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動力部

「クルー?」


「だう?」


「・・・?」


再会をかみしめる俺たちだったが、当然のことながら俺と一緒にいたアギラを見て疑問符を浮かべていた。それも無理もないことだろう。恰好や髪と瞳の色こそ異なるが、その顔はアテナやアルマ、そしてアニスと同じなのだから。


一応、アーテルたちはアギラを目撃してはいるはずなのだが、アーテルとアウルは記憶を封印され、カイザーはアギラ自身の手によって記憶を消されているので、3人からすれば初対面ということになる。


ここで困ったのがアギラを3人にどう紹介するのか、だ。


敵か味方かと聞かれれば、敵に近いのだが・・・今現在、敵対しているわけでもないんだよな。かといって味方かと言われれば・・・どうだろうな。裏でコソコソ動いていたことは事実だし、完全に信用しきるには危険すぎる。何より本人は人間否定派を自負しているので人間である俺の【眷属】を良く思っていない可能性もある。


しかし、一から全てを説明するには時間が足りない。


なので俺は簡潔に説明した。


「ああ、こいつはアギラ。味方・・・ではないが敵でもない、と思う。俺に襲い掛かって来たウィキッド()の仲間だが、ウィキッド()を敵視ししてて、アニス()の仲間でもあるから敵には違い無いんだが、今の所は俺の敵と敵対していて、一時共闘しながら敵を倒しているんだ」


・・・敵という言葉がゲシュタルト崩壊を起こしそうな説明だな。案の定、アーテルたちの反応はというと・・・


「「「?????」」」


『・・・余計に訳が分からなくなったという顔をしていますね』


通じなかったか・・・まあ、当の俺も何言ってるのかわからなくなっていたが・・・ただ、嘘だけは言ってないんだよなぁ、これが(笑)。


なるほど、こんな風にややこしくなるからアギラはあらかじめアーテルたちを【召喚】しておけと言ったんだな。確かに戦闘中だったら、混乱して致命的な隙になっていたかもしれない。


だが、この状況ではなぁ・・・


埒が明かないと思ったのか、アギラは自ら自己紹介を始めた。


『初めまして・・・ではないのですが、私はアギラ。・・・アルク(この人)にいい様に扱われた挙句、無情にも切り捨てられる運命の哀れなアンドロイドです』


「「「!?」」」


「うぉおい!? 何言ってんだよアギラ! 俺がそんなことするわけ無いだろ!?」


まるで俺が同棲中の彼女をこき使うクズニート男みたいじゃないか!? しかも切り捨てられるってなんだよ!?


『おや? 違うのですか? つまり私とは戦わず、見逃してくれる・・・と?』


・・・おうふ、しまった。


確かに俺はアギラと戦ってでも【禁断の(フォビドゥン・)(ボックス)】を取り上げようと考えてはいたが・・・そういう意味では最終的にアギラを()()捨てることになってたかもしれないが・・・意味が違うだろう!


無論、こんなのは言葉遊び程度でしかない・・・のだが、言質を取られたのも事実だ。ここで俺とアギラが対決することになれば、アーテルたちは俺の味方をしてくれるだろうが・・・アギラの所業を知らないアーテルたちから見たら俺の方に問題があるように見えてしまうだろう。


時間をかけて説明すればわかってくれるとは思うが・・・しこりが残りそうだな。


そう俺が考えることまで計算した上で発言したというのなら・・・アギラは相当したたかで計算高い女性ということになる。


・・・おっかねぇ。世の男どもはこうやってしたたかな女の手の平で転がされていくんだろうなぁ。


しかしだ! 俺もやられっぱなしというのは性に合わない!!


