累積レベル
「累積レベルっていうのは、【転生】を繰り返して積み上げて来たレベルのことなのよ! このゲームでの強さの秘密は【種族】でもそのレベルでもないのよ! 【転生】とレベリングを繰り返してどれだけ強さを積み重ねることができるか、なのよ!!」
・・・なるほど。
現在のプレイヤーのレベルキャップはLv.75。本来であればプレイヤーはそのレベル以上は強くなれないのだが、このゲームでは【転生】することによってLv.1からやり直す代わりに【転生】前のステータスをある程度引き継ぐことができる。
これにより【転生】前よりもさらに強い状態で始めることができる。確か1.5倍から2倍近く強くなるって話だったな。つまり【転生】を何度も繰り返せば初期状態より何倍も強くなれるというわけだ。
ただし、一度【転生】を行うごとにLv.1からのレベリングになる為、何度も【転生】するということは相当な時間をレベリングに消費してしまうことになるはずだ。
アミネの実力・・・それは【転生】を何度も繰り返したからだろうが・・・しかし、それでもおかしい。このゲームがリリースされてまだそう間もない。だからこそプレイヤー間で極端な実力の差が出ていないはずなのに・・・なぜアミネは?
・・・いや、違うか。確かアテナたちはαテスターだったんだよな。その頃からアミネたちの精神がこのゲームの世界でレベリングを行っていたとしたら・・・トッププレイヤーたちより一歩も二歩も先に進んでいたとしてもおかしくは無い、か。
アニスやアギラの実力もそれが理由か? 俺たちより長時間レベリングを行っていたからこそ異常な力を持っている・・・これでアイツらの実力の謎が解けたな。
・・・しかし、それなら俺たちがアミネやアニスたちに勝つためには・・・
ピタン。
「うおっ!?」
いつの間にかアミネが俺の目の前に!? しかも両手で俺の頬をはさんで超近距離で俺の目をじっと見つめてきてる!?
この俺がここまで近づかれるまで気づかないとは・・・やはりアミネの実力は相当なもののようだ。
「ちょっ!?」
「なにを!?」
アテナとアルマの焦る声が聞こえてくるがアミネは意に介す様子はない。
「貴方・・・中々良いのよ。実力はまだまだ足りないけど、理解力は高いしカンも鋭いのよ。・・・貴方だけは連れてっても良いくらいなのよ」
・・・どうやら俺はアミネのお眼鏡にかなったらしい。しかしなぁ・・・
「・・・悪いが俺の力は俺一人のものじゃないんだ。俺一人がアミネについていっても意味ないと思うぞ?」
【兵器】を作ってくれるのはアヴァンだし、【料理】を作ってくれるのはアーニャ、【ポーション】を作ってくれてるのはアスターだし、武器防具を作ってくれているのはガットだ。そしてそれらに必要な素材はメンバー全員で集めている。
肝心の実力ではアミネの方が上だろうし、他の面で俺にできる事はない。そういう意味で俺一人がアミネに付いていっても意味が無いのだ。
「・・・それは残念なのよ。でも自己分析できる男は嫌いじゃないのよ」
チュッとアミネは・・・俺の頬にキスをした。
「「なっ!?」」
それを見たアテナとアルマが般若の表情でアミネに飛び掛かろうとしたが・・・それよりもアミネが動く方が早かった。
「残念だけどお迎えの時間なのよ」
そう言ってアミネは【機動戦艦】から飛び降り、近くにあった浮遊小島の一つに飛び移った。
「ちょっと!?」
「待ちなさい!!」
当然、追いかけようとするアテナとアルマだったが・・・
『上空から巨大高熱源体が急降下してくるのだ!! 全員下がるのだ!!』
突然のアヴァンからのアナウンスに足を止めてしまった。その瞬間、
ボォォォ!!
突如として上空から巨大な炎の壁が俺たちの前に立ちふさがった。
俺たちのいる【機動戦艦】とアミネのいる浮遊小島を分断するかのように、数キロ以上にわたって展開される炎の壁は間違いなくアミネが呼び寄せたモンスターの仕業。
・・・否。
【太陽神鳥ホルス LV.100】
?????????????
【看破】で確認する限りこれは・・・超巨大なモンスターの翼だ。
・・・アミネの奴、ここまで見越して伏兵を用意していたのか。しかも、俺たちが絶対に突破できないであろう伏兵を。
やってくれたな・・・だが、このまま逃がすつもりはないぞ。
(*・ω・)*_ _)ペコリ
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