最後の確認
===移動===>【アークガルド】クランホーム
あの後、一応拠点内を見て回ったが、やはりアギラは立ち去った後だったようで、その姿を確認することはできなかった。まあ、拠点自体が相当に広いのでくまなく捜索できたわけでもないのだが、理由もなくいつまでも拠点に残っているとは思えなかったので、どちらにせよアギラの捕捉は無理だっただろう。
と、いうわけで俺たちはさっさとクランホームまで戻って来ていた。
アーニャはまだ料理中(さすがに2日続けて宴をするとは思ってなかったようで準備不足だったそうだ。すまん)だったので、せっかくだから【機天ガジェット】が出していたなぞなぞをアーテルたちにも出してみた。
ちなみになぞなぞの内容と答えはこちら。
「逆立ちすると機械になっちゃう生き物はなーんだ?」
→カメ 反対にするとメカ
「水を抜くととっても危険な乗り物ってなーんだ?」
→潜水艦 水を取ると潜艦、つまり戦艦
「冷蔵庫の中にいる生き物はなーんだ?」
→ゾウ れいぞうこの中に含まれる生き物の名前がぞう
「ラケットで打ち上げると宇宙まで行っちゃう乗り物はなーんだ?」
→シャトル バドミントンのシャトルと宇宙に行くスペースシャトルをかけた問題
「ミサイルの爆発の中でも生きている動物はなーんだ?」
→サイ ミサイルの中に含まれる動物の名前がサイ
「ワンピースに使うと犬になっちゃう道具はなーんだ?」
→ピストル ワンピースからピス取る、つまりピとスを取るとワンー、と鳴くのは犬
結果、アヴァンとアスター、ラングが全問正解。カイザーにラグマリア、ミネルヴァが半分正解、残りは大体1、2問の正解止まりだった。
・・・なお、アシュラとガットは全問不正解だった。二人は、専門分野に関しては天才的なんだが、どうもひねりを加えた問題が苦手なようだ。将来詐欺に引っかからないか心配である。
というか・・・
「もはや違和感なく溶け込んでやがるな、ラング、ガット」
自分たちのクランをほったらかして、よそ様のクランホームでくつろぐコイツ等には、もうため息も出ない。
「良いじゃないか。僕たちにだって休息が必要なんだよ」
「うむ。根を詰めすぎては良い仕事はできん。休息は大事じゃよ」
・・・間違ったことは言っていない。言っていないが・・・
「ほう・・・それはつまり、自分たちのクランでは休息できないってことか?」
「「・・・」」
目を反らすラングとガット。まあ、答えは言わずもがなだがな。
「それならそうと俺からロゼさんとヴィオレに伝えてやろうか?」
「「それだけはやめて!!」」
二人そろってクランリーダーのくせに副リーダーに弱いとは・・・尻に敷かれてるな。
なお、今回二人はそれぞれの【眷属】も連れてきたようだ。
ラングの【眷属】である【グリフォン】のヒュームと【クランメカロイド】のインフォバルトス。
そして、ガットの【眷属】である【鍛冶の精霊】グラントと、あともう一体。
「あれが【アイゼンガルド】の【クランメカロイド】か?」
「うむ。名前はアイゼンライデンじゃ」
ガットが連れて来た【クランメカロイド】の姿は、まさに武者、もしくは戦国武将を彷彿とさせるデザインのロボットだった。カイザーより一回り大きいガッチリとした体型、緋色をベースにした武者甲冑のような体。そして鎧兜のような頭部・・・なかなか立派ないでたちじゃないの。
「ちなみにアイゼンライデンを漢字で書くと『愛染雷電』じゃな」
名前までカッケー。多分当て字なんだろうが・・・なんか強そう。
「オ初ニオ目ニカカリマスル。拙者、アイゼンライデント申ス者。以後、オ見知リオキヲ」
拙者!? しゃべり方まで武士っぽいのか。若干堅苦しい気もするが・・・彼が今回のクエストで【アイゼンガルド】が得た報酬か。ミネルヴァとはまた大分違う様子だな。
