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エナジーチャージ

もしかして【エナジーハザード】の動きが鈍いのは、奴が【ゼクシオンジェネレータ】からいくらでもエナジーをチャージできるから、俺たちの攻撃を避ける必要もないってことなのか?


だとすれば俺たちはかなり舐められていることになるが・・・実際の所、俺たちの攻撃がこうもあっさりなかったことにされたのはかなりショックだ。


「エナジー増大! 攻撃、来マス!!」


「!?」


そんな俺たちにはお構いなしに今度は【エナジーハザード】の方から攻撃を仕掛けてくるようだ。


カイザーの叫びが耳に届くのと同時に俺たちは全員、その場から退避する。


それとほぼ同時に【エナジーハザード】は全身を発光させたかと思うと、無数のエナジー弾を体中から放ってきた。


「ちぃ、無茶苦茶しやがるな!?」


部屋全体に降り注ぐ強力な弾丸の雨・・・どうやらこの動力部はかなり頑丈に造られているようだから大丈夫のようだが、そうでなかったら、部屋中穴だらけになっていたかもしれん。


しかし、それよりも注目すべきなのは・・・【エナジーハザード】の攻撃は【ゼクシオンジェネレータ】に()()は当たっていないという所だ。


やはり、【エナジーハザード】は()()()()【ゼクシオンジェネレータ】が生み出すエナジーを利用しているな。だからこそ、自ら【ゼクシオンジェネレータ】を攻撃するようなことはしないし、俺たちが【ゼクシオンジェネレータ】を破壊しようとすれば奴は全力で阻止してくるだろう。


逆に言えばあの【ゼクシオンジェネレータ】を破壊されたら奴も困るという事なのだが・・・俺たちの方も【ゼクシオンジェネレータ】を破壊できない理由がある。


「・・・アギラ、あの【ゼクシオンジェネレータ】を破壊せずに【エナジーハザード】を倒せると思うか?」


俺は、すぐ近くで攻撃を回避しながら飛翔しているアギラ・・・そういえばアギラって普通に空飛べるんだな?・・・なんて考えながら語り掛けた。


ちなみにそんな俺たちの様子を見たアーテル、アウル、カイザーが俺の指示を待たずに【エナジーハザード】へ攻撃を仕掛けた。奴の注意を引くと同時に作戦を練る時間が稼いでくれているのだろう。ほんとにできた【眷属】たちで俺は嬉しい。


『・・・困難極まるという所でしょうか。考えられる案としては【エナジーハザード】のエナジーを一気に削り取り、【ゼクシオンジェネレータ】からのエナジーをチャージする時間を伸ばしつつ【ガティアスコア】を攻撃する、といった所でしょうか』


アーテルたちの働きを無駄にしないためにも何とか奴を倒す方法を考えなきゃいけないわけだが・・・やっぱりそうなるのか。


先ほど【エナジーハザード】が【ゼクシオンジェネレータ】からエナジーを吸収するのには若干の時間があった。そう・・・()()ではなく()()だ。


つまり、少しの時間だが猶予があったわけだ。おそらく失ったエナジーと同等量のエナジーを吸収するのに時間がかかったからだろう。


とはいえ、ほぼ数秒程度だったのだが・・・それは俺たちが削り取ったエナジーが少なかったからだろう。もっと大量に奴のエナジーを削り取れれば、それだけ奴がエナジーを吸収するのに時間がかかるはずだ。


「ちなみにアギラの攻撃では奴のエナジーをどれだけ削れていたんだ?」


すぐに元に戻ったとはいえ、アギラの攻撃は【エナジーハザード】の頭部を吹っ飛ばしたわけだ。つまり、それなりに奴のエナジーが削り取れていたはずだが・・・


『チャージ前の状況から察するに・・・約8%と言った所でしょうか』


・・・やはり【閻魔天の(アークワイズ・)魔術(ウィズダム)】より威力が高かったのか、あの技。


まあ、それは今更だから置いておいて・・・それでも8%程度なのか。


累計すると俺たちの攻撃で約15%ほど奴のエナジーを削れていた計算になるな。それはつまり15%程度のエナジーなら数秒で回復してしまうという事でもあるのだが・・・となるとかなり厳しいな。


