戦艦ショップ
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「いらっしゃいませ! どのような戦艦をお求めでしょうか? 個人用戦艦から超ド級戦艦まで各種取り揃えておりますよ!!」
・・・なんという斬新な売り文句。
戦艦ショップなるものの情報を得た俺たちはさっそく、その場所までやって来た。
やはりというか、戦艦が購入できるというのはプレイヤーたちにとっても魅力的なようで、道中には大勢のプレイヤーが押し寄せている様子だったが、いざ戦艦ショップエリアへ続く扉を潜り抜けると、そこには店員さんらしきアンドロイドがいるだけだった。
どうやらここからは個別設定になるようだ。他のプレイヤーたちと鉢合わせにならないのは助かる。これがもし共用設定だったら長蛇の列が出来上がっていた事だろうしな。
なお、店内は多少広めの部屋に、アンドロイドのお姉さんが座っているカウンターがポツンと置かれているだけだったが、彼女の後ろの壁に大きな窓が設置されていて、そこから戦艦ドックの様子が見てとることができた。
「戦艦ショップのご利用は初めてでございますね? 初めてのお客様には戦艦の購入・運用に対する注意事項がありますのでご説明させていただきます」
「あ、はい」
注意事項があるのか・・・まあ、戦艦だからな。扱い注意なのは当然か。あとどうでも良いが、このアンドロイドのお姉さんめっちゃ流暢かつ早口だな。聞き取るのがやっとなんだけど。
凄い早口で説明してくれた彼女の注意事項をまとめるとおおよそこんな感じだった。
・戦艦の大きさは自由に変更可能、ただし大きさに応じて料金も高くなる
売り文句で言っていた個人用戦艦だのド級戦艦だのはこういう事らしい。一人しか乗らない程度の戦艦ならお手頃料金で購入できるし、何百人というプレイヤーが乗り込めるくらいの大きさならそれ相応にお高めな値段になってしまう。
一応、料金さえ払えば宇宙要塞並みに超巨大な戦艦にもできるらしいが・・・値段を試算して貰ったら俺たち【アークガルド】の総資金のさらに何十倍という資金が必要だと出たので、現状ではとてもじゃないがそんな巨大戦艦の購入は不可能だ。
・武装やオプションを取りつけ可能
初期状態の戦艦はクルーザーのような形状をしているが様々なオプションを購入、取り付けを行うことで形状を変えられるのだそうだ。さらにオプションの中には戦艦の機能を強化・・・例えばスピードアップの為のブースター、防御力アップの為の装甲追加なんてものもあるらしい。
そして武装・・・これがある意味本命だな。俺たちが使っていた戦艦は機関銃程度の武装しかなかったが、購入できる武装の方は結構なヴァリエーションかつ高威力なものもあるみたいだ。もちろん、お値段お高めだが・・・ここで購入する以外にもレシピだけ購入して自作するという手もあるらしい。
・戦艦内部に設置できる部屋、設備については戦艦の大きさに依存する
これは内装の話だな。戦艦内に個人部屋や工房、食堂などを設置することができるそうだ。ただし、当然ながら設置できる設備にはそれ相応の大きさやスペースが必要なものもあるわけで・・・戦艦にもそれ相応の大きさが求められる。要するに物理的に設置不可能な設備は設置できないわけだな。
逆に言えばそれ相応のスペースのある戦艦なら、それこそ、この拠点のように家や店を建てたりすることもできるそうだ。・・・それに意味があるかどうかはともかくとして。
・損傷度が100%になった時点で使用不可
戦艦には俺たちが普段使っている武器や防具と同じように消耗度というものが存在し、敵から攻撃を受けたりするとダメージが蓄積されていく仕様のようだ。
そして100%まで損傷したら航行不能となり、使用することができなくなる。もし戦艦使用中に損傷度が100%まで達して航行不能になった場合・・・その時点で強制的に外に放りだされてしまうそうだ。もしそこが宇宙空間だったら・・・デッドエンドである。
・一部の場所、イベント、クエストでは使用不可
