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ゲームモデル

ゲームのモデル・・・ねぇ。


確かにこのゲーム世界の一つ、【人間界】は現実の世界が元になっていると聞いたが・・・まあ、随所に違いもあるが。しかし、ジジィの言い分はまるで・・・


「まるで【人間界】以外の世界に関しても、()()()()()()()()()()()()()()()()()、とでも言いたげだな?」


「・・・」


・・・おい、ジジィ。頼むから否定してくれよ。


「まあ真偽のほどはともかく、このゲームは異常なんじゃよ。超大規模な仮想世界、それを完全管理するAI、人間の精神だけを抜き出す技術、現実と寸分違わぬ肉体、アバターを作り出す技術・・・これらだけでも十分に異常な技術の塊じゃよ」


・・・確かにそう並べて言われると、このゲームは最新の技術の塊というよりは異常な技術の塊に思えてくるな。


かつてこのゲームの概要が発表された時、世界中で歓喜が沸いた。


これまでの体感型VRゲームとは一線を画すシステム。


現実と遜色のない仮想世界、精神だけを送り込むシステム。視覚、味覚、聴覚、嗅覚、触覚・・・5感すらも忠実に再現されているアバターの体。


何もかもが現実離れしていて、それでいてリアリティがあり、その全てが管理AIによって制御されている。


ある意味においては理想の世界とも言えるかもしれない。


それゆえに異常といえば異常なのかもしれない。そんな理想の世界をそう簡単に作り出すことができるのか、と。


確かこのゲームは運営会社の前社長の時代から、つまり何十年もかけて製作されたもので、それ相応の出来栄えになっていることはなんらおかしくは無い・・・はずだ。


実際、数十年の時を経てリリースされたこのゲームは多くの研究者を唸らせ、賞という賞を総なめにしているという。


それだけのバックボーンがあってこそ、今のこのゲームがあるわけだが・・・それでもやっぱり異常だというのか?


「そうじゃな。確かに何十年もの研究の成果と言われれば納得できるやもしれん・・・否、()()()()()()()()()というべきかのう?」


「・・・何が言いたい?」


ジジィの言いたいことが分からない。一体何が納得できないんだ?


「・・・まだ若いお主には分からんかもしれんが、この手の研究というのは多くの障害が付きものなんじゃ。資金繰りやスポンサーの契約、人材や技術の流出などなど・・・あげていけばキリが無い」


「まあ・・・そうだろうな」


それこそ現実的に考えて何もかもが順調に行くなんてことがあるはずがない。試行錯誤を繰り替えすのが研究というものなんだろうからな。


このゲームの開発だって表には出てこないが、それ相応のトラブルがあったはずだろう。


「否、それがそうでもないんじゃよ。このゲームの研究・開発においては不可思議なほどトラブルが起こってないんじゃよ」


「トラブルが・・・起こっていない?」


どういうことだ? トラブルは起こらないに越したことはないだろうが・・・ジジィの言い方ば・・・


「例えば資金援助じゃな。今でこそ各研究機関からの出資もあるが、研究開始当時はいわゆる金持ち連中からの出資を受けておった。それも普通では考えられないほどの膨大な出資じゃな」


「夢見る金持ちが多かったってことか?」


結果だけ見れば出資した以上のリターンを受けてる金持ちも多いだろう。先見の明がある金持ちが多かったとか?


「・・・実はその辺りのやり取りの記録がまったく無いんじゃよ。前社長がスポンサーを募り、契約したことになっておるのじゃが・・・具体的な契約内容も。条件や経緯もなにも、な」


・・・どうやって調べたのかはこの際置いておくとして、それは確かに妙だな。それこそトラブルが起こってもおかしくはないだろうが・・・


「もう一つ。今現在もそうじゃが、このゲームの技術に関して各国、各研究機関が静観を続けておるのもおかしいのじゃ。これだけの技術なら競って奪い合いになることは間違いないんじゃが・・・そんな素振りが全くない」


物騒な話だが・・・言いたいことも分かる。確かこのゲームは各研究機関からも注目されているというのは聞いたことがあるが・・・そういえば既にリリース、つまり実用化されているのに、他の何かに実用化されたという話は聞いた事が無いな。


ここまでの完成度があれば他の何かに利用しようとしている人間がいても、それこそ強引に奪おうとする人間がいてもおかしくない。


「この前ハッキング騒ぎがあっただろ?」


「ハッキングがたった一回だけな訳が無いじゃろうが。それこそ各国の精鋭が連日ハッキングに精を出してもおかしくない状況なんじゃが・・・そんな様子も無い。どうも事前に根回しがされておったみたいじゃのう・・・前社長の、な」


・・・結局ネックになるのが前社長ということになるわけか。


だからこのジジィが前社長の事を調べているわけだな・・・おそらくどこぞのお偉いさんから調査依頼でも受けたんだろう。


「このゲームの負の面・・・トラブルなどは不自然なほど表には出てこない。ワシの経験上、そんなことはありえないはずなんじゃがな。まるで現在の状況になるべくしてなったかのよう思える。・・・正直、調べれば調べるほど不可思議じゃと思っておったが・・・お主の話を聞いて多少、納得いった」


「・・・まさか!?」


このジジイ・・・前社長が【固有(オリジナル)能力(アビリティ)】を使って何かしたと思っているのか!?

(*・ω・)*_ _)ペコリ


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