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発進GO!!

「ミネルヴァはまだ目覚めたばかりでLv.1、戦闘も不慣れだろう。俺とアークカイザーがメインをやるから、アークミネルヴァは後方支援に回ってくれ」


「了解デス」


「・・・了解デアリマス」


カイザーが素直に了承する一方でミネルヴァは若干不満げだ。それでも文句を言わず了承するのは自分の力不足を承知しているからだろう。Lv.50程度なら今の俺たちからすれば取るに足らない敵でもミネルヴァからすれば圧倒的にレベルが上だからな。


【クランメカロイド】の実力は操縦者の力が強く反映されるから、ミネルヴァ自身のレベルが1でも大丈夫だとは思うが・・・油断は禁物、念には念を入れておくに越したことは無いのだ。


「ミネルヴァの操縦は・・・」


「はいはいはい! 私がやるわ!!」


アテナの奴、ぐいぐい来るな。自分が提案したミネルヴァの名前が採用されて浮かれているのか?


・・・ちょっとアテナが暴走しないか心配だな。


「興奮しすぎですよ、アテナ。私も同行きます」


俺と同じ懸念を抱いたのか、アルマがアテナについて行ってくれるようだ。アルマが一緒ならアテナの暴走を食い止めてくれるだろう。・・・多分。


「よし、それじゃあ格納庫に行くぞ。そこから出撃できるはずだ!」


さっそく購入した格納庫と発進カタパルトを使う時だ! と思っていると部屋の地面に人一人が通れるほどの()が開いた。


「格納庫への直行ルートなのだ」


操舵席に座りながら親指を立てているアヴァンがそう教えてくれた。・・・フッ、さすがアヴァン、そしてこのゲームの開発者、良く分かってるな。


「よし、行くぞ! とうっ!!」


躊躇なく穴へと飛び込む俺。


「なんかこういう出撃シーン、見たことがあるわね」


「まあ、これが男のロマンというやつなのでしょう」


なんていう言葉が聞こえて来たが俺は気にしない。決して一度はやってみたかった出撃シーンを再現できてテンションが上がっているわけではない。


穴の中はというと、ウォータースライダーのような滑り台になっていて、俺は滑るに任せて運ばれていた。


そしてわずか数秒後に見えた出口から吐き出された俺は・・・


スタッ!


と華麗に着地し「きゃあ!?」「ぶっふぉあ!?」


着地した()()に背中から体当たりを食らう俺。


「アテナ、お前な・・・」


「ご、ごめんごめん。ちょっと早く飛び込み過ぎ「きゃっ!?」きゃふ!?」


「うごあっ!?」


アテナに文句を言おうとしたと事でさらなる衝撃が俺を襲う。どうやらアテナ、アルマまで()()()()()に飛び込んできたようだ。


お前らなぁ・・・()を開けないと衝突事故起こすに決まってんだろ!!


「す、すいません。ついアテナに続いてしまいました」


素直に謝ることができるのは良い事だが、まず先に二人とも、さっさと俺の上から降りてくれ。いつまでもこんな出口付近で倒れていると・・・


「クルー!」


「だうー!」


「がおー!」


「ピュイー!」


はっ!? 穴から聞こえるこの声は・・・まずい!!


「二人とも離れろ! 早く!!」


俺の上に乗っかっていた二人を無理矢理どかせ、俺自身も退避しようとした所で・・・うん、間に合わなかった。


「ぐはっ!? ぐふっ!? ぐほっ!? ぐひっ!?」


再び俺に襲い掛かった4つの衝撃。その正体は当然ながら俺たちの【眷属】であるアーテル、アウル、レオーネ、フィオレである。・・・レオーネはともかく他3人は普通に飛べるだろうに。なんで()()()くるんだよ。


って、まだ全員じゃないな。さすがにこの後に来るヤツに乗っかられたら・・・俺がつぶれてしまう!


俺は急いでアーテルたちを抱きかかえてすぐさまその場を退避。


その直後に・・・


スタッ! スタッ!