戦艦は基本的に空中や宇宙だけではなく海中でも航行することができるが、当然ながら戦艦が入り込めないようなせまい場所やプレイヤー・NPCが密集する街中などでは使用することはできない。他にもイベントやクエストの内容によっては戦艦を使用することはできないそうだ。
この辺りは当たり前のような気がするが・・・まあ、中にはわかっていてもやるようなアホなプレイヤーもいるからな。戦艦で街中に突っ込んだり、ダンジョンに突撃かまそうとしたり・・・なお、あんまり悪質だと警告が出るらしい。
ちなみに戦艦は【収納箱】に収納可能だそうなので使用しないときは仕舞っておきましょう、とのこと。戦艦まで仕舞えるとは【収納箱】ってすげぇな(笑)
とまあ、こんな感じの事をわずか5分足らずで説明しきったよ、このアンドロイドのお姉さん。一回もかまなかったし、こちらから口をはさむ余裕もまったくなかった。まあ、しゃべり終わった後質問を受け付けてくれたから、独りよがりってわけではないみたいだが。
質問してみて驚いたのはここで購入できる戦艦は【機甲界】以外の世界でも普通に使用可能なのだそうだ。つまり、他の世界でも戦艦を使って宇宙に上がることができるというわけだ。一気に探索範囲が広がるな。
さらに使用条件を満たしてさえいれば戦闘に利用することもできるらしい。空に浮かべて援護爆撃とか、戦艦に乗って逃亡だとか、な。PvPにおける戦艦対戦艦なんてこともできるそうだ。
・・・世界観やらゲームバランスやらが若干心配になるが、まあ俺が心配することじゃないか。
「ふむ、おおよそわかったのだ・・・それでどうするのだ? アルク」
「当然、購入一択だ!!」
ここまで来て購入しないなんて選択肢は無いだろう。なんせ俺たちはトーナメント報酬で資金だけは唸るほどあるからな。ぐえっへっへ(成金的笑い方)
というわけで資金の方は問題ないので、後は俺たちがどんな戦艦にしたいかだけだ。というわけで俺たちは全員で相談しながらどのような戦艦にするかを決めていく。
結果、こんな感じになった。
・戦艦 全長:300m 全体カラー:黒
・戦艦用サイドブースター×2
・戦艦用攻撃砲台×10
・格納庫
・発進カタパルト
・・・俺たちのクランの規模で300m級の巨大戦艦が必要なのかという疑問が出たが・・・俺は!どうしても!! 格納庫と発進カタパルトを取り付けたかったのでごり押しした(笑)
戦艦用サイドブースターに関しては戦艦の推進力を飛躍的にアップさせるオプションで戦艦後部の左右に一機ずつ設置した。さらに攻撃用に戦艦の上部や側面に攻撃砲台も取り付けた。
あとは艦首にも何か設置したかったが・・・巨大ドリルを付けるか、巨大ブレードを付けるか、巨大エナジー砲を付けるかで揉めたので今は保留した。
ちなみにこれだけ揃えてお値段、ちょうど1億Gである。・・・【レギオンガルド島】ほどではなかったが結構な値段の衝動買いだった。反省も後悔もしていないがな!!
「・・・はい! これで購入は完了しました!! 既にご用意できておりますので、これからさっそくご搭乗になられますか?」
「「「「はやっ!?」」」」
購入と同時にもう納品かよ!? なんていう俺たちのツッコミを無視して、アンドロイドのお姉さんが何やら操作すると、後ろの壁が開いていき・・・そこには俺たちが注文した通りの戦艦の姿があった。
・・・ここはゲームの世界、多少不自然でも気にしない気にしない。別に誰が困るわけでもないしな。
「それではあちらから戦艦内にご搭乗いただき、操舵室へと上がってください。そこで戦艦の操作方法についての説明があります」
お姉さんが指差す先、戦艦の側面にある扉が開いていた。どうやらあそこから乗り込むことができるようだ。
さっそく和気あいあいと戦艦に向かう俺たちに対し、お姉さんは最後にこう告げた。
「なお、発進する前に戦艦の名前をお決めになってくださいね。名前の入力は操舵室で行えますので」
・・・戦艦の・・・名前?
(*・ω・)*_ _)ペコリ
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