エナジーアタック
アギラが張ったバリアから飛び出し、【エナジーハザード】からの攻撃を避けながら四方に散る俺たち。
そして・・・
「【双刃・疾風連斬】!!」
俺が放った無数の斬撃が、
「クルー!!」
【成体】化したアーテルが放った【レーザーブレス】が、
「だうー!!」
アウルが放った【オービットソード】が、
「【グランディスミサイルランチャー】発射」
カイザーが放ったミサイルの数々が、【エナジーハザード】に着弾していく。
【エナジーハザード】が巨体なだけあって・・・あとはなぜか避けるそぶりを見せることもなかったため、俺たちの攻撃は全て奴に直撃した・・・のだが、
「あんまり効いてるように見えないな」
確かに俺たちの攻撃は、【エナジーハザード】の体を斬り裂き、穴を空け、四散させることができたのだが、それは所詮、奴の体のほんの一部だけだ。しかも、まるで水が流れ込むように傷も穴もすぐに塞がっているため、表面上はすぐに元通りに戻ってしまっているように見える。
そのせいで、こっちの攻撃が効いているのかどうかがいまいちよくわからない。
弱点である【ガティアスコア】を狙うのが一番手っ取り早いのだが、【エナジーハザード】はコアを自身の両手で覆い隠し、俺たちの攻撃から守っていた。
アギラが言っていたように、やはりあのエナジーの体が邪魔なようだ。だが、問題はあとどれだけ攻撃を加えれば奴のエナジー体を四散させることができるか、だ。
「・・・ん?」
思案している俺の前にひらひらと紙みたいなものが・・・何かと思ったらアギラの吹き出しだった。
『今の攻撃で敵のエナジーが約0.2%飛散しました。攻撃は間違いなく効いています。この調子でガンバo(・`ω´・)○))』
・・・ガンバじゃねぇよ。
お前も戦えよ・・・と思ったら当のアギラが【エナジーハザード】の顔部分にまで飛んでいき・・・
「【ラグナショック】」
【エナジーハザード】の顔を吹っ飛ばした。
すまん、アギラもちゃんと戦ってたんだな。しかも俺たちより強力な攻撃繰り出してるし。
それでも【エナジーハザード】の顔がすぐさま元に戻るが・・・いや、よく見るとほんの僅かだが体が小さくなっている。
なるほど・・・どうやら【エナジーハザード】は減った分のエナジーを他からまわしてきて元通りに戻っているように見えるだけで、奴のエナジー総量自体は攻撃を受けるたびに減っていくわけか。
つまり、俺たちの攻撃は着実に奴のエナジーを削っていっている。そしてこのまま攻撃を与え続ければ、奴はあの体でコアを守れなくなり、俺たちでもトドメをさせるようになるってことか。
攻略法がわかったのなら、俺たちがやるべきことはただ一つ。
「みんな! 攻撃を続けるんだ! 奴の体を削り取れ!!」
「クルー!!」
「だうー!!」
「了解デス」
『(◎`・ω・´)b』
・・・なんか一人だけふざけた返事を返した奴がいた気がするが、今はそんなことを気にしている場合じゃない。
「【勇撃強化・双刃・疾風連斬】!!」
俺もより強力な斬撃を奴に食らわせる。
さっきの俺たちの攻撃でたった0.2%しか奴のエナジーを削れなかったということは、それだけ奴のエナジー総量が多いということだ。おそらく奴はレイドボスだから、大量のプレイヤーとの戦いを想定して、それだけのエナジー総量を持っているのだろう。
時間が無制限だったら、地道にダメージを与えていくんだが、残念ながら今回は制限時間がある。ちんたらしていたらあっという間にタイムオーバーだ。
だからこそ・・・
「【閻魔天の魔術】!」
出し惜しみせず、どんどん大技を繰り出して行かないとな。
「始の術式【ウォーターストーム】!」
最初に巨大な水の嵐が【エナジーハザード】を包み込む。
「繋の術式【サイクロンストーム】!」
さらに追加された風の嵐が【エナジーハザード】の体をきつく縛り上げる。
「終の術式【サンダーストーム】!!」
最後に追加された雷の嵐が水と風の嵐と融合、風の勢いと水の導電によってさらに強力な嵐となって【エナジーハザード】に襲い掛かる。
『・・・素晴らしい威力です。今の攻撃で【エナジーハザード】のエナジーの5%は削り取りました』
いつの間にかそばによって来ていたアギラが俺を褒めたたえるが・・・それでも5%程度か。レイドボスであることを考えると一人で5%も削り取れたことは誇るべきことかもしれないが、俺たちだけで【エナジーハザード】を倒す事を考えると・・・道のりは遠いな。今の内に【MPポーション】で回復しておかないとな。
『これは私もうかうかしていられませんね・・・というわけで本気で行きましょう』
と言ったアギラは両手を構えると・・・
「右手から【ラグナヒートフィスト】、左手から【ラグナフリーズフィスト】・・・」
アギラの右手が赤く輝きだし、左手は青く輝きだす。さらに両手を・・・
「熱冷融合!」
組んで一つの拳にする。赤と青の輝きが一つとなり、黄金の輝きとなって・・・
「【ラグナバニシングトルネード】!!」
アギラは組んだ両手を突き出した状態で回転しながら、【エナジーハザード】に突撃していった。
ドゴッッッッ!!
おお! 【エナジーハザード】の体に大穴を開けて貫いたぞ!
すごい威力だ・・・しかも中二心をくすぐる、なかなかかっこいい技だ。俺も覚えたい。
まあ、それはともかく・・・今のは大分効いただろう。しかもアギラは俺と違ってまだまだ余力を残しているようだ。・・・なんかすごい実力差を感じるが、今は置いておこう。
この調子で行けばそう時間もかからずに【エナジーハザード】を倒すことができるはずだ。
・・・なんてフラグっぽいことを考えていたら、案の定、動きがあった。
ただし、動きがあったのは【エナジーハザード】ではなく要塞の動力源、【ゼクシオンジェネレータ】の方だった。
バチバチバチバチバチッ!!
【ゼクシオンジェネレータ】から大量のエナジーが放出され、そのエナジーを【エナジーハザード】が吸収していく。
どんどん膨れ上がっていく【エナジーハザード】は程なくして元の大きさへと戻っていた。
「・・・」
『・・・回復されてしまいましたね。最初からやり直しのようです( ̄ロ ̄lll)』
戻って来たアギラがそんなことを言っていたが・・・言われんでも見ればわかる。
考えてみたら奴は最初から【ゼクシオンジェネレータ】から出てきたエナジーで体を作っていたわけで・・・【ゼクシオンジェネレータ】がすぐそばにあるんだからエナジーなんて補給し放題じゃないか!
「・・・先に【ゼクシオンジェネレータ】から壊すべきだったか?」
諸悪の根源は【ガティアスコア】でも【エナジーハザード】でもなく、あの【ゼクシオンジェネレータ】だったようだ。おそらくあれがある限り、奴を倒すことは・・・
『それも一つの手だと思いますが・・・【ゼクシオンジェネレータ】はこの要塞の動力源でもあるのですよ? つまり、あれを破壊すれば、この要塞内のあらゆる装置の動作が停止します』
ゲッ!? それってまさか・・・
「それって要塞内の重力装置とか空気生成装置とかも?」
『もちろんです』
つまり、宇宙空間に放り出されたのと同じ状態になるわけか。となると要塞内のプレイヤーたちは・・・
『ジ・エンドですね( *˙ω˙*)و グッ!』
グッ・・・じゃねぇだろ!?
(*・ω・)*_ _)ペコリ
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