迫りくる敵
謎の歌声に導かれるように次々とやって来るモンスターたち。
レベルの種族もバラバラな所を見ると、近くにいたモンスターを所構わず引き寄せているように思える。
【フライングシープ Lv.11】
全身を覆う毛を風船のように膨らませて空を飛び続けるモンスター。
【フライングカニバルウッド Lv.23】
板のような形状で飛び続け、足場だと勘違いした獲物がその上に乗ると瞬く間に捕食してしまう植物モンスター。
【フライングドラゴンフライ Lv.32】
遥か天空を飛び続ける巨大トンボモンスター。その目は遥か遠くの敵を容易に捕捉する。
【ブラッドアシッドクラウド Lv44】
生物を溶かす強烈な酸を雨のように降らせる雲のようなモンスター。
【スカイダイブバード Lv.53】
はるか上空に生息し、鋭い刃のような翼で獲物を斬り付ける鳥モンスター。
【スカイバイトフィッシュ Lv62】
空を泳ぐ魚モンスター。その獰猛な牙はいかなるものも粉砕するとされている。
【スカイジェットプテラ Lv.70】
プテラノドンのような姿をした恐竜モンスター。高速で飛び回り捕らえるのは困難。
「多すぎるんじゃゴラァ! 【双刃・疾風連斬】!!」
【霊刀ムラクモ】と【妖刀オロチ】の二刀流で敵を切り裂いていく俺。
レベルの低いモンスターならば一撃で倒す事もできるのだが、やはりレベルの高いモンスターに対してはそうもいかない。ボスモンスターほどでもないが、レベルが高い分、HPも防御力も高いようだ。
無論、倒せないほどの強敵というわけでもないのだが、一体一体相手をするには数が多すぎる。こんな時はどうするかは決まっている。
「【魔天の叡智】!【ファイヤーストーム】!!」
強力な【魔法】で一気に薙ぎ払うに限る。俺の斬撃を生き残ったモンスターたちも、今度は巨大な炎の竜巻に飲み込まれ、消えていく。
しかし、それも少しすれば再びモンスターたちがわらわらと湧いて出てくる。俺は即座に【MPポーション】で回復後、再びモンスターたちを薙ぎ払って行く。
さっきから、大体こんな感じなことを延々と繰り返していたりする。
薙ぎ払った分だけモンスターが補充されていくようで、既に俺一人で100体以上はモンスターを討伐している。他の皆も同じ感じだろう。
幸いなのは出てくるモンスターは全てLv.70以下、それもレベルが低いモンスターの方が割合が多いことか。さすがにLv70のモンスター軍団が襲ってきたらいくら俺たちでも逃げることを最優先にしなきゃいけなくなる。
・・・そのことが逆に不気味なんだよなぁ。
「ラ~ラ♪ ララ♪ ララ~♪」
歌声はいまだに聞こえてきている。しかし、この歌声は俺にしか聞こえていないようだ。【天醒:集音聴覚】とやらのおかげなんだろうが・・・そんな俺でもどこから歌声が聞こえてくるのかは分からない。
というのも俺の耳に届く歌声はどこからか聴こえてくるというよりは、耳の奥底に直接届いているような・・・とにかく普通の聴こえ方じゃないのは確かだ。そのため、何処から聴こえてきているのかが分からないのだ。
確実にわかるのは、この歌声の主は歌い続けている・・・つまり、モンスターを引き寄せ続けているってことだけだ。
ただ俺たちを倒す為に続けているのかというと・・・正直微妙だ。本気ならそれこそ強力なモンスターだけを引き寄せればいいわけで、俺たちでも対処できるレベルのモンスターばかりを呼ぶのは不自然だ。
この歌声にそこまでの力はないとも考えられるが・・・俺には良い感じに手を抜かれているように感じられる。
敵が弱すぎれば俺たちも無視するだろうし、逆に強すぎれば撤退を第一に考える。そのどちらにも傾かないよう、俺たちが対処できる範囲で調整されている気がする。
逆に言えば・・・その気になれば俺たちを簡単につぶせると言っているようにも感じられる。実際、Lv.70以上のモンスターが・・・【世界魚バハムート】のようなLv.100モンスターに出て来られたら俺たちでも勝ち目は無いだろうしな。
要するに歌声の主は俺たちを使って遊んでいるわけだ。ただの暇つぶしなのか、俺たちに対して何か確かめたいことでもあるのか・・・どちらにせよ、売られた喧嘩は買ってやらないとな。
「どうだ、アヴァン。何か見つかったか?」
『・・・駄目なのだ。レーダーには反応は無いのだ。この近くにはいない可能性が高いのだ』
近くにはいない、か。となるとモンスターを遠距離で操作しているってことになるが・・・そこまでの力の持ち主だっていうのか?
いずれにせよ、歌声の主を見つけない事にはこの状況を打破することはできない。
「わかった。全員聞いてくれ。俺が道を切り開くから、皆は戦局を維持したまま北へと移動するぞ」
現在俺たちは【機動戦艦】を中心に東西南北でそれぞれ討伐を行っている。俺が今いるのが北側なので、歌声の主も北側に居る可能性が高い。その方向に進めばレーダーに引っかかる可能性も高い。
『敵がいるであろう方向へ向かって敵の出方を見るということなのだな? 了解なのだ』
『『『『『了解!!』』』』』
アヴァンを筆頭に皆から了承を貰ったのでさっそく道を切り開くことにしよう。
「【グランディスチェイサー】スタンバイ」
俺は【グランディスチェイサー】を取り出し、バスターキャノンモードへと変形させた。
さらに【機天の装腕】に【エナジーブーストメダル】を3枚装填する。
「【機天の装腕】エナジーブースト!」
キュイン! キュイン! キュイン!!
【機天の装腕】が生み出した膨大なエナジーが【グランディスチェイサー】へと流れ込んでいく。その発射口にはかつてないほどの膨大なエナジーが集まっているのがわかる。
それを北側に群がっていたモンスターたちに向けて・・・トリガーを引く!
「【グランディスバスターキャノン】・・・発射ぁ!!」
ドォオオオオオオオオオオオオン!!!
砲口から発射された膨大なエナジーは巨大な光となって大量のモンスターを飲み込んでいく。
やがて光が収まった先、そこには一切の影も残っておらず、ただ茶色い空が見て取れるのみとなっていた。
(*・ω・)*_ _)ペコリ
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