魔境の先にあるもの
説明しよう! 【美食幻獣】とは!!
【幻獣界】に存在する特別美味なモンスターの事である!! ・・・そのまんまじゃないかって? 俺もそう思う。
かつてアーニャ達が【神仏界】で【地竜帝ドラント】からの試練として戦わされたモンスターであり、その素材を使った料理をふるまう事が【加護】を与える条件だったという意味不明な出来事があったわけだが・・・そのおこぼれにあずかった俺たちとしては、神様が欲しがるのも納得の美味だった。
その味は今でも忘れられないほどだが・・・あいにく【幻獣界】で見つかったという話は未だ無い。
強力な上に滅多に遭遇しないらしいので、気長に待つしかないのかと思っていたが・・・とうとう見つかったのか!!
「それで、アーニャ! その【美食幻獣】はどこに・・・ってうおっ!?」
その場所を聞こうとした所で【機動戦艦】が揺れた。
「アヴァン!?」
「敵襲なのだ!!」
アヴァンが叫ぶと同時に遅れて鳴る警報音。攻撃されてから鳴るってどうよ?
「レーダーの範囲外からの攻撃なのだ・・・アルク、あれを見るのだ」
アヴァンが指差した先、雨で視界の悪い中でモニターに映し出されていたのは・・・
「・・・カエル?」
そう、そこにいたのは巨大なカエルだった。しかも空中に静止しているカエルだ。
「・・・【空歩】スキルか」
「おそらく、それに加えてこの辺りの重力がかなり減少していることも関係していると思うのだ」
まあ、今更どんなモンスターが出て来たとしても驚きはしないが・・・あのカエル、かなり遠い距離にいるよな。あそこからどうやって攻撃してきたんだ?
と思っていると、当のカエルが巨大な口を開け・・・舌を伸ばしてきた!
おいおい、いくら何でも長すぎだろ!? あの舌で攻撃してきたのかと思ったが、舌が【機動戦艦】に到達しても衝撃は無かった。
代わりに【機動戦艦】の側面に舌が張り付いている。
かと思った瞬間・・・
ドゴッ!!
舌に引っ張られるようにカエルが体当たりしてきた!!
【機動戦艦】が揺れる中、俺はカエルに【看破】を発動!
【フライングボディフロッグ Lv.33】
空中を移動できる巨大カエル。その長い舌と強靭な体での攻撃を得意としている。
「・・・なるほど・・・フライングボディアタックを繰り出してくる【フライングボディフロッグ】か」
「つまらない駄洒落デスネ。撃てぇ!!」
あっさりさっくりばっさりざっくり俺の駄洒落を斬り捨てたラグマリアが【チビマリア】たちに砲撃を指示した。
しかし、カエルはその体がゴムのようになっているかの体当たりの反動で【機動戦艦】から高速で距離を取り、砲弾が当たることは無かった。
「高速でヒット&アウェイを繰り返すタイプか・・・あれじゃあ確かに砲撃は当てにくいな」
「うむ。当たりさえすれば倒せるのだが、このレベル帯あたりからは砲撃を避ける敵が増えてくるのだ」
まあ、プレイヤーだってレベルが上がれば銃弾を普通に避けられるようになるからな。逆に撃つ側は避ける先を予測して狙撃するのが定石だが・・・【チビマリア】たちには難しいか。
「どれ・・・ちょっと代わってみな」
俺は【チビマリア】の内の一体に席を代わってもらい、代わりに砲撃を担当する。
「あのカエルは確かに素早いが、あの攻撃は舌をゴムのように使った攻撃だ。つまり、一直線にしか移動できないはずだから・・・」
再度、舌を伸ばしてきたカエルに砲台を向ける。ただし、狙うのはカエル本体ではなく、伸ばした舌の中間辺り・・・あとはあのスピードと距離を計算してタイミング良く・・・撃つ!!
ドォン!!
コチラに体当たりを仕掛けようとしたカエルは、見事俺の砲撃の直撃を食らった。
「今デス。一斉発射!!」
その隙を逃さず、他の【チビマリア】たちがカエルに追撃を仕掛ける。やがてカエルは力尽きて消えていった。
アヴァンの言った通り、威力の方は申し分ないみたいだ。後は命中精度を上げていけばかなり使える戦力になるはずだ。
『『『『(✪▽✪)』』』』
・・・なんか【チビマリア】たちが俺を尊敬の目で見ている気がするが・・・お前たちもこれぐらいできるようにならないとラグマリアが怖いぞ?
「話が逸れたな。アーニャ、【美食幻獣】がいるのはどこだ?」
「ハイなのです。次の次のお空の所にいたのです」
次の次となると・・・Lv.50前後のモンスターがでる所か。今の俺たちならレベル的にも問題なく倒せるだろう。
「わかった。アヴァン、そこまで移動を頼む」
「承知しているのだ。それとアルク、ここから先ほど言った通り、砲撃が効きにくくなってくるのだ。万が一の時のために格納庫の方で待機していてほしいのだ」
砲撃で倒せない敵を甲板に出て直接倒せっていうことか。
「わかった。行くぞ、アーテル、アウル」
「クルッ!」「だうっ!」
「アーニャたちも行くのです。ブランちゃん、ノワールちゃん、テールちゃん、ラメールちゃん!!」
「キュイ!」「キュア!」「キュウ!」「キュン!」
・・・
・・
・
次の空はオレンジ色だった。
一見すると夕焼け空にも見えるのだが・・・ぶっちゃけモンスター以外は特に何もない空の上だったので、あんまり感慨はなかった(笑)
で、既に甲板に出ていた俺たちの前に現れたモンスターなのだが・・・
「・・・雲だな」
「雲なのです」
オレンジ色の空に出て来たのは白い雲・・・ではなく赤い雲だった。
どう見ても普通の雲ではないので【看破】してみると・・・
【ブラッドプレスクラウド Lv42】
生物を体内に取り込み、栄養とする雲のようなモンスター。
・・・あの雲が赤いのは生物の血で真っ赤に染まっているとかいうんじゃないだろうな。
「あのモンスターは、物理攻撃が効かないタイプなのです。戦艦の砲撃では倒せないのです」
「となると【魔法】系の攻撃か・・・頼むぞ、皆」
「クルッ!」「キュイッ!」「キュアッ!」
さっそく出番だと言わんばかりに空中へと飛び出して行くアーテル、ブラン、ノワール。そして【ブラッドプレスクラウド】に向かってブレスを発射する。
「キュウ!!」「キュン!!」
空中が得意ではないテールとラメールも甲板からブレスを発射。
5種類のドラゴンのブレスを一斉に食らった【ブラッドプレスクラウド】はあっけなく消えていった。・・・ちょっとオーバーキルだったな。
「だうー・・・」
そして出番が無かったアウルがちょっと拗ねていた。
よしよし、大丈夫。次は活躍できるさ。
・・・
・・
・
そしてやって来たのが目的の茶色の空。
そこにあったのは・・・
「・・・今度はこう来たか・・・」
俺たちの前に広がっていたのは・・・空中に浮遊する大地だった。
(*・ω・)*_ _)ペコリ
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