奴を追い詰めるには今以上の・・・【閻魔天の(アークワイズ・)魔術(ウィズダム)】のさらに何倍もの威力を持った攻撃を加えなければいけないことになる。とてもじゃないが現実的じゃない。


せめてもっと人数がいたら継続的に奴にダメージを与え続けて、エナジーチャージを阻止することもできたかもしれないのに・・・今の俺たちだけじゃ厳しい。


『第二案としては・・・捨て身覚悟で【ゼクシオンジェネレータ】を破壊するという手もあります』


「・・・」


・・・捨て身というのはつまり、【ゼクシオンジェネレータ】を破壊すると宇宙空間で活動できないプレイヤーや【眷属】は死に戻ってしまうということだ。


このゲームは環境に関してもかなりシビアで、例えば水中なんかでも【水中行動】のようなスキルを使い続けていなければ死に戻ってしまう。例外は最初から水の中で暮らしている生物や環境に左右されない【精霊】、もしくはロボットくらいだ。


問題なのは俺の知る限り【宇宙行動】みたいな宇宙空間で生身で行動できるようなスキルは見つかっていないということだ。つまり、【ゼクシオンジェネレータ】を破壊すると必然的に生き残れる者はかなり限られてくることになる。


「・・・一応聞くが、アギラは宇宙空間でも活動できるのか?」


『無論です。貴方は・・・【マキナ】になれば大丈夫でしょうが、他にも【クランメカロイド】がいるのですから、こ()()()()()()()()()()問題ないでしょう』


・・・そうか。【メカロイド】化したアークカイザーに乗り込んでおけば問題は無いのか。宇宙空間での戦闘といったら巨大ロボットの王道だしな。


しかし・・・


「・・・それはつまり、アテナたちを見捨てることになるんだよな?」


動力源である【ゼクシオンジェネレータ】を破壊すればこの【宇宙要塞ヴィヴェルグ】のすべての機能が停止してしまう。当然、要塞内の空気も消えるだろう。さすがに一瞬で消えることは無いだろうが・・・要塞内で【ガティアス】に取り憑かれた【機械兵】たちと戦っているプレイヤーたちにはかなりの負担になるだろう。


仮に宇宙空間でも平気なプレイヤーがいたとしても、要塞内にいるプレイヤー全員が全員大丈夫というわけではないだろう。むしろ少ない方だと思う。そんな状態で生身のプレイヤーが死に戻ったら戦力も激減・・・全滅もありうるわけだ。


そのことにアギラも気が付かないはずがない。


つまり、アギラが言った捨て身というのはそういう意味も含まれているというわけだ。俺たちも含めた全プレイヤーが全滅する前に【エナジーハザード】を倒せ、と。


心情的にも実力的にも時間的にもその他諸々的にも第二案は厳しすぎる賭けだぜ。分の悪いを通り越してほぼ敗北確定の賭けじゃないか。


うーん・・・せめて俺一人だけだったら・・・99%勝ち目は無くとも1%の勝利を信じて賭けに出るのも悪くなかったんだが・・・今回、賭けに出て犠牲になるのは俺じゃないんだよなぁ。


「というわけで却下だ。ここは()()()で行く。これは決定事項だ。異論反論その他諸々は一切認めない」


暴君よろしく、俺は俺が考えた第三案を強行することを宣言する。


『・・・ほほう? 私としては二択の内、どちらかと思っていましたが第三案を思いついたのですね。しかし・・・せめて詳細を説明してから決定してほしいのですが( ̄3 ̄)ブーブー』


ブーブーじゃねぇだろ。本当はアギラだって考えついてるだろうに。


「第三案は・・・あの【エナジーハザード】を切り離すんだよ。あの【ゼクシオンジェネレータ】から・・・否、この【宇宙要塞ヴィヴェルグ】からな」

(*・ω・)*_ _)ペコリ


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