動力ブロック
俺とアギラで動力部へ向かう事を、アヴァンたち皆にメッセージで送っておく。
その後すぐに、アヴァンだけではなくアテナやアルマからもメッセージが飛んできていたが、内容は大体想像できる上に時間もあまり無いので無視することにした。・・・決して読むのが怖いだとか、面倒ごとは後回しにしようだとかそういう理由では無い。
メッセージを送り終えて、アギラと共に扉をくぐり抜けると・・・そこは大小さまざまなコンテナが乱雑に置かれた広大な空間だった。
見た感じ・・・というか確認するまでもなく倉庫だな。
搬入のためなのかそれなりに広い通路が奥へと続いているが・・・道もコンテナもボロボロだな。
『ここは居住ブロックに暮らす住民向けの生活用品を管理する倉庫のようですね。とはいっても今現在、この要塞に人間が居ないので管理もされず放置状態になっているようですが』
ふむ、だからこんな荒れた状態なのか。
よく見れば崩れたコンテナから人間の衣服のような物が顔をのぞかせているな。
住民向けってことは食料や衣服などの生活用品の類が保管されてあったんだろうが、その手の類はしっかり管理されていないとあっという間に朽ちていくからなぁ。
人が居なくなり、【機械兵】たちも管理しなくなってしまった結果が今の現状・・・倉庫というよりはほとんど廃墟みたいになってるな。
なんというか・・・さっきの住宅ブロックもそうだったが、かつて人が暮らしていたという痕跡を見ると、若干の物悲しさを感じてしまうな。
『その居住ブロックを、瓦礫の山に変えてしまったのは貴方たちですけどね(´・ω・)』
「やかましい」
あれは俺がやったんじゃなくウィキッドがやったんだ。俺は悪くない。
なんて軽口をたたきつつ、動力ブロックの最深部にある動力部を目指して進む俺たちだったが、さっそく立ちはだかる敵と遭遇した。
「「「「ウォウーーーー!!」」」」
「「「「ギュイーーーー!!」」」」
犬型と鳥型のロボットか・・・これがアヴァンから連絡が来ていた【機獣兵】ってやつだな。
どれ、まずは【看破】、と。
【惑星監査兵器ヴィヴェルグ・ハウンド(ガティアス) Lv.70】
【アースヴェルト帝国】が開発した惑星監査用猟犬型ロボット。
【惑星監査兵器ヴィヴェルグ・バルチャー(ガティアス) Lv.70】
【アースヴェルト帝国】が開発した惑星監査用禿鷹型ロボット。
やはり【ガティアス】に取り憑かれているせいか、聞いていたよりレベルが上がってるな。アヴァンからの情報によればボスであるヴィヴェルグの取り巻き見たいな感じだったらしいが、より強くなってリベンジしに来たようだ。
ただ、アヴァンからは簡単にだがこいつらの特徴についても情報をもらっているから、まったく未知の敵を相手にするよりは楽なはずだ。
確か単体で攻撃してくるだけじゃなく武器にも変形するんだったな・・・もっともこの場で武器に変形しても、それを扱える奴がいないから武器化能力に関しては警戒する必要はないだろう。
基本的には普通に犬や鳥のモンスターと戦うのと同じ感じで対処できるはずだ。
ザッザッザッ!!
む? 今度は足音が多数・・・見ると、【機獣兵】たちの後方から、あのマネキンみたいな人型の【機械兵】がやってきていた。
【惑星監査兵器ヴィヴェルグ・アーミー(ガティアス) Lv.70】
【アースヴェルト帝国】が開発した惑星監査用人型ロボット。
戦闘力が強化され、様々な【兵器】を扱うことができる。
案の定、こっちも【ガティアス】の影響で強化されてるな・・・っておいおい、まさか・・・
ガシャンッ! ガシャンッ! ガシャンッ!
