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未完の兵器

「俺たちの勝利だぁーーーー!!」


「「「「おおおおおおお!!」」」」


スクラップとなって崩れ落ちるビッグ・ヴィヴェルグを見て雄たけびを上げるプレイヤーたち・・・どうやら我々の勝利のようなのだ。


「やったわね、アヴァン君!」


「すごい威力でした!」


「さすがの新【兵器】っす!!」


どさくさに紛れてラストアタックを横からかっさらったような形になってしまったと思うのだが、どうやら気にしている者はいないようなのだ。まあ、このゲームではラストアタックを決めたからって何があるでもないのだが・・・むしろ、いつもラストアタックを決めるポジションだったアルクのように賞賛されるのは中々気分が良いのだ。


まあ、我にとっても【グランレヴォルマグナム】の威力は予想以上だったのだ。【エナジーブーストメダル】を使った【兵器】は既存の【兵器】の威力をはるかに上回っているのだ。まさか拳銃サイズの【グランレヴォルマグナム】が、大砲サイズの【グランディスバスターキャノン】以上の威力が出るとは思わなかったのだ。


そこまでの威力があったからこそラストアタックを決められたのだ。


「マスター・・・」


ここでラストアタックを決めた功労者であるラグマリアが・・・む? 何やらいぶかしげな顔をして話しかけてきたのだ。


「ラグマリア、どうしたのだ?」


「コレヲ・・・」


ラグマリアが見せてきたのは銃身が焼き切れて明らかに使い物にならなくなった【グランレヴォルマグナム】だったのだ。


「ああ、()()()こうなったのだ・・・」


ラグマリアから【グランレヴォルマグナム】を受け取った我は、壊れ具合を確認しながら思わずそうつぶやいてしまったのだ


「・・・ヤハリ、トハドウイウコトデスカ?」


「うむ・・・この銃は【ヴァルムセル装甲】で作られているのだが、部品が足りなかったのだ。なので、一部は既存の部品を使ったのだが・・・【ブーストエナジーメダル】を利用した高出力エナジーには耐えられなかったようなのだ」


しかし、まさか一発で使い物にならなくなるとは思わなかったのだ。やはり【ヴァルムセル装甲】は高出力エナジー対応のための素材だったようなのだ。他の素材では駄目だったようなのだ。


「マスター・・・ヒトツ、イエ、フタツ、オ聞キシタイノデスガ・・・」


「む? ・・・なんなのだ?」


なにやらラグマリアの表情が・・・まあ、いつもの無表情なのだが、どことなく怒っているような感じがするのだ。


「コレガ試作品ダトイウコトハ理解デキマシタガ、一撃デ壊レタ事ヲ驚イテイルトイウコトハ・・・事前二試射等ノテストハ行ワナカッタノデスガ?」


・・・ラグマリアがイライラしているような気がするのだ。なんとなくまずい気がするのだ。


「うむ・・・メダルの数に限りがあったのだ・・・ろくにテストができなかったのだ」


十分にテストもできなかったという意味では本当に試作も試作、むしろ一発撃てただけでも設けものだったかもしれないのだ。


「モウヒトツ・・・腕ガミシミシ鳴ッテイルノデスガ?」


「・・・うぬ?」


確かによく見るとラグマリアの腕から白い煙のようなものが・・・それによくよく見ると微細なヒビまで・・・これはまさか・・・


「・・・ぬぅ、高出力エナジーの反動がここまであったとは・・・計算外だったのだ」


おそらく、STRやDEXが一定以上ないと扱えない類の【兵器】なのだと思うのだ。もしくは制作の時点で何らかのリミッターが必要なのかもしれないのだ。なんともピーキーな【兵器】なのだ。


「・・・デハ、本機ノ腕ヲコンナ風ニシタノハ、マスターノ陰湿ナ嫌ガラセデハナイノデスネ?」


「当たり前なのだ!・・・が、我の不注意なのは仕方がないのだ。素直に謝罪するのだ」


これはさすがに我が悪いのだ。黙ってラグマリアの腕を修理するのだ。


「ま、まあとにかくこれで後はコントロールルームに・・・ってアシュラちゃん、どうしたの?」


「あ、アテナの姉御・・・これを拾ったっす!!」


「え、これって・・・」


「ちょちょちょ、アシュラちゃん!?」


何やら女性陣が騒がしいので見てみると、アシュラが手に持っていたのは・・・なんと!


「生首・・・否、ヴィヴェルグの首なのだ!?」


そう、それは首だけになったヴィヴェルグだったのだ。さすがにボロボロになっていてもう動きそうにないのだが・・・


そこでクワッとヴィヴェルグの目が開いたのだ!


「「「「うわぁ!?」」」」


さすがに驚いて、思わずアシュラも投げ出してしまったのだ。地面に転がるヴィヴェルグ(首だけ)だか。目を見開いたまま何やら始めたのだ。


「・・・感謝・・・シマス。コレデ・・・ヨウヤク・・・悪夢・・・カラ・・・解放・・・サレマス」


それだけ言ったヴィヴェルグはウンともスンとも言わなくなったのだ。


機能停止寸前だったからかは分からないのだが、随分と落ち着いた様子だったのだ。流暢なしゃべり方も、片言になっていたのだ。


それにしても・・・悪夢からの解放とはどういう意味なのだ? それではまるで・・・


「・・・話も良いが、まずはクエストを終わらせた方