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ボレアス

しばらくたって、俺とアギラを覆っていた黒い布は取り払われた。


黒いの布は不気味な仮面のもとへ集まっていき、人型を形成していく。その姿は地上で見たボレアスそのものだった。


・・・トーナメントでボレアスの戦いぶりを見た時から、あのマントの中がどうなってるのか見てみたかったのだが・・・今、見ていた感じだと空っぽだったよな? どうなってんだ、コイツの体は?


それに気になることはもう一つ・・・なぜ、俺たちを助けた?


ハンゾウ(偽)は【秘密結社DEATH】の下っ端連中を操って手駒にしていた。ハンゾウ(偽)がたまたま適当に選んだにしては全員が全員、【秘密結社DEATH】の人間であることは不自然だ。


だから、ハンゾウ(偽)と【秘密結社DEATH】には何らかの関係がある・・・もしかしたらボスであるボレアスがハンゾウ(偽)なのかも・・・と考えていたのだが・・・どうも違うらしい。


「あひゃひゃひゃ! こりゅあ、想定外のお・きゃ・く・さ・ん・だ・ぜー!?」


空中で静止していた俺たちのすぐ近くにハンゾウ(偽)・・・否、ジェスター(偽)がやってきた。


・・・ジェスター(偽)の姿に戻っている? そういえばあれだけ大規模に広がっていた影も消え失せている。アギラが言っていた通り、奴の力も限りがあるということか。


その力を使い果たしたために攻撃を止め、ジェスター(偽)の姿に戻っている、と。


逆に言えば今のジェスター(偽)にはヤマトタケルやハットリハンゾウほどの力はないということになる。


そんなジェスター(偽)をボレアスが睨みつけている。


どうやら二人が同一人物だというのは()()()()()()()()()()()()。それどころか、この雰囲気・・・とても友好的な関係だとは思えないな。


「・・・我が部下を操っていたのはお前か」


!? ボレアスが喋ったぞ!? トーナメントでは一言も喋らなかったくせに・・・しかも奇抜な恰好のわりに渋い男性の声をしてやがる。


「あひゃひゃひゃ! 操ったってーのは人聞きがわ・る・い・ぜ? ちょーっとばかし協力してもらっただ・け・だ・ぜ! そうカリカリすんなよボ・レ・ア・ス・くぅーん?」


うわぁ、ジェスター(偽)の奴、相変わらずのいやーな話し方で挑発してやがる。


だが、今のやり取りを聞いている限りだと、どうも二人には接点は無いようだな。となるとジェスター(偽)が【秘密結社DEATH】の人間を使っていたのは偶然ってことなのか?


どちらにせよ、ボレアスは怒っているようだ。表情の方は仮面のせいでわからないが全身から怒気を発しているし、黒いローブも激しく揺れている。


「おおっと、ボ・レ・ア・スくぅーん? 俺っちに怒るのは筋違いじゃね・え・か・なー? おたくの部下をことごとく葬ったのはそこのア・ル・ク・だ・ぜー?」


・・・!?


まさか・・・ジェスター(偽)は俺とボレアスがつぶしあうことを狙って【秘密結社DEATH】の連中を使っていたのか!?


確かにジェスター(偽)の力を知らなければ、単に俺と【秘密結社DEATH】の下っ端連中がいざこざを起こしているようにしか見えなかっただろう。


俺からすれば正当防衛以外の何物でもないのだが、【秘密結社DEATH】は元々ガラの悪い連中の集まりだ。こっちの言い分なんか信じはしないだろう。むしろ因縁つける良い口実だと考えるかもしれない。


そんな連中なボスであるボレアスが、俺が【秘密結社DEATH】の下っ端連中を次々と葬っていたと知ったら・・・仮にも部下が倒されたわけだし、立場的にも突っかかって来るだろうな。


実際にはジェスター(偽)の思惑通りにはならなかったようだが。


「・・・おかしな行動を取る者たちがいることは気が付いていた。そいつらが【アークガルド】の連中を張っていたこともな。だから、連中をマークしていたら・・・案の定だ」


あー、地上でボレアスが俺のことをじっと見ていたのはそのせいだったのか。


確かに【アークガルド】のリーダーである俺を張っていれば、何が起こっているかは見極められただろうが・・・って、コイツ、今の今まで俺を見張っていたのか? 全然気づかなかったんだが・・・コイツはコイツで只者じゃないってわけか。ハンゾウ(偽)の攻撃だって防いでいたわけだしな。


「あひゃひゃひゃ! なぁーんだ、ば・れ・て・た・の・か! んーで? それを知ったおたくはど・う・す・る・ん・だ?」


「決まっている・・・」


ボレアスの黒ローブがざわざわと動き始める・・・トーナメントの時も思ったがあのローブ、普通のローブじゃないな。


「落とし前はつけさせてもらう」


ボレアスがそう言うと、黒ローブがジェスター(偽)の元へと伸びていった。ローブは塊となり、まるで拳のような形となっている。


「あひゃひゃひゃ! そいつは御免こ・う・む・る・ぜ!!」


対するジェスター(偽)は、大鎌を取り出して、ボレアスの攻撃を防いだ。


そして二人はそのまま激しい攻防を繰り広げ始めた・・・あれ? 俺、置いてけぼり?


どうもボレアスが俺とアギラを助けたのは、俺たちのためというわけではなく、単にジェスター(偽)への当てつけだったようだ。事態を把握した以上、俺達には用は無い、もしくは後回しといった所か。


敵の敵は味方・・・とはならないらしい。現にボレアスは俺たちに見向きもしない。


完全に俺たちに背を向けているから、少なくともこちらを攻撃するつもりはないようだが・・・なんとなく背中が「邪魔をするな」と語っているような気がする。


しかし、力が弱まっている今なら、俺にとってもジェスター(偽)を倒す絶好のチャンスだ。この機を逃すわけにはいかない。


とはいえ、アギラを抱えたまま戦うのは不可能、かといってそこらに放りだすわけにもいかないし・・・

とりあえず【グランディスチェイサー】を呼ぼう。


【グランディスチェイサー】に乗っけて、そこら辺を飛び回らせておけば多少は安全なはずだ。


・・・ん?


アギラの奴・・・何か掴んでるな。これは・・・()()()()!? なんで吹き出し!? なんでコイツ、吹き出しなんて持ってんの!?


はッ!? こ、これはまさか・・・アギラのダイイングメッセージ!?


アギラ・・・今際の際に何か残そうとしたのか?(注:死んでません)


もしかしたらジェスター(偽)への対処法が書かれているかも・・・俺はさっそくアギラの手から吹き出しを取り出し、読んでみる。


『 バタンキュー\(+×+)/』


・・・このまま投げ捨ててやろうか、コイツ。


こんなときまでふざけるとは・・・ん? 吹き出し、もう一枚あるな?


『彼の言葉に騙されないでください。彼は既に貴方に嘘を付いています(・ω<) 』


・・・どういうことだ? あと顔文字うぜぇ。

(*・ω・)*_ _)ペコリ


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