アーク・ガジェット
【機天ガジェット】から受け取ったアタッシュケースの中に入っていたメイン素材。それはピンポン玉程度の大きさの【ガジェットコア】と呼ばれる部品だった。
一般的な【兵器】の動力源である【エナジーコア】の代わりに、この【ガジェットコア】を使った【兵器】の事を【機天の装腕】と呼ぶみたいだな。
【ガジェットコア】以外の部品は自前で用意しなければいけないらしく、同封されていた説明書に書かれているレシピ通りに自分の持ち物や共有倉庫から部品を選定していく・・・よくよく考えたらここで部品が足りなかったら仕入れに行かなきゃいけないんだよな。先にレシピの方を確認しておけば良かったぜ。
幸いな事に部品は全て揃っていたので、ここまでの練習時間を無駄することはなさそうだ。せっかく練習したんだから、その感覚を忘れないうちに取り組んでおきたいからな。
それにしても、レシピに通りだと【ヴァルムセル装甲】を始めとした最新の素材を容赦なく使わされる事になるのか・・・やっぱり【宇宙要塞ヴィヴェルグ】攻略が【機天ガジェット】と出会うフラグになっていたんだろうな。となると他の【天凱十二将】も、もしかしたら・・・
おっと、思考が本題から逸れてしまった。
まずはレシピ通りに各部品のサイズを調整、と・・・うわぁ、なんか細かい部品を数多く用意しなきゃいけないっぽいな。今日中に間に合うだろうか?
===時間経過===>20分経過
技術は進めば進むほど小型化するって聞いたことがあるが・・・【兵器】部品の小型化もここまで来ていたのか・・・ピンセットを使わないと組み立てられないじゃないか。こんな数cm程度の部品で☆10素材なんだよなぁ・・・あ、やべ! 床に落としちまった! どこ行った!?
===時間経過===>20分経過
ぐぬぬぬぬ・・・この【ヴァルムセル装甲】、かてぇな・・・今まではサクサク加工できてたのに・・・レアリティが上がると加工もしにくくなるようだ。こうなっては奥の手だ・・・【力天の強豪】!!
===時間経過===>20分経過
・・・勢い余って削り過ぎたな。パワーが上がって加減を間違えたせいか・・・余計なことすんじゃなかった。まあ、失敗は誰にでもあるよな、うん。・・・あんまり失敗続きだと素材が足りなくなりそうだし、もっと集中しよう。
===時間経過===>20分経過
丸みを付けるのって難しいなぁ・・・ってか【エナジー基板】を丸くってどうやんだよ。・・・あ、【エナジー溶接機】を使うのか。ある程度熱すれば柔らかくなるから、その隙に曲げて、と・・・こんな応用の仕方もあるんだな。
===時間経過===>20分経過
慎重に慎重に組み立てて・・・おうふ、サイズが合わねぇ。削り削り・・・よし、合った! これにカバーを・・・カバーのサイズも合わないのかよ。削り削り・・・
===時間経過===>20分経過
最後に【ガジェットコア】をはめ込んで・・・良しっ! これで完成だ!! 2時間もかかってようやく作り上げたぞ!!
これがガントレット型の【兵器】、【機天の装腕】だ!!
いやー、苦労したぜ。俺の手にピッタリ合うよう加工する為に、何度も何度も削っては確かめて削っては確かめての繰り返しだったからな。こればっかりは実寸して合わせないといけないから大変だったぜ。
【機天の装腕】の見た目はというと手の先から手首の少し先の方までが【ヴァルムセル装甲】で覆われた金属製ガントレットだ。最初は金属らしく銀色だったのだが、装飾もなく味気なかったので専用塗料で金色に変えてやったぜ!
