誘う歌声
===ログイン===>【幻獣界】スカイエリア5
お空の上からコニャニャチワ、パートツー。
俺たちは昨日に引き続き、【機動戦艦】に乗って【幻獣界】の空の上、空が茶色だった場所・・・もとい、スカイエリア5まで来ていた。ただし、昨日とは違って今日は【アークガルド】メンバーが勢ぞろいしているが。
昨日、【美食卵エッグランエッグ】を一足先につまみ食い・・・じゃなかった、味見したことが女のカンによって暴かれ、洗いざらい白状させられた結果、アテナたちも食べたいと言い出したので卵狩りにここまでやってきた次第である。
ちなみにスカイエリアという名前は【転移装置】の転移先リストを見て判明した。
既に予想できていると思うが緑色の空がスカイエリア1、黄色の空がスカイエリア2、水色の空がスカイエリア3、オレンジ色の空がスカイエリア4、そして今俺たちがいる茶色の空がスカイエリア5というわけだ。
さらに上昇していけばスカイエリア6、スカイエリア7・・・と続いていくんだろう。どこまで続いていくのかは不明だ。
そういえば海の方も海底の下にはまた別の海が広がっているんだったっけ。【世界魚バハムート】のようなモンスターがうろついている所を見ると海底のほうもそうと深くまで広がってるんだろうな。
もしかしたらこの【幻獣界】っていう世界・・・俺たちがいる場所は、地球のような惑星型の星なのではなく、地上も海も空も、どこまでも広がっているのかもしれないな。
そして奥に進めば進むほど強力なモンスターが・・・ぶるぶる。
おっと話が逸れた。
今は【美食卵エッグランエッグ】のゲットに集中しよう。
【卵獣エッグラン】の特徴と倒し方は既にみんなには話してある。それを考慮した上でチーム分けをし、各自行動中だ。
第1チーム:俺、アーテル、アウル
第2チーム:アテナ、レオーネ、アルマ、フィオレ、カイザー、ミネルヴァ
第3チーム:アーニャ、ブラン、ノワール、テール、ラメール
第4チーム:アシュラ、ルドラ、アスター、ミコト、カリン
戦艦待機組:アヴァン、ラグマリア、【チビマリア】たち
・・・チーム分けしていて気づいたが、俺たちの中で【卵獣エッグラン】を倒せる条件・・・つまり、武器やスキルを使わず、一定以下のダメージを与え続けることができる奴って意外と少ないんだよな。
アテナは弓を使った遠距離系及び回復支援型だし、アルマは完全【魔法】特化型だ。二人とも素手による格闘戦なんて経験はほぼないと自己申告してきた。レオーネやフィオレもいるが、人数も考慮してカイザーとミネルヴァもチームに加えることにした。ミネルヴァはまだレベルが足りていないが、カイザー、レオーネ、フィオレがいれば大丈夫だろう。
アスターも基本的に武器を使っての攻撃が主で不向きだが、【念動力】はあの卵の逃走を防ぐのにうってつけだからな。格闘戦が大の得意なアシュラに付いてもらった。取り逃がしたりしなければ、アシュラなら確実に仕留めてくれるだろう。格闘戦に限定すれば俺以上に腕前だしな。
アーニャに関しては昨日と同じ。ラグマリアは昨日の反省を生かしてアヴァンと共に戦艦でのサポートに専念するのだそうだ。
【機動戦艦】のレーダーでモンスターを補足、その情報を4チームに伝達して【卵獣エッグラン】を捜索、討伐を行っているのが今現在の状況だ。
無論、レベリング兼食材集めのために道中に現れた他のモンスターの討伐も積極的に行っている。
『あーあー、テステス・・・アルク、聞こえるのだ?』
おっと、片耳に装着しているイヤホンからアヴァンの声が聞こえてきた。
今回初登場の新【兵器】、多機能型無線通信イヤホン【ジャック君】だ。
【機動戦艦】を中継して他の皆と通信会話できる他、発信機も内蔵されていて【機動戦艦】からレーダーで捕捉することもできる。これで余程遠くに行かない限り迷子の心配がなくなるわけだ。
・・・まあ、他の皆とやり取りをするのなら【メッセージ】を使えば良いのだが、戦闘時とかには【メニュー】を開いている余裕なんてないからな。緊急時とかには役に立つ・・・はず。あとはノリと勢いとロマンで採用を決定した。だって無線機で戦艦とやり取りってなんかかっこいいじゃん!
