風を掴む者
俺が放った超巨大エナジーハンドによって捕らえられた【風王鳥フレースヴェルグ】。
しかし、【風王鳥フレースヴェルグ】の巨体さも相まって、奴の行動を完全に封じることはできないようだ。
具体的に言うと、エナジーハンドは【風王鳥フレースヴェルグ】の背後から鷲掴みの状態だ。主に翼を押さえつけて奴の行動を制限させているのだが・・・
「ピィギュアアア!!」
翼は押さえられても奴の手足までは押さえきれず、俺たちに向かって殴り掛かってくる。
「アルマ、アシュラ、カイザー、ミネルヴァ! 頼むぞ!!」
『はい!』
『任せてくださいっす!』
『『了解デス!!』』
【クランメカロイド】化したアークミネルヴァに乗るアルマ、アークカイザーに乗るアシュラから返事が返ってくる。
【ジャック君】による通信越しにカイザーとミネルヴァに【メカロイド】化しておくよう指示していたが、ドンピシャだったな。
『竜撃拳!!』
アシュラが乗るアークカイザーの拳が【風王鳥フレースヴェルグ】の拳を叩き返す。その間にアルマが乗るアークミネルヴァが【魔法】を放つ。
『地獄の業火よ!氷獄の冷気よ!全てを焼き尽くし、全てを凍りつくせ!!【氷炎地獄】!!!』
「ピィギュアアア!?」
地獄の炎を氷地獄の冷気が【風王鳥フレースヴェルグ】を包み込む。苦し気な叫び声を聞く限り、かなり効いているようだ。予想通り防御力はそれほど高くないようだな。
「ピィギュアアア!!」
グッ、とはいえエナジーハンドを引きはがそうとする【風王鳥フレースヴェルグ】の力は相当なものだ。というか【機天の装腕】越しにフィードバックが伝わってくる仕様だったんだな。少しでも力を緩めるとエナジーハンドが消えてしまいそうだ。
俺は【風王鳥フレースヴェルグ】を逃がさないよう気合い入れてがっちり捕まえているが・・・これじゃあ俺の方も身動きが取れない。
せっかくの好機にも関わらず攻撃側に回れないとは・・・無念。
俺の代わりにアーテルたちに怒涛の畳みかけを仕掛けてもらう。
「クルー!!」「だうっ!!」
「キュイー!!」「キュアー!!」「キュウー!!」「キュン!!」
「 【処刑人の断罪刃】!!!」
アーテルたちも次々と攻撃を続けていくがやはりメインは【クランメカロイド】に乗り込んだアルマとアシュラだ。
「罪深き汝よ、深く暗い闇の底で青き炎の裁きを受けよ!【地獄の業火】!!!」
「秘儀! 【竜撃雷光烈破】!!」
・・・ちょっとかわいそうになるくらいのタコ殴り状態だが、致し方ない。ここで逃げられると、もう二度と奴を捕まえられないかもしれないしな。
「ピィギュアアアアアア!!」
む、奴の口元が・・・ブレスか!
この至近距離では奴のブレスを避けるのは無理だ。
「アテナ!」
「わかってるわよ! 聖なる光よ! 私たちを守る盾に!!【聖なる光の盾】!!」
奴のブレスをアテナの盾が防ぐ。
しかし、しぶといな【風王鳥フレースヴェルグ】。
防御力が低い分、HPが高いのか? あまり時間がかかるとエナジーハンドの効果が切れる。
その前に何とか奴を倒したい所だが・・・
「ピィギュアアアアアア!!」
暴れる暴れる。手足を滅茶苦茶に振り回し、ブレスを吐きまくる。
しかし、俺もこの手を離すわけにはいかない。
すると何を思ったのか、【風王鳥フレースヴェルグ】は動きを止めた。
「む?」
『どうしたんすかね? 諦めたんすか?』
まさか・・・間違いなく何かを企んでいるはずだ。
俺は奴を逃がさないようエナジーハンドによる拘束を強めようとしたが・・・
「ピィギュアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
より一層の雄たけびを上げた【風王鳥フレースヴェルグ】。
同時に・・・
ドォオオオオオオン!!
【風王鳥フレースヴェルグ】が・・・爆発した。
「なぁ!?」
まさかの自爆である。おかげでエナジーハンドが吹き飛んでしまった。
しまった・・・逃げられた・・・いや、自爆したんなら、奴はもう・・・
ドンッ!
「うおっ!?」
「きゃあ!?」
その瞬間、【機動戦艦】が揺れた。
それは【風王鳥フレースヴェルグ】が【機動戦艦】の甲板に降り立った時の衝撃だった。
「なぁ!?」
【風王鳥フレースヴェルグ】の姿は激変していた。全身の羽毛や翼がほぼなくなり、体がまるで収縮したように二回りくらい小さくなっている。
どうやら爆発したのは【風王鳥フレースヴェルグ】の全身の羽毛だけだったようだ。
脱皮? いや、羽の生え代わりか?
しかし、翼の羽がほとんど消えてしまっている。あれじゃあ、空を飛翔するのは不可能だろう。
だが、身軽さという意味では今の方が上に見える。なんかファイティングポーズ取ってるし。
どうやら第2ラウンド開始のようだ。
(*・ω・)*_ _)ペコリ
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