人型【機械兵】たちがやって来たかと思ったら、【機獣兵】たちが次々と武器へと変形していく。
それを人型【機械兵】たちが持ち・・・結果出来上がったのは強力な武装を持った人型【機械兵】たち、およそ30体。
「・・・俺はボスのヴィヴェルグと戦っていないから何とも言えないが・・・これってボス戦よりも過酷なんじゃないか?」
人型【機械兵】一体一体はヴィヴェルグよりは弱いのだろうが・・・レベルから考えてもそれに近いくらいの強者であり、かつボスと同じ武装をしているとなると・・・奴ら一体一体がボス級の敵、ということにならないか?
『隠しルートが通常ルートより遥かに過酷だなんてよくあることじゃないですか』
・・・つまり、シークレットフェーズは隠しルートであり、ハードモードでもあったっていうことなのか?
「それでも限度があるだろうに。【ガティアス】に取り憑かれていることを差し引いても厳しすぎる・・・というか、これだけの戦力が元々、動力ブロックに配置されていたのか? いくらなんでも厳重すぎだろうに」
下手したら軍事施設ブロックより厳重なんじゃないか?
『動力ブロックは発電施設を始め、【宇宙要塞ヴィヴェルグ】の生命線と言っても過言ではないほど重要な施設が集まっています。それ故に警備も厳重なのですよ』
・・・ああ、なるほど。
そういえばこの要塞は元々宇宙船だったな。広大な宇宙の中で動力が尽きれば、乗組員たちは即あの世行きになるわけだから、そりゃあ警備も厳重だよな。
・・・今の俺たちにとっては迷惑な話でしかないわけなのだが。
武器と化した【機獣兵】を構え、こちらに突撃してくる人型【機械兵】たち。
俺は【霊刀ムラクモ】と【妖刀オロチ】を取り出し、迎撃の構えを取る。
「さすがにこれだけの戦力をまともに相手していたら時間がいくらあっても足りはしない。ここは一点突破で強行突破するぞ」
アギラにも手を貸してもらう約束はしたは、さすがにここまでの敵戦力は予想外だった・・・が、俺たちの目的はあくまで動力部にいる【ガティアス】で、こいつらを全滅させることではない。
ここはアギラと協力して、一気に通り抜けた方が良いだろうと思い提案したのだが・・・
『その必要ありません』
あっさりばっさりざっくりしっとりと断られてしまった。
そのアギラはというと俺の前に立って向かってくる大量の【機械兵】たちに対して両手を向けた。
すると・・・
「【ラグナエナジーフレア】」
アギラが喋ったと同時に、彼女の手の平から大量の緑色の炎が放たれた。
火炎放射を彷彿とさせる大量の炎が勢い良く【機械兵】たちに襲い掛かり、飲み込んでいく・・・ついでに周囲のコンテナにも飛び火していく。
・・・溶けていく・・・頑強な装甲で身を固めているはずの【機械兵】も【機獣兵】も・・・まとめて焼き払われていく。
やがて炎が尽きた後、そこには・・・何も残っていなかった。残骸のひとかけらすらも。
・・・あの大量の敵を・・・一撃だと?
『私と共闘してよかったでしょう? o(`・ω´・+o) ドヤァ』
・・・その通りなのだが・・・そのドヤ顔、腹が立つな。
「というか今、普通にしゃべったよな?」
『技名を口に出すのはお約束ですよ?』
・・・それは必殺技を放つ時のお約束なのでは? いや、確かに必殺技にふさわしい威力だったとは思うが・・・必殺技を放つ時の気合が入った声じゃなくて、群がってくる虫に殺虫剤を振りまくくらいのお手軽さだった気がするんだが?
「っていうか喋れるんなら吹き出しじゃなくて普通に喋れよ」
いちいち吹き出しを経由してやり取りするのが面倒だ。あと顔文字も。
『私と会話したいのなら・・・好感度を80まで上げてください』
「ギャルゲー!?」
違うゲームになっちまうだろ!!
「・・・ちなみに現在の好感度はいくつくらいだ?」
『7くらいですね』
「少なっ!?」
ほぼ0じゃねぇか!?
『ちなみにウィキッドは-100ですよ』
・・・ウィキッドの奴、相当嫌われてるな。まあ、当然だが。
(*・ω・)*_ _)ペコリ
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