フルーツシャーベット
===ログイン===>【アークガルド】クランファーム
ずずずいっとコニャニャチワ。
本日はいつもとは趣向を変えて【精霊界】にあるアスターの畑までやってきております。
なんでかって? ちょっとした気分転換だ。
ここの所、戦い詰めだったから、フルーツ狩りなどをして気分をリフレッシュしようかと。
「クルー♪」
「だう♪」
・・・まあ、俺のではなくアーテルやアウルのリフレッシュなんだけどな。特にアーテルは昨日のアミネのせいで若干落ち込み気味だったからな。レベリングはこれからやるとして心の切り替えは大事なわけだ。
今、俺たちがいるのはアスターの畑の中にいる果樹園・・・極上のフルーツたちが咲き誇る大変立派な果樹園となっております。
一応のルールとして、この果樹園で収穫したフルーツたちの内、半分は収穫者の自由にできるが、もう半分は共有倉庫に入れる決まりになっている。・・・そうしないとね、マジで冗談でもなく果樹園のフルーツを食らいつくす勢いで収穫していく奴がいるんだよな。アテナとかアルマとかアシュラとか。やっぱ女性陣はフルーツが大好きらしい。
ましてやここ、【精霊界】で採れるフルーツは絶品だからな。そうなるのも無理は無いが・・・せめてメンバー分は残しておいてほしい所だ。
無論、紳士な俺たちは分別をわきまえた上で自分たちの好きなフルーツを収穫していく。
・・・にしてもオレンジ、リンゴ、イチゴ、ブドウ、バナナ、メロン、スイカ、キウイ、マンゴー、ピーチ、チェリー・・・見事に種類も季節感もバラバラだ。
というか果樹園がえらく広大になってるな。もう何ヘクタールあるんだってくらいに広い。やっぱトラクターを導入した結果なのか? まあ、俺たちにとってはありがたい事なんだが・・・アスター、頑張ったんだな。
アスターに感謝しながら自分たちの好きなフルーツをもぎ取っていく・・・うん、既に何十キロ分も収穫してるのに果樹園に実ってるフルーツたちが減る様子が全然ないんだが。これ、普通に売り出せそうなくらいの量があるんじゃないか? またあとでアスターに確認しておこう。
俺とアーテルとアウルで好きなフルーツを収穫したら、一旦農場屋敷へ。
そこには・・・
「あれ? アルクさん。フルーツ狩りですか?」
アスターが鍬をもっていかにもこれから農業しますっていう恰好をしていた。ミコトとカリンもいる。・・・しかし、アスター。農夫姿が様になってるな。
「まあ、そんな所だ。・・・昨日の事もあるしな」
「・・・ああ、そういう事ですか」
アーテルを見ながらそう言うとアスターも察したようだ。
かく言うアスターもアミネにしてやられた組なのだが、表向きは引きずっているようには見えない・・・まあ、本心はまた別だろうが。
「丁度良い、アスターたちも少し付き合えよ。ちょっと試してみたいことがあってな」
「試してみたいこと?」
それは見てのお楽しみってことで屋敷の居間に集合、収穫したフルーツたちをテーブルの上に並べる。
そして、ここで取り出したるは・・・
「【調理用フローズンボックス】~!」
天高く掲げるそれを見たアスターの感想はというと・・・
「・・・電子レンジですか?」
・・・確かに見た目は電子レンジそっくりだが、用途は全く違うぞ! 全く逆の使い方と言って良い。
「まあ、フローズンと言うくらいですからね・・・食材を冷凍するものですか?」
「その通り! だが、この箱はただ冷凍するだけの物じゃないんだ」
物は試しとばかりにまずヘタを取ったイチゴを数個、箱の中に入れる。
蓋をしたら時間を調節して・・・スイッチオン!
ウィ~~~・・・チーン!!
・・・うん、電子レンジそっくりな音を出したが・・・実際は中の食材は温まったわけではなく、冷え切ったものになっているはず!
ここで肝心なのは完全に冷凍し切らない時間に調節することだ。
箱からイチゴを取り出し、一口・・・
シャリ。
「んまぁーい!!」
カッチカチに冷凍されたイチゴではなく、キチンと歯で噛み砕ける程度、つまりシャーベット程度に冷凍されたイチゴ。歯ごたえ、甘味に加えてヒンヤリ冷たいこの一品、反応はいかに、というわけでアーテルたちにも食べてもらう。
「クルー♪」「だうー♪」
「あいー♪」「ふぁうー♪」
うむ、絶賛の嵐である。
「なるほど・・・いわゆるフルーツをシャーベットにする調理器具ですか」
「そうそう。アーニャから、この箱は冷凍具合を調節できると聞いていたからな・・・ビンゴだった」
続いて俺はブドウ、バナナ、メロンと次々とフルーツたちをシャーベットに変えていった。
無論、皆からの評価は言うまでもない。
「ただでさえ美味な【精霊界】産のフルーツを、より美味しいアイスデザートにしてみた。・・・クックック、こいつをばらまいたら案外簡単にアミネを釣れるかもな」
「そんな魚じゃないんですから」
「アミネの下半身は魚だったぞ」
「・・・」
そうだった・・・と言わんばかりに頭を抱えるアスター。
まあ、実際にアミネが釣れるかどうかはともかく、今度アミネに遭遇した時のための取引材料にはなるんじゃないだろうか。昨日の親子丼みたいに。
昨日のアミネの様子から察するにアミネはソロプレイヤー。そしてアミネは【料理】なんて全くしないだろう(偏見)。となれば【精霊界】産の食材・・・は【マーケット】等で売買されているから入手しているかもしれんが、こういったひと手間加えた食べ物には食いつく可能性が高い。
「あとは最後の確認だな」
「確認・・・ですか?」
そのために俺たちは一旦クランホームまで戻る必要がある。
===移動===>【アークガルド】クランホーム
ホームに戻ってきたところで・・・
「これ、美味しい!!」
「フルーツの甘さに冷たさが加わって・・・絶品ですね!!」
フッ・・・アテナとアルマがここまで絶賛するからにはアミネにも有効そうだな。
「・・・また二人に怒られますよ。二人を実験台にして・・・」
「何のことかなアスター君。これは日頃頑張ってくれているメンバーへのプレゼントだよ?」
「・・・はぁ、まぁそう言う事にしておきましょう」
こうしてフルーツシャーベットを堪能するメンバーたちなのであった。
(*・ω・)*_ _)ペコリ
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