挨拶を終えたアイゼンライデンは、同じ【クランメカロイド】であるカイザーやミネルヴァ、インフォバルトスに合流してなにやら話し込んでいる。・・・ロボット四体がああやって並ぶとなかなか絵になるな。
「これで【アイゼンガルド】も大幅戦力アップだな。クエストに誘った俺に感謝したまえ」
【アイゼンガルド】はあくまで生産クランだったので、本格戦闘用の【クランメカロイド】を入手していなかったが、今回のクエストで入手できたことで今後の戦闘系クエストへの参加の懸念が減ったことだろう。
それによって素材の入手率が上がれば、彼らの技量も上がり、懐も潤うことに繋がるはず。彼らにとっては万々歳な結果になったはずだ。
「全て結果論じゃろうに・・・まあ、報酬が手に入ったのはお主らのおかげであることは間違いないからな。感謝はしとるよ」
「それに戦力アップしたのは君たちの方だろう? 2体目の【クランメカロイド】に・・・あれだからね」
あれ、と言ってラングが指差したのはクランホーム上空を自動航行中の【機動戦艦シュテルンアーク】である。
【収納箱】に収納できるはずの戦艦を何故わざわざ自動航行にして飛行させているのか?
戦艦を持ち帰ったアヴァンに聞いてみると・・・
「ただの自慢なのだ」
・・・確かに【レギオンガルド島】を訪れているプレイヤーたちがざわざわしているのが見えるな。なんというか、新しいオモチャを自慢する子供みたいだが・・・気持ちは良くわかるので、そのまま見せびらかしておくことにしよう、うん。
「まったく・・・あれだけの戦艦だったら、相当に高額だっただろう? 僕たち【インフォガルド】だって二の足を踏んで検討中だったって言うのに、君たちと来たら・・・」
「即断、即決、即行動が俺たちのモットーだからな」
確かに高額ではあったが、それに見合うだけの価値はあった・・・かどうかは今後の活躍次第だな。まだまだ改造の余地がふんだんに残ってるし・・・お金の力って偉大だな(笑)
ただ、お金が大事っていうのも確かだ。今後、どんな商品が出てくるかもわからないし、もしかしたら戦艦以上に強力な【兵器】だって売りに出される可能性だってある。その時にお金が無いと泣きを見ることになるのは自分たちなのだ。
「まあ、今は今後の心配より戦力アップが先決なんだけどな」
なにせ、またいつゼルクたちが襲ってくるかわかったもんじゃないからな。備えあれば憂いなし、戦の勝敗は9割がた事前準備で決まるって言うし、できることはできる内にやっておかないと。
しかし、確かにラングの言う通り、今日一日で大幅に戦力がアップしたな。ミネルヴァの加入、【機動戦艦シュテルンアーク】の購入、俺に関しては【機天ガジェット】の力まで、な。
ただ、【機天ガジェット】の力についてだが・・・実はアタッシュケースの中身を既に確認して内容を把握済みだったりする。ただ、【機天ガジェット】の力を使うには制作作業が必要なようで、戦力になるのは間違いないのだが、今すぐどうこうというわけにはいかないみたいだ。これに関しては明日以降だな。
で、ここまでも十分に戦力アップだとは思うのだが・・・実はまだあったりする。まあ、これも今すぐどうこうってわけにはいかないものなんだが・・・
俺は庭に設置されたテーブルの上にそれらを並べて見る。
【天龍の魔石 ☆13】
天龍の心臓ともいわれている力の結晶
【刀剣の大精霊石 ☆13】
刀剣の大精霊の力を宿した石
【ゼクシオンジェネレータ ☆13】
大出力エナジーを生成する動力源
「・・・これは?」
ラングの疑問に俺は簡潔に答える。
「アーテルたちが神々の試練をクリアした報酬としてもらってきたらしい。・・・本来であればこれでアーテルたちを進化させられる・・・はずだったんだがなぁ」
俺は深くため息をついた。
(*・ω・)*_ _)ペコリ
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