「アヴァンか。聞こえてるぞ」
『うむ、【ジャック君】に問題は無いようなのだ。そっちの様子はどうなのだ?』
「今は・・・おりゃあ!!」
ドゴッ! ピシピシピシッ! パリィン!!
「丁度今、【卵獣エッグラン】を一体撃破したところだ」
『・・・タイミング悪くて申し訳ないのだ』
いやいや、これはしょうがないだろう。むしろさっそく役に立ってるぞ【ジャック君】。やっぱりハンズフリーで会話できるのは便利だな。
「他の連中はどうだ?」
『アーニャのチームは既に1体倒したのだ。アシュラのチームは戦闘中、アテナのチームはまだ見つかっていないそうなのだ』
ふむ・・・探索を始めて1時間、昨日に比べれば早いペースだが、今後の事を考えると微妙だな。5体倒せばメンバー全員に行きわたると考えると一日分はとりあえず確保できそうだが・・・毎日【美食卵エッグランエッグ】を食べようと思ったら数が全然足りないな。
かといって毎日狩り続けるのもちょっとな・・・皆にだってそれぞれ自分の冒険があるわけだし。
希少な食材であるわけだし、毎日食そうなんていうのはさすがに贅沢過ぎるのだろうか。
なお、【卵獣エッグラン】及び【美食卵エッグランエッグ】の情報はまだラングには話していない。
別に隠すつもりはないのだが、まずは発見者である俺たちで十分な数の【美食卵エッグランエッグ】を確保してから、と思ったのだが・・・この調子だと難しいだろうな。
いっそラングが中心となって人手を募るのも有りかと思ったが・・・なんせ倒し方が特殊だからな。半端な奴を集めた所でかえって足手まといだし、報酬の分け前の問題もある。
仮に100人集まったとして【卵獣エッグラン】20体見つけて討伐しないと【美食卵エッグランエッグ】が全員に行きわたらないわけで・・・達成できなかったらかなり揉めそうだ。
この辺りはラングと要相談だな。昨日と今日の戦果も含めて詳細を伝えれば後はラングの方で良い感じに采配してくれるだろう。・・・丸投げじゃないかって? 否定はできないな。
「分かった。そんじゃあこっちも探索に戻る」
『うむ・・・楽しみにしているのだ』
・・・フッ、アヴァンもあの黄金の卵にすっかり魅了されているようだな。まあ、俺もだけど。
次はどんな料理を出してくれるかなぁ、アーニャは。卵焼き、オムライス、かつ丼、ケーキやプリンっていう可能性もあり得るか。
・・・いかん、よだれが・・・じゅるり。
さて、アヴァンの期待に応えるためにも次の【卵獣エッグラン】を探すとしますかね。
『【固有能力:天醒者】の効果により【天醒:集音聴覚】が発動しました』
・・・ん? なんだ急に?
「フフフ、楽しそう♪」
声が・・・どこからだ? 俺たち以外に誰かが聞こえる気配はないが・・・遠くの声?
「盛り上げてあげる♪・・・ラ~♪ ララ~♪」
・・・歌声?・・・確か前にも聴いたような・・・
「ララ~♪ ラララ~♪」
これは・・・【世界魚バハムート】が出た時の・・・まさか!?
「「「「ギュアアアアア!!!」」」」
歌声をかき消すような大量のモンスターの叫び声。
『アルク! 大変なのだ!! 大量のモンスターが急に群がって来たのだ!!』
「・・・ああ、わかってる」
「クルー!」「だう!!」
俺たちは既に大量のモンスターに囲まれていた。
(*・ω・)*_ _)ペコリ
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