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歌声の主

【風王鳥フレースヴェルグ】を仕留めたことを全員で祝いたい心境ではあったが、俺たちの元々の目的は、こんな事態を引き起こした犯人をひっ捕まえることだ。


というわけでその犯人・・・歌声の主をエナジーハンドでひっ捕らえることに成功したわけなのだが・・・


「んもー! なんなのよー! レディの扱いがなってないのよー! 離すのよー!!」


・・・うるさいし往生際が悪いな。声だけ聞こえて来た時は、余裕のあるミステリアスな黒幕(フィクサー)感があったが、今はただの駄々っ子にしか見えない。


とりあえず、エナジーハンドを動かして【機動戦艦(シュテルンアーク)】の甲板まで連れてきたのが・・・がっちり掴んでいるエナジーハンドの隙間から覗き見れる犯人・・・彼女の顔はやはり俺たちの予想通りの物だった。


「・・・やっぱり似てるっすね」


「瓜二つ・・・いえ、瓜三つなのです」


「「・・・」」


そう、その顔は予想通りアテナやアルマとまったく同じだった。異なるのは髪と瞳の色は水色だっ手所くらいか。・・・ん? 頭にドラゴンの角っぽいのが・・・彼女の種族は【竜人】なのか?


種族はともかく、顔を見る限り間違いなくアテナたち7人の人格の一人、そして行方不明だった3人の内の一人のようだな。・・・えらくあっさり見つかったというか、向こうからちょっかいかけてくるとはな。アテナやアルマを連れまわしていたら、その可能性もあるかとは思っていたが、大当たりだったらしい。


「いい加減離すのよー!!」


・・・とはいえ、うるさいな。アテナやアルマとはもちろんのこと、アニスやアギラとも異なる性格の持ち主のようだ。というか、コイツ堂々とし過ぎじゃないだろうか? ホントに今まで逃げ回っていたのか?


「離しても良いが、その代わり大人しく俺たちの話を聞いてくれないか?」


いずれにせよ、コイツには聞きたいことが山ほどある。


まずはメンバーを代表して俺が彼女に話しかける。本当ならアテナやアルマの方が良いと思うのだが、アニスやアギラのように二人を嫌っている可能性もある為、一番事情を把握しているという事で俺になったなったわけだ。


「ヤーなのよ。自由になったら一目散に逃げるのよ」


・・・なのだが、早くも話したくなくなってきた。ちょっかいかけて来たくせに、捕まったら一目散に逃げるとはどういうことだ。せめてちょっかいかけて来た理由くらい話すべきだろうが。


しかし、相手は長年・・・かどうかは知らんがアニスたちの捜索から逃げ回っていた奴だ。こうなることも想定済みで、とっておきの物を用意してある。


「アーニャ、例の物を頼む」


「お任せなのです」


そう言ってアーニャは【収納箱(アイテムボックス)】から()()()()を取り出すと、彼女の元へ運んでいく。


「・・・なんなのよ? なにか・・・良い匂いなのよ~♪」


アーニャがとある物とは・・・俺たちが昨日食べた親子丼だった。昨日得た【美食卵エッグランエッグ】は【アークガルド】メンバー分には数が足りなかったが、俺たちが食った分を差し引いてもまだ数は余っていたからな。


こんなこともあろうかとアーニャに取り置きしておいてもらったのだ。


「彼女がアテナやアルマの別人格なら、この手に絶対乗って来るはず・・・あたっ」


アテナとアルマにはたかれてしまった。


「アンタねぇ・・・」


「こんな単純な手に引っかかるわけが・・・」


フッ・・・どうやら二人は食い物で釣る作戦なんて効果が無いと思っているようだな。しかし、実際には・・・


「お姉さん、お姉さん。これを食べさせてあげるので、アーニャたちとお話してほしいのです」


「・・・ゴクリ・・・おいしそうな匂い・・・分かったのよ。なんでも喋ってあげるのよ!!」


・・・ほらな?


「見事引っかかってるぞ?」


「「・・・」」


二人が頭を抱えだした。まあ、そうなる気持ちは分からんでもないが、釣られてしまう彼女の気持ちもわかるぞ。アーニャの持つ親子丼から発せられる、なんとも人の食欲を刺激するこの匂いにあらがえる人類はそう多くはないだろうからな。


何はともあれ、これでようやく彼女は話を聞いてくれる気になったらしい。となればもう拘束しておく必要は無いな。拘束したままじゃ親子丼は食べれないだろうし。


・・・本当は拘束したまま喋らせた方が良いんだろうが、俺たちも彼女と敵対したいわけじゃないし、どちらかというと味方に引き込みたいわけだから、そう乱暴に扱うのは好ましくない。まずは信用してもらうためにも、彼女をいつまでも拘束しておくのはよろしくない。


ま、何気にアシュラとアスターが彼女を逃がさないよう背後に回り込んでいるし、アヴァンにも戦艦のレーダーで常時捕捉しておくよう頼んであるから、そうそう逃がすつもりも無いんだがな。


そんなわけで彼女を拘束していたエナジーハンドをゆっくりと外していく。


彼女の全身姿が明らかになったわけだが・・・その姿に、この場にいる誰もが驚嘆した。


「ぐはっ!?」


特に俺はその姿を見た瞬間、強烈なダメージを受けた。


バカな・・・こんなことがあっても良いのか。


彼女の姿は・・・下半身が人間のそれではなく魚・・・つまり、【人魚】のそれだった。であれば彼女の種族は【人魚】ということになるはずなのだが、彼女の背中には【人魚】にはありえないことに鳥の翼が生えていた。【鳥獣人】?【天使】? ・・・さらに彼女の頭部にはアシュラと同じ【竜人】の角が。


要するに彼女の種族が不明なのだ。強いて言うならばキメラのようであるがそんな種族は聞いたことが無い。


だが、俺がダメージを受けたのは()()()()()()()()()


「マイクロ・・・ビキニ・・・だと?」


彼女の胸部分はいわゆる人間のそれだったのだが・・・【人魚】のお約束として水着を着用していた。問題はその水着が・・・なぜかマイクロビキニだということだ。


体つきもアテナやアルマと同じようで、たわわな胸をお持ちなのは予想していたが・・・まさかマイクロビキニとは。


というか【人魚】らしく下半身が魚で、身に付けている物はマイクロビキニのみ。


つまり・・・彼女はほぼ裸ズビシッ!!


「ぐあー!? 目が、目がー!?」


「アルク?」


「どこを見ているんですか?」


いや、俺じゃなくとも男なら誰だって見てしまうだろう。アスターだって目をそらしてるし、戦艦の中のアヴァンだって同じ気持ちのはずだ!!


俺たち(主に男性陣)が困惑している中、当の本人はというと・・・


「はぐはぐはぐ・・・美味しいのよーー!!」


「お口に合って良かったのです」


至って呑気だった。あんな格好で平然と親子丼食ってる彼女もそうだが、普通に対応しているアーニャもすごいな。


「そういえばお姉さん、お名前はなんて言うのです?」


「ワタシ? ワタシの名前はアミネなのよ」


おまけにスムーズに情報を聞き出してるし。俺よりアーニャが話し相手になった方が良いか?

(*・ω・)*_ _)ペコリ


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