「・・・そ、そうだ! アギラ、お前以前にカイザーを問答無用で破壊したよな? カイザー自身は覚えていないようだが・・・借りがあるよな!?」


あの時のは戦いとは言えない不意打ち・・・言い換えれば卑怯な手段で襲われたと言える。被害者であるカイザーはアギラに文句の一つでも言って良いと思うんだ。


『・・・確かにそうですね。わかりました・・・そこのロボット、一発私を殴りなさい。時間が無い今はそれで手打ちということでお願いします』


が、アギラの方はなぜか肉体言語による謝罪を提案してきた。やられたらやり返すという意味では間違っていないと思うが、急に殴れと言われて殴れるほどカイザーは冷酷無情じゃないぞ。


案の定、カイザーは躊躇している。


「・・・測定完了、戦力差計算・・・マスター、対象ノ強度ハ本機ノソレヲ遥カニ上回ッテイマス。オソラク、本機ノ攻撃ハ一切通用セズ、逆ニコチラガダメージヲ負ウ事ニナルカト」


・・・違った。カイザーはカイザーで冷静に分析していたようだ。そしてアギラの圧倒的な戦力を理解してしまったようだ。


アギラの奴、わかってて自分を殴れなんて言ったな?


思わずアギラを睨みつけるが・・・


『(^v^)フフフ・・・』


・・・笑顔の顔文字で誤魔化しに来やがった。


はぁ・・・駄目だ。口喧嘩じゃ勝てそうにない。


とりあえずアーテルたちには、今が緊急クエスト中で、これからボスに挑もうとしていること、アギラは協力プレイヤーで、他に増援は期待できないことを話した。・・・最初からこう説明すればよかったな。


アーテルたちもアギラの事は気になるようだが、一応は納得してくれたようだ。


やれやれ・・・ボスは目前だっていうのに何をやってんだ俺たちは。アギラがアテナたちと同じ顔でなければアーテルたちもそれほど気にしなかったと思うが・・・うん、全てはアギラたちが同じ顔なのが悪い。


『それでは参りましょう』


当のアギラはマイペースに動力部へと続く扉を開けた。


なんか納得できないが、無駄なやり取りで時間を消費してしまったので、俺たちは大人しくアギラについていくことにした。


===移動===>動力部


扉を潜り抜けた先は巨大で広大な空間だった。


その空間の中央に、巨大な台座のようなものがあり、その台座の上にこれまた巨大な球体が乗っかっていた。


『あれがこの要塞の動力源・・・【ゼクシオンジェネレータ】です』


「【ゼクシオンジェネレータ】?」


それって確かカイザーの進化素材の一つだったはずだ・・・あんな巨大な代物だったのか? アークカイザーの何倍もでかいんだけど。


『あれは要塞維持のために大出力・巨大化された【ゼクシオンジェネレータ】です。あくまで要塞用であって【クランメカロイド】などの起動兵器サイズは別にあります』


良かった・・・どうやらカイザーの進化のためにあれを入手しろってことじゃないみたいだ。


しかし、妙だな・・・


「・・・【ガティアス】はどこだ?」


確かアナウンスでは動力部に【ガティアス】が取り憑いたとあったが、あの【ゼクシオンジェネレータ】には【ガティアス】なんてどこにも取り憑いていないぞ?


『アルク・・・もっと上です』


上? 【ゼクシオンジェネレータ】からさらに上空の方へ視線を向けると・・・そこには巨大な【ガティアスコア】があった。


だが、なんであんな所に? しかもコア()()が宙に浮いてるように見えるんだが・・・疑問に思っていたその時、


バチバチバチバチバチバチッ!!


「うおっ、なんだ!?」


「異常出力確認、ナオモ増大中デス」


突如、【ゼクシオンジェネレータ】が火花を上げ、大量のエナジーを放出し始めた。


自爆でもしそうな勢いだったが・・・違った。


大量のエナジーが【ガティアスコア】へと集まっていく。


『・・・なるほど。【ガティアス】は【ゼクシオンジェネレータ】に取り憑いたのではなく・・・』


【ガティアスコア】へと集まったエナジーはコアを中心に巨大な人型を形成していく・・・その様はまさに光の巨人のようだった。


『【ゼクシオンジェネレータ】が生み出す高出力の()()()()()取り憑いたのですね』

(*・ω・)*_ _)ペコリ


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