名前は大事 パート2
「戦艦と言えばやっぱりヤマト、ナガト、ムサシとかじゃないですか?」
「宇宙戦艦の方かと思ったのだが、アスターは実在する方の戦艦押しなのだな。我としてはオリジナリティを押したいのだ・・・グランディスシップとかどうなのだ?」
・・・戦艦の名前についてアスターとアヴァンが熱い議論を交わしていた。
アンドロイドのお姉さんの指示に従って戦艦の操舵室に向かっている俺たち。その間に戦艦の名前をどうしようかと考えていた。
なお、戦艦の名付けに関して意見を出しているのは主に男性陣だ。女性陣に関してはミネルヴァの時に懲りたのか燃え尽きたのか飽きたのか興味ないのか、あまり積極的ではなかった。
「はいはいはーい! プシュパカ・ラタとかどうっすか!?」
「・・・なにそれ?」
・・・訂正、アシュラも積極的だった。ちなみにプシュパカ・ラタというのはインド神話に登場する空飛ぶ戦車の事だ。・・・アシュラってやけにインド神話に詳しいな。なんでだ?
まあ、それはともかく俺も当然ながら戦艦の名前を考えてはいるのだが・・・
「うーむ・・・戦艦と言えばやっぱりアークエン・・・」
俺が某有名アニメ戦艦の名前を言いかけた所で・・・アテナの顔が目に入った。おうふ、そういえばアテナが持つ【聖護神セラフィナの加護】で呼び出す【天使】が【アークエンジェル】だったな。
・・・うん、この名前は無しだな。いろいろ被ってるし紛らわしい。
「・・・はぁ」
「ちょっと! 人の顔見てため息つかないでよ!?」
抗議の声を上げるアテナ。確かに今のは俺が失礼だったな。フォローしないと・・・
「大丈夫だ! アテナはスタイルはラミ〇ス艦長に負けて・・・ない? だろうから!!」
「何の話よ!? しかも、そこまで言ったのならはっきり最後まで言い切りなさいよ!!」
いやー、断言しちゃうとそれはそれで艦長ファンから反感を買いそうだから却下(笑)
どうどうとアテナをなだめながら、カイザーにも確認する。
「カイザーはどうだ? 案は無いか?」
カイザーも結構知識を身に着けてきてるからな。・・・ムダ知識も多いみたいだが。何かしら思いつく名前もあるだろう。
「ソウデスネ・・・ノアズアーク、ナドハドウデショウ」
・・・うん、大洪水が来ても耐えられそうな名前だな。ついでに高度な人工知能とか積んでそう。
「モシクハ・・・ゴーイングメ「それはだめだ!!」」
気持ちはすっごくよく分かるが、その名前を使って良いのは某海賊一味だけだ!!
いかんな。俺が言うのもなんだが、このままではネタに走った名前に決まりかねない。俺も真面目に考えないと。
こんな感じで話し合いを続けながら、俺たちはようやく操舵室へとたどり着いた。
・・・やっぱり全長300mクラスの戦艦となると操舵室までたどり着くのも一苦労だな。ちょっと巨大にし過ぎたか? 艦内の設備もほとんどないし・・・これだけの大きさなら色々設置できるだろうし、真面目に設置した方が良い設備を考えておこう。
全員で操舵室を入ると、昨日乗った戦艦と同じの部屋・・・ではなかった。
部屋の壁、上下左右、前面後面全てに外の様子が映し出されており、中央には車の運転席のような操舵席が設置されているところまでは一緒だったが、その操舵席の後方に大量の椅子が設置されていた。
多分、戦艦のクルー全員が座るための椅子なのだろう・・・が、なんだろうな。スクリーン張りの部屋に、大量に並んでいる椅子。なんかのアトラクションか映画館みたいだ。
「なんというか予想した戦艦の操舵室とは違いますね」
戦艦に乗ったことが無かったアスターがそんなことをつぶやいた。
うん、俺も最初にこの光景を見た時はそう思ったよ。もっとも、本当に本格的な戦艦の操舵室にしてしまったら、俺たちの方が困っていただろうがな。
多分、戦艦運用に関しては一人でも操作できるようにいろんなものをオミットして簡略化されているんだろう。一応、戦艦ショップには『本格運用操舵室』っていうのも売られていたが・・・そこまでやるかは今後の話し合いだな。
そんなわけで俺たちは操舵席で操舵する一人を決めようとしていたのだが・・・
「ここはリーダーであるアルクに任せるのだ」
「良いのか? アヴァン。こういう機械系はアヴァンの独壇場だろ?」
「我は昨日も操舵を行ったのでおおよそは分かっているのだ。それにこの戦艦はクランの持ち物でもあるのだ。だからクランのリーダーが最初に操舵すべきなのだ」
・・・考えすぎな気がするが、皆も異論が無いみたいだし、それなら俺が一番手をもらうことにしよう。だが、俺やアヴァン以外にも操舵自体はできるようになってもらうからな。いざという時に操舵できませんじゃせっかく買った戦艦がもったいないし。
俺が操舵席に着席すると、目の前にホログラム上の入力画面が現れて、戦艦名の入力を求められた。
「さて、そろそろ戦艦の名前を決めなきゃいけないわけだが・・・」
うん、白熱していた話し合いも落ち着いてきたようだ。ミネルヴァの時と同じように各々が案を一つずつ厳選して本人に・・・って戦艦には自我が無いから本人に決めさせるのは無理だ!
なので・・・
「「「「ジャンケン、ポン! ポン! ポン!!」」」」
平等に公平にジャンケンで決めることにした(笑)
数百回にも及ぶ大ジャンケン大会の結果、ようやく戦艦名が確定した。
フッ、長く険しい戦いだった・・・数十回に及ぶアイコの連続、そして勝ち残ったメンバーだけで再び続くアイコ・・・まさか普通のジャンケンで何百回もやる羽目になると思わなかった。心なしか手首が痛いぜ。
ただ、それほどの激戦が続いた結果なのか、皆、勝ち残った名前で納得してくれた。
誰が勝ち残ったのかって? フッ、そんなことどうでも良いじゃないか。
皆が決めた皆の名前・・・それで良いじゃないか!
「な、なんかアルクが聖人オーラを放っているような気がするわ!?」
「・・・ジャンケンで聖人になれるのですか?」
ツッコミ無用! というわけでさっそく戦艦名を入力。
それが終わると『ウェルカム!!』という文字と共に全ての操作が可能になった。
マニュアルも出てきたが・・・ふむふむ、前回アヴァンが言っていたように車の運転とほとんど一緒だな。細かい操作はもっと勉強が必要だが・・・発進させるだけなら問題なさそうだ。
「んじゃ皆、席に着いたか?」
「「「「OK!」」」」
アテナたちだけじゃなくアーテルたち【眷属】組の席まであるのは素直にありがたいな。
さて、これで発進準備完了だ。
戦艦の前面にあったハッチが開き、その先に広大な宇宙の光景が広がっている。
んじゃ・・・行くか!!
「【機動戦艦シュテルンアーク】・・・発進!!」
(*・ω・)*_ _)ペコリ
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