俺たちの話は聞いていたんだろう? カオス、お前はどこまで知っているんだ?」
俺たちの会話を聞いていたであろうカオスの顔には動揺した様子はない。・・・もっともこいつは鉄仮面だから、表情にでるとは思えないが・・・その様子から察するに。
「・・・知っているな。だからどうした?」
おうふ。マジかこいつ。
「カオス・・・お前の目的は何だ? 何のためにアニスたちと一緒に行動している?」
ずっと不思議だった・・・カオスの奴はどう見ても他人となれ合うような奴ではない。にもかかわらず他人とつるんでいるのは、そうするだけの理由があるからだ。
問題はそれが何なのか・・・それが分からない。
「・・・俺は・・・俺を取り戻す。ある意味ではお前と同じだな?」
「なに? それはどういう・・・ってまたいねぇし」
どういうことか聞こうと振り返ったが、カオスの奴の姿は影も形もなかった。
・・・どいつもこいつも、言いたいことだっけいなくなるな、まったく。
(*・ω・)*_ _)ペコリ
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