エナジープッシュ
俺とアーテル、アウル、カイザーで【エナジーハザード】に立ち向かう。
一方でアギラはゼクシオンジェネレータの方へ。この場にいる中で機械系の操作が一番できるのはアギラだからな。まあ、カイザーにもできるのかもしれないが・・・そうすると俺たちは【クランメカロイド】という切り札が使えなくなってしまうからな。
一番の戦力が抜けてしまうのは痛いが、他に選択肢も無い。
【エナジーハザード】を【プラネットバスターキャノン】の砲身区画までおびき寄せ、区画ごと切り離して宇宙空間に放り出す・・・問題はアギラの作業時間がどれくらいかかるかだが・・・今はアギラを信じて任せるしかない。
その間に俺もできることをする。
「【勇撃強化ブラスト・ラッシュパンチ】!!」
ドドドドドドドッ!!
【エナジーハザード】に接近し、俺は拳の弾幕を放つ。
直に殴りつけている分、俺の拳に感触が伝わってくるはずなのだが・・・手ごたえがねぇ。拳が当たった瞬間、熱とピリッと静電気でも食らったような違和感こそあるが・・・物理的に何かに当たったという感触が無い。
やはり、奴のエナジーの体には触ることはできなさそうだ。炎の中に腕を突っ込むように、もしくはむき出しの電源ケーブルを掴んで感電するように、こちらの方がダメージを追ってしまう。
だが全く効果が無いかと言われるとそうでもない。
【エナジーハザード】のエナジーを四散させるのは当然のこと、奴を多少ながらも身じろぎさせることに成功していた。
ふむ・・・さっきほどの【閻魔天の魔術】を使った【魔法】よりも威力は少ないはずだが、奴を吹っ飛ばすという点においてはこちらの方が効いているような気がするな。
【武術】と【魔法】の違いか?
いや、さっきの【魔法】はあくまで奴のエナジーを四散させることを目的に体全体を攻撃したものだった。対して今のパンチは一方向からの攻撃で、拳の一発一発に力を乗せた散発的な攻撃。
下手に満遍なく攻撃するよりも一点に集中した攻撃の方が吹っ飛ばし効果が高いという事だろうか。
「マスター!!」
カイザーが叫びが聞こえたのと同時に、今度は【エナジーハザード】の方から攻撃を仕掛けて来た。
またエナジー弾・・・ではなく、今度は全身からレーザーを放ってきた! 【グランディスアーマー】の【全方位レーザー】をパクられた!!
なんて考えている余裕は無く、回避する俺たち。
レーザーはまずいな。初動が遅れたら避けるのが間に合わず直撃を食らってしまう。
ただし、今回においては俺たちには逃げ場所がある。
「みんな、こっちだ!」
「クルッ!」「だうっ!」「了解デス」
それは【ゼクシオンジェネレータ】の前。奴は自らの力の源である【ゼクシオンジェネレータ】を破壊することはできない。なので射線上に【ゼクシオンジェネレータ】がある場合、レーザーを撃つことはできなくなるのだ。
当然、アギラの作業を邪魔しないために【ゼクシオンジェネレータ】本体からは離れてはいるが・・・【エナジーハザード】にとっては【ゼクシオンジェネレータ】は諸刃の剣と言った所だろう。
「むっ?」
と思ったら、今度は【エナジーハザード】がパンチを繰り出してきた。
なるほど・・・レーザーは俺たちを誘導するための罠だったのか・・・ってそんな知能まであるのか? コイツ? いずれにせよ俺たちに逃げ場がない事には違い無い。なんせ、奴は全身からレーザーを放ったまま殴りかかってきているんだからな。
レーザー自体は【ゼクシオンジェネレータ】に当たらないように配慮しているようだが・・・逃げ場を封じた上で俺たちに直接攻撃を仕掛けてきたようだ。
「クルーーー!!」
「だうっ!!」
アーテルとアウルがすぐさま反応し、【レーザーブレス】と【オービットソード】を【エナジーハザード】の拳へと向ける。
・・・が、【エナジーハザード】が巨体なだけだって二人の攻撃だけでは止めることができない。
そこへすかさず、カイザーが拳へと接近。その両手には【グランディスバンカー】をそれぞれ装備している。
「【グランディスバンカー】ダブル! ・・・アタック!!」
【エナジーハザード】の拳に向かって二つのバンカーを打ち込むカイザー。
しかし、それでもなお、【エナジーハザード】の拳をその勢いを弱める程度の効果しかなかった。
・・・が、少しでも勢いを弱めることができれば十分だ。
俺はその隙に奴の拳の下側に潜り込む。そして・・・
「【羅刹天の豪力】!!」
BPを消費して一気にパワーを爆上げして・・・
「【勇撃強化ブラストキック】!!」
思いっきり蹴り上げる!
ドゴッ!!
BPを一気に消耗してしまったが、効果は抜群だ。
強化に強化を重ねた一撃で奴の拳を跳ね上げることができた。
しかも、だ。今の蹴りで奴の拳部分のエナジーを四散させることができただけでなく、絶え間なくレーザーを放ちまくっているせいか、奴の体がどんどん小さくなっている。
どうやら【エナジーハザード】は俺たちが攻撃を仕掛けて四散させる以外にも、自らがエナジー弾やレーザーなどの攻撃を行うごとにもエナジーを消費していくらしい。随分と難儀な体をしているな。
まあ、そのために【ゼクシオンジェネレータ】からエナジーを補給しているんだろうが・・・って、また【ゼクシオンジェネレータ】からエナジーを吸収し始めた!
「【勇撃魔導結晶の障壁】!!」
俺は結晶の壁を奴の前に作り出してエナジー供給を食い止めようとしたが・・・駄目だった。いかに巨大な結晶の壁を作り出してもこの広大な空間を完全に遮断できるだけの壁を作り出すことはできない。
川の流れを板一枚で食い止めようとしているのと同じで、一部分はエナジーを遮断できても、それよりも多くのエナジーが【エナジーハザード】へと流れていく。
くそっ! これじゃあ、こっちの消耗がたまっていく一方だ。
アギラはまだなのか・・・そう思ったその時。
この部屋の壁の一部分が開いた。そこには【エナジーハザード】が通り抜けるには十分すぎるほどの巨大な扉が出来上がっていた。
同時に俺の元に吹き出しが飛んでくる。
『お待たせしました。砲身区画へと通じるハッチを開きましたので、後はあの奥まで【エナジーハザード】を押し込めれば、パージすることができます』
ようやく来たか! あとはアークカイザーで・・・いや、その前に俺も回復しておかないと。
俺が【ポーション】を取り出している間にも【エナジーハザード】はどんどんエナジーを補給している。・・・まずいな。奴の方が早く動き出しそうだ。
「クルッ! クルッーーー!!」
どうしたものかと思っていると・・・アーテルが騒ぎ始めた。まるで・・・「僕に任せて!!」とでも言うかのように。
「・・・行けるのか、アーテル?」
「クルッ!」
・・・「もちろん!」と言っているようだ。それなら・・・
「頼む、アーテル!」
「クルッーーー!!!」
俺のゴーサインを受けてアーテルが雄たけびを上げると・・・全身から黒いオーラを放ち始めた。
おいおいおい、これってまさか・・・・
「クルァアアアアアアア!!!」
それはアーテルが忌み嫌っていた・・・【魔龍覚醒】の姿だった。
(*・ω・)*_ _)ペコリ
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