華麗に着地するカイザーとミネルヴァ。どうやら二人はちゃんと出口での着地を計算に入れた上で間を開けて降りて来たようだ。


それを見て最後にすればよかったと後悔する俺。


「オマタセシマシタ・・・? ドウシマシタ?」


「何カアッタノデアリマスカ?」


「・・・いや、特に何も」


ちょっとお約束のおマヌケを演じてしまっただけだ。


それにしてもアテナもアルマも結構おも・・・いや、なんでもない。


『あーあー、テステス。聞こえているのだ?』


と、そこでどこからかアヴァンの声が聞こえて来た。艦内放送?


「聞こえてるぞ」


こっちの声がアヴァンに届くのかはわからないが一応答えてみる俺。


『おー、アルクの声が聞こえるのだ。どうやらちゃんと双方向に会話できるようなのだ。・・・おっと、今はそんな事を確認している場合ではないのだ。無事に格納庫に着いたなら急いで発進準備してほしいのだ』


そうだった。敵さんが近づいてきてるんだったな。呑気に茶番している場合じゃなかった。


格納庫は・・・うん、カイザーたちが【クランメカロイド】になっても余裕なほど広い空間だ。まあ、現状はただ広いだけで何にも置かれていない空き倉庫みたいな空間だが・・・まあ、そこは今後の課題だろう。


「んじゃあさっそくカイザー、ミネルヴァ。【メカロイド】化だ」


「「了解!!」」


俺の声を聞いて二人・・・否、二体のロボットが全身からナノマシンを放出し、そのナノマシンが巨大なロボットの形を形成していく。


やがて【クランメカロイド】と成った二体がそれぞれ片膝を突き、胸部を開いて俺たちをコクピットに誘う。


「アテナ、アルマ。くれぐれもミネルヴァに無茶させるなよ」


「分かってるわよ!」


「私が見ておきますので」


アテナとアルマ、それにレオーネとフィオレがアークミネルヴァに乗り込み、胸部が閉まる。そしてゆっくりと立ち上がるアークミネルヴァ。


うんうん、やっぱり女性型巨大ロボットにはむさい男より女性が乗り込んだ方が絵になるよな。


「よし、俺たちも急ぐぞ。アーテル、アウル」


「クルッ!」


「だうっ!」


俺とアーテル、アウルも同様にアークカイザーに乗り込む。

並び立つ2体のロボット。


アークカイザーとアークミネルヴァ。


コクピットからじゃわからないが、外から見たらなかなか壮観な図じゃないか、これ。


『そこの格納庫には発進カタパルトと書かれている床が2つあるはずなのだ。機体に乗り込んだら、その床の上にそれぞれ機体を乗せるのだ』


床、床、床・・・あ、あった。ご丁寧に発進カタパルトと書かれている床がある。さらに足の印まで書かれていて、どうやら体の向きまで指定されているようだ。


その床の上にアークカイザーとアークミネルヴァをそれぞれ乗せると・・・


『よし、リフトアップなのだ!』


アヴァンの音声と共に天井が開き、俺たちが乗っている床が文字通りに()()()()()()()()。まるで舞台の上に役者を登場させる舞台装置みたいだな。


ウィーンと機械的な音声を出しながらせりあがった床は、やがて二機を戦艦の甲板へとたどり着かせた。


その甲板、二機の目の前にはそれぞれに【クランメカロイド】を発進させるためのカタパルトが戦艦前方に向かってのびていた。


『発進カタパルト、起動完了なのだ。・・・発進タイミングはそれぞれの機体に任せるのだ』


どうやらこれで発進準備OKらしい。


ちょうど戦艦の前方には目標であるカニメカの姿もある。


「よし! カイザー、ミネルヴァ、発進だ!!」


俺の叫びに二機が応える。


「了解デス! アークカイザー、発進!!」


「アークミネルヴァ、出撃デアリマス!!」


発進カタパルトによって戦艦から高速で射出される二機の【クランメカロイド】。


黒き二体の巨大ロボットが漆黒の宇宙を舞う。

(*・ω・)*_ _)ペコリ


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