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小さきサポート役

「サポート役なのは分かったが・・・ぶっちゃけ必要か?【ビートル君】や【ガタック君】ほど役に立つようには見えないんだが・・・」


俺の言葉を受けてヌイグルミたちが『ガーンッ!!』とショックを受けたようなリアクションをとった。・・・君たち、案外感情豊かだよね。


勿論、ヌイグルミたちはただの布と綿でできているので人間のように顔の表情が変化するようなことはないのだが・・・代わりに体を張って行うリアクションは、まるで芸人さんを見ているかのようだ。


そういう意味ではこのヌイグルミたちは芸達者だな・・・何の役に立つかは不明だが。


「このヌイグルミたちには主に【機動戦艦シュテルンアーク】の運用の補助をやってもらうつもりなのだ。それ以外にも荷物運びくらいはできるはずなのだ」


ああ・・・確かに巨大な【機動戦艦シュテルンアーク】にはこれからも色々な設備を増やすつもりだし、人手が必要かもな。かといって俺たちプレイヤーがいつまでも戦艦の中にい続けるわけにもいかないし、ロボットたち・・・もといヌイグルミたちに運用を任せるのも手といえば手か。


だが・・・荷物運び? このヌイグルミたちに物を運ぶことができるのか?


そんな疑問が顔に出ていたのか、先ほどのヌイグルミ・・・No.007(ナンバーセブン)が一歩前に出て、ビシッと俺を指差した。その様は『見てろよこの野郎!!』と言わんばかりだった。


そんなNo.007(ナンバーセブン)はトテトテトテと、工房に置かれていた箱の一つの元へと歩いて行き・・・まさかその箱を持ち上げるつもりなのか? ヌイグルミたちの何倍もの大きさがあるんだぞ? というか、そのヌイグルミ特有のまん丸な手じゃ物を掴むこともできないんじゃ・・・


俺の不安を他所に、No.007(ナンバーセブン)は箱に手をやると・・・あっけなく持ち上げた。いや、今のは持ち上げたというよりは、箱が浮かび上がったような?


「ヌイグルミたちの手先には超小型の【重力制御装置】が組み込まれているので、どんな重い物でも持ち上げることができマス」


「そこだけえらくハイテクだな!?」


どんなに重い物だろうが、重力を操って重さ0にすれば非力なヌイグルミでも楽に持ち運び可能ってことかよ。


実際に、No.007(ナンバーセブン)は自身の何倍もある箱を頭上に持ち上げて、トテトテと歩いている。


ついでに俺に向かって『どうだ!!』って顔を向けている・・・気がする。だが、そんなよそ見をしながら歩いていると・・・


トテトテトテ・・・コテン


「「「あ・・・」」」


案の定、こけやがった。そして重力制御を失った肝心の箱は・・・重力に従ってNo.007(ナンバーセブン)を速やかに押しつぶした。


おいおい大丈夫か・・・って、おお・・・辛うじて上半身は下敷きになるのを逃れたようだ。逆に言えば下半身は下敷きになってしまったわけだが・・・ヌイグルミの体が幸いしてか、壊れてはいないようだ。『助けてくれー!!』と言わんばかりに元気に地面をタップしているが。


「ふむ、もう少し重力制御の範囲を広げた方が良いかもしれないのだ」


「そうデスネ。今のように転んでも荷物だけは守れるようにしておいた方が安全デスネ」


いや、お前ら・・・改善策を考える前にNo.007(ナンバーセブン)を助けてやれよ。


と思っていたら他のヌイグルミたちがやって来て箱をどかし、No.007(ナンバーセブン)を救出していた。『すまねぇ、助かった』『いやいや』『なんのなんの』と言い合っている・・・ように見える。任侠に熱いヌイグルミたちである。


ドジをするのは問題だが・・・なんだろうな。見ていて癒される気がしないでもない。見た目だけを見れば小さなヌイグルミたちが一生懸命頑張っているように見えるからな。


それにアヴァンもラグマリアもヌイグルミたちを失敗作として破棄するのではなく、修正して活用する方向に考えている辺り、多少なりとも愛着があるのかもしれないな。


「今のままでは銃火器などの危険物を持たせることができないのだ」


「そうデスネ。今のままでは爆弾を持たせることもできマセン」


・・・いや、愛着は無いのか? っていうかアヴァンはともかくラグマリア! 爆弾を持たせて何をさせるつもりだ!? 特攻か? 特攻させる気なのか!?


ほら、ヌイグルミたちも『ヒィィィィ!?』って感じで怯えてるじゃないか!


「・・・冗談デスヨ、冗談。人間は冗談を言って失敗を誤魔化すものなのでショウ?」


「そういう奴もいるかもしれんが、それは多分真似したら駄目な奴だと思うぞ?」


ラグマリアの奴・・・微妙に人間に対する認識が間違ってるような気がするな。まったく、一体誰の影響なんだか。え? 俺? HAHAHA! まさか! ・・・今、笑ってごまかしてしまったな。


ま、まあ、それはともかくヌイグルミたちも冗談だと聞いてほっとしているようだ。・・・喋れないくせにやけに感情豊かなヌイグルミたちだな。


「そういえば、このヌイグルミたちの名前は無いのか? 個別にはNo.(ナンバー)で呼べばよいと思うが・・・総称とかは?」


さすがにいつまでもこのままヌイグルミ呼ばわりは可哀そうというか・・・そもそも外見がヌイグルミなだけで中身は全く違うしな。


「そうデスネ・・・」


ラグマリアはしばらく悩んでいる素振りを見せたが・・・やがてポンッと手を叩いた。・・・そういう素振りまで人間っぽくなってきてるな。


「小柄ながらたくさんいて各所でサポート・調整スル役割を持つという意味で・・・【チューナー・ビット・ラグマリア】というのはどうでショウカ?」


何故か自信満々な様子のラグマリア。やっぱり自分の名前を使うくらいに愛着はあるのか?


まあ、俺も反対はしないが、【チューナー・ビット・ラグマリア】っていうフルネームはちょっと長いな・・・そうだ!


「ふむ・・・なら、略して【チビマリア】だな」


ちょうどぴったりな略し方を思いついてしまった!


「・・・本機への悪口になっている気がスルのですが気のせいでショウカ?」


何故かショックを受けた様子のラグマリア(笑) いやいや、お前の事じゃないからな?


当のヌイグルミたちも抗議するかのように手足をジタバタさせているが・・・ふっ、しゃべれないお前たちの無言の抗議なんて俺の耳には届かないんだよ。


「ふむ、やはり喋れないのは少し厳しいかもしれないのだ。・・・まあ、喋れたら喋れたで喧しくなる気がするのだ」


「音声機能まで付けるのはコストが高過ぎマス。そこは現状では諦めるしかないのデスが、そのままでは意思疎通に問題があるかと思いまして、こんな機能をつけてみマシタ」


ラグマリアがそう言うと、【チビマリア】たちが一斉に何かを・・・っておい、これは・・・


『(○`ω´○)』『 (#・∀・)』『(。-`ω´-)』


『(`^´)』『 (#`-_ゝ-)』『(*`皿´*)/』


『 (# ゜Д゜)』『 (*`ε´*)ノ』『 ヽ(゜Д゜)ノ』


『ヽ(`Д´#)ノ』


・・・コイツ等も顔文字の吹き出しかよ orz

(*・ω・)*_ _)ペコリ


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m(_ _)m

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