【機天の装腕】の力の根幹たる【ガジェットコア】は手の甲に当たる部分に半分露出するように埋め込まれている。完全に内部に組み込むのではなく、一部分露出させていることが重要なのだそうだ。
なお、【ガジェットコア】は一つだけしかなかったので、必然的に左右どちらかの手分しか製作できなかったのだが、説明書には利き手用にと書かれていたので右手専用装備になってしまった。左手は・・・今のままだとバランスが悪い気がするから、また今度なにか考えよう。
さっそく右手に装着してみる。一見すると【兵器】ではなくただの防具のようにも見えるが、その内部は機械部品が盛りだくさんの精密機械だったりする。
さらに俺の場合、利き手と言うこともあって剣を始めとする武器を握るのに邪魔になるんじゃないかと懸念していたが・・・うん、手の平を開け閉めする限り、特に問題はなさそうだ。この辺りはかなり集中して丁寧に丁寧に製作したからな。それが功を奏したのかもしれない。
あとは性能テストだな。こいつが説明書通りの性能を発揮できるかどうか・・・もし駄目だったら作り直しになるから、それは勘弁してほしいところだが・・・
さっそく練習場に試しに・・・ん?
『|ω・`)』
・・・何故か【チビマリア】のNo.007が工房の入り口から俺をのぞき見していた。体は隠れてる、顔も半分隠れてる、だが吹き出しが丸見えのその状況は、一体何から隠れているつもりなのだろうか?
・・・
・・
・
「戻ってたんならそう言えば良いのに」
俺が練習場に着いた時には【アークガルド】メンバー全員が既にそこにいた。【機動戦艦シュテルンアーク】のテストに行っていたアヴァンやラグマリア、そして【チビマリア】たちも全員揃っている。・・・No.007だけは俺が首根っこを掴んで持ち上げているのだが。
『はなせぇぇ!!』ともがいているNo.007と、それを助けようとしているのかピョンピョン飛び跳ねている【チビマリア】たちを見ていると微妙に罪悪感が出て来たのでNo.007を離してやることにした。
『٩(◦`꒳´◦)۶』
何やらNo.007は怒っている様子だったが、気にしないでおこう。
「うむ、伝えようかと思ったのだが集中している様子だったのだ。邪魔をしないようキリの良い所まで待つことにしたのだ。・・・それが例のアレなのだ?」
「ああ」
俺は出来上がった【機天の装腕】をアヴァンに見せる。これが本当の意味で完成したかどうかはこれから試すところだが。
どうやら他の皆も【機天の装腕】の性能が気になって集まった・・・みたいなのだが、
「キャー! この子かわいい!!」
「手触りも良いですね」
「かわいいのですー! モフモフなのですー!!」
「ボクにも一体欲しいっす!!」
今はそれよりも【チビマリア】たちの方が気になるらしい。特に女性陣たちが。
まあ、動くヌイグルミだからな。見た目も愛らしい感じだし夢中になるのも分からんではない。当の【チビマリア】たちは女性陣に抱きしめられてジタバタしているが。
「予想以上の反響なのだ」
「やっぱり女の人ってかわいいヌイグルミが好きなんですねぇ」
しみじみと言った感じのアヴァンとアスターだが、彼らはヌイグルミよりも【機天の装腕】の方に興味があるらしい。
それならそれで男性陣で性能テストとしゃれこみますか。
さっそく俺が取り出したのは・・・【エナジーブーストメダル】。
実はこの【機天の装腕】、丁度手首の辺りにメダルの挿入口があるのだ。・・・この挿入口を作るのにも苦労したんだよなぁ。
その挿入口にメダルをガシャッと差し込むと・・・
キュィィィン!!
と言う音と共に【ガジェットコア】が光り出す。どうやら【機天の装腕】は正常に起動したようだ。
あとは音声入力で【機天の装腕】の各種機能が使えるようになるはず。
「【機天の装腕】エナジーハンド」
説明書に書かれていた通りに言葉を発すると、【ガジェットコア】からエナジーの塊のような物が放出される。ある程度放出されると、エナジーの塊が手の形へと変化する。
その様は、まるで・・・
「これは・・・【エナジーハザード】の腕、なのだ?」
そう、それは俺たちが戦った【エナジーハザード】のそれに酷似していた。
(*・ω・)*_ _)ペコリ
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