頭と機械は使いよう
「えーっと・・・胡椒(故障)?」
「正解! お兄ちゃん、やるね!!」
って、なぞなぞじゃねぇか!!
おいおい、【天凱十二将】の試練がそれで良いのか!・・・と一瞬思ったが、よくよく考えてみれば【力天ブレイズ】の時も、【魔天ウィズダム】の時も、初対面の時はお遊びというかゲームから始まったんだった。
【天凱十二将】の試練は2回目の試練はガチンコ対決だったが、1回目の試練は人となりを見る程度なのかもしれない。そもそも該当する【称号】を持っていないと試練自体受けられないから、その時点でハードルが高いしな。
となると、なぞなぞとはいえ油断して答えをミスると【機天ガジェット】の機嫌を損ねる恐れがある。
ここは一つ、真面目に真剣に答えた方が良さそうだ。
というわけで、その後も【機天ガジェット】からのお題は続いた。
「逆立ちすると機械になっちゃう生き物はなーんだ?」
「水を抜くととっても危険な乗り物ってなーんだ?」
「冷蔵庫の中にいる生き物はなーんだ?」
「ラケットで打ち上げると宇宙まで行っちゃう乗り物はなーんだ?」
「ミサイルの爆発の中でも生きてる動物はなーんだ?」
「ワンピースに使うと犬になっちゃう道具はなーんだ?」
・・・
・・
・
「・・・なかなか難しいわねぇ」
「頭の良さというより発想力が大事ですね」
・・・俺の後ろで問題を聞いていたアテナやアルマも謎解きに挑戦していたようだが、あんまり勝率は良くないみたいだ。二人とも頭が固い所があるからな。知識と発想力が大事なのだよ。
無論、俺は一人でお題を考えて全問正解しているぞ。元々、このお題は俺一人に向けられている問題だからな。後ろの二人は単なる野次馬である。
「あ、読者の皆様への答え合わせは明日の投稿で行いますんで!!」
「お兄ちゃん、急に何言ってんの?」
・・・ハッ!? 今俺は何を? なんか口が勝手に動いたような・・・気にしないでおこう。
「それじゃあ、最後の問題! デデン!!」
ようやく最後の問題か・・・しかし、楽しそうだな【機天ガジェット】。なぞなぞ問題という意味ではあと一問で俺の全勝だというのに。この子にとっては勝敗どうこうは問題じゃないってことなのかもな。
「人間がいくらこき使ってもぜーんぜんへっちゃらな道具はなーんだ?」
「・・・【兵器】(平気)」
「ピンポンピンポンピンポーン! 大・正・解!!」
「「おおー」」パチパチパチッ!
ふー、なんとか全問正解できたみたいだ。確かにとんでもなく難しい難問ってわけじゃなかったが、知識だけじゃ解けない問題っていうのは意外と難しいもんだ。なぞなぞ、恐るべし。
「いやーすごいねお兄ちゃん。お兄ちゃんなら、間違った【兵器】の使い方はしないよね」
「・・・もしかして今までの問題はそれを確認するためのテストだったってことか?」
正直、なぞなぞで【兵器】のテストをされても困るんだが・・・
「うーん、半分はそうだね! 半分はオイラの趣味!!」
オイコラ。
「でもお兄ちゃんを試していたって言うのは本当だよ?【兵器】は大事な人や物を守る為の力でもあると同時に、誰かを傷つける力でもある。だからこそ、正しい使い方を理解してないと駄目なんだよ! 人間はすーぐ【兵器】の本質を忘れて誰かをただ傷つける為だけに力を奮うようになるから・・・正しい知識と発想で【兵器】を扱わないと何もかもを壊しちゃうことになるよ?」
「・・・なんかすいません」
なんとも耳が痛い話である。
【プラネットバスターキャノン】なんか良い例だな。自分たちが暮らす星を破壊するための【兵器】・・・【プラネットバスターキャノン】を製造したのは【アースヴェルト帝国】らしいが、帝国の人間が作った物だとしたら、まさに自分で自分の首を絞める【兵器】ということになる。
【機械兵】をはじめとして明確な敵がいる以上は【兵器】は絶対必要な武器ではあるが、だからと言って破壊だけのために【兵器】を使い続ければ救えるものも救えなくなってしまう。
【兵器】の本質、それは戦う為の力であると同時に何かを守る為の力でもあるということ。それを忘れ戦う為の力だけに傾倒していては大切なものを見失ってしまうってことだな。
「・・・ふーん。やっぱりお兄ちゃん、良いね。大抵の人間は『自分には関係ない』みたいな感じでオイラの話なんてスルーする感じなのに」
「そういう奴らは大抵、後で痛い目にあって『あの時ちゃんと話を聞いておけば良かった』って後悔することになるからな。その手の失敗は俺にだってある。だからこそ、反省して次に生かしたいのさ」
人は完璧じゃない。一度痛い目にあってからじゃないと学習しないというのも、ある意味で人間らしいことではあるのだが、一度痛い目にあったのなら、そこから学習して行動すべきだ。同じ失敗を何度も繰り替えすことは無いよう努力するのも人間らしい姿だと俺は思う。
「お兄ちゃんみたいな人間が居るのなら・・・まだ人間には希望があるかな? というわけでお兄ちゃんは合格! はい、これ!!」
そう言って【機天ガジェット】はどこからか取り出して俺に渡してきたのは・・・
「・・・アタッシュケース?」
なんでここでアタッシュケース? 【機天ガジェット】の力をもらえるんじゃなかったのか?
そんな俺の疑問を察したのか【機天ガジェット】が説明を始めた。
「その中にオイラの力を作るための設計図とメイン素材が入ってるよ。残りの材料は自分で集めてね! あ、それとこれはお兄ちゃんにあげた物なんだから、お兄ちゃん一人で作らなきゃ駄目だよ。他の人の手を借りちゃ駄目だからね!!」
作る、だと? じゃあ、【機天ガジェット】の力っていうのは・・・
「それじゃあ、渡す物も渡したし、オイラ行くね! 良い加減に戻らないと他の皆に怒られちゃうし」
「え? おい!!」
もう行くのかよ、もう少し説明を・・・
「【量子テレポーテーション】!!」
と言葉にする間もなく【機天ガジェット】は光に包まれて・・・消えてしまった。
「・・・なんというか嵐のようにあっという間に去って行ったわね」
「ええ、大人びたことを言っている割りに落ち着きがない・・・まさに子供ですね」
・・・そうだな。なぞなぞ好きな所とかは特にな。
聞きたいことはまだまだたくさんあったんだが・・・しょうがない。また【神仏界】で会えるだろうし、話の続きは次回会った時ということにしよう。
「・・・あら? 何か落ちてるわよ?」
そんなアテナの声で足元を見ると・・・確かに何か妙な物が落ちていた。拾って確認してみると・・・
『ヾ(¯∇¯๑)ドンマイ』
・・・アギラの吹き出しだった。
(怒`・ω・´) フンッ! (ノ・ω・)ノ ポーイ!!
見た瞬間、真っ二つに割ってポイ捨てしてやったぜ(笑)!!
「さて、帰るか」
「・・・ええ」
「そうしましょう」
こうして俺たちは微妙な雰囲気のままクランホームへ戻るのだった。
(*・ω・)*_ _)ペコリ
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