修羅場40分前
何故、俺とアギラが修羅場っているのか?
そこに至るには長く、険しく、複雑怪奇かつ意味不明な道のりがあるわけなのだが・・・順を追って説明することにしよう。
時はさかのぼること40分ほど前、俺はヤマト(偽)がアテナたちや他のプレイヤーたちに余計な迷惑をかけないようアギラを囮に使って(笑)、居住ブロックへと駆け込んだ所から話は始まる。
===回想===>40分前
「おーとーこだったーらー、ヘッド! ショット! バキューン!!」
パァァン!!
居住ブロックにある、とある建物の上からヤマト(偽)の追っ手である世紀末野郎どもを【グランディススナイパーライフル】によって狙撃し、仕留める。
「フッ、またつまらぬ物を撃ってしまっ『(((((;`Д´)≡⊃』グフォ!?」
おい、アギラ! 今、吹き出しを投げやがっただろ!? その吹き出し、着脱可能なのか!? 物理攻撃可能なのか!? ツッコミ可能なのか!? 俺にも教えて!!
『つまらないことを言ってないで、もう少し真面目にやるべきなのでは?』
「失敬だな。俺は真面目にやってるだろ」
パァン! パァン! パァァン!!
『真面目にモヒカンたちの脳天に吹っ飛ばしているのは見てて理解できる』
真面目に脳天吹っ飛ばすってどういう状況だよ。・・・言ってることは間違ってないけど。
ちなみに、この要塞の居住ブロックだが・・・普通に住宅街だった。とても宇宙要塞の中とは思えない光景なのだが・・・まあ、火星にあったドームの中もこんな感じだったし、ガン〇ムやマ〇ロスのコロニーにだって中に街があったりするし、こんなものなのかもな。
『長期間にわたる宇宙航行に伴う精神的ストレスを軽減するために、極力、生活感が出る設計になってる』
というのがアギラの談。だから、なんでお前はそんなことを知ってるんだよ。
まあ、それはともかく俺とアギラはそんな住宅街にある一軒家の屋根の上から、暢気に道を歩いている世紀末野郎どもを狙撃している真っ最中なわけである。
自分は安全な場所に身を隠しつつ、一方的に狙い撃ちする鬼畜な俺である。クックック。
既に結構な数の世紀末野郎どもを仕留めているわけだが・・・
『私が聞きたいのは本命が来た時の対処法をどうするか』
「ああ・・・」
おっと・・・確かに今、俺が一番に考えなきゃいけないのはそれか。こうして奴の先兵どもを蹴散らしていけば、最後には奴自身が出張ってくるのは目に見えている。
問題はその時にどうすれば良いのか、だ。
奴の力・・・【固有能力:模倣者】。
今現在、判明している奴の力は三つ。
他者の力をそっくりそのままコピーする【模倣擬人】、強力な武器を性能ごとコピーする【模倣擬物】、相手に自分の意識の一部をコピーして植えつける【模倣擬植】だ。
【模倣擬植】を受けた世紀末野郎どもは今、俺が蹴散らしていっている。連中を全滅させれば、あとは他のプレイヤーたちの邪魔さえ入らなければ【模倣擬植】は実質無効化できるはずだ。
・・・ん? そういえば・・・
「あの紀末野郎どもの【模倣擬植】の効果って何時まで続くんだ?」
普通にHPを0にして退場させてはいるもの、ペナルティの無いクエストなのでまた戻ってくることが出来るわけで・・・戻ってきたら、またヤマト(偽)の手下になって俺に襲い掛かってくるのだろうか?
もしや・・・【模倣擬植】を解除させないとエンドレスで世紀末野郎どもの相手をしなきゃいけないのでは・・・
『私が聞いた限りでは【模倣擬植】の効果はあの男の力配分で効果時間が変化すると聞いている・・・ただ、あのモヒカン男にかけられた【模倣擬植】は微弱なもののはず』
微弱? つまり比較的簡単に解けるということか?
「ふむ、その心は?」
『【固有能力】は無制限にいくらでも使えるわけじゃない。限度も限界もある。特に力の併用はキャパオーバー必死。つまり・・・』
・・・そうか。今にして思えば【模倣擬人】や【模倣擬物】を使っている時に、世紀末野郎どもが出てこなかったのは妙だった。あの力に加えて人的戦力まで十分だったら俺は逃げられなかったはずだ。
ヤマト(偽)が直接追って来なかったことを考えても、奴の力には限りがあるわけだ。
「つまり、【模倣擬人】と【模倣擬物】に力をまわしていた分、【模倣擬植】への力配分が少なくなっている、ってことか?」
『そう、だからHPを0にするだけのダメージを与えていれば、【模倣擬植】の効果は十分に切れているはず』
ふむ・・・ということはあの世紀末野郎どもは一度退場させることができれば、もう戻ってくることはないと考えて良いみたいだ。
後はヤマト(偽)の対処だけを考えれば良い、と。
「あとは、どうにかして奴の力を無駄遣いさせれば俺にも勝機があるということか」
『まあ・・・できれば、ね (*ゝω・*)』
アギラの奴・・・俺には無理だと思ってやがるな(怒)
というか、アギラの奴・・・一応、ヤマト(偽)の仲間のくせに、奴の力をベラベラと話しても良いのかよ。
『私、あの男が嫌いなので( ̄ー ̄)b』
・・・・それで良いのか。まあ、こいつらが仲間割れしてくれるのならそれはそれで俺にとっても都合が良いか。
あ、また世紀末野郎どもが・・・
パァン! パァン! パァァン!!
・・・ふむ、いい加減、世紀末野郎どもも全滅した頃合いかな。
それはつまり、そろそろヤマト(偽)が出張ってくるというわけでもあるわけだが・・・まだ具体的な対処法が思い浮かんでないんだよなぁ。
とりあえず一旦身を隠すか? 奴はアギラを追っているわけだから、クエスト制限時間までアギラを連れて逃げ回れば少なくとも他のプレイヤーたちに迷惑がかかることはないだろう。
その間に奴への対処方法を考えれば・・・うん、それが一番現実的かな。
「おい、アギラ・・・」
ザクッ
「・・・え?」
『・・・!?』
振り返った先にいたアギラ・・・その体を一本の刀が貫いていた。
刀の出どころ・・・それはアギラの影だった。
影から刀が・・・いや、腕が出てきていた。
さらに腕だけでなく、頭が、体が、足が出てきた。
それは間違いなく人、しかし、その姿は・・・
「・・・アギラ殿、裏切りとは酷いではないか」
「お前は!?」
その姿は俺にも見覚えがある。しかし、この場には絶対にいるはずのない人物の姿だった。
「・・・ハットリ・・・ハンゾウ・・・?」
そう・・・その姿はまさに忍者、そしてその顔はかつて忍びの里であったハットリハンゾウのものだった。
(*・ω・)*_ _)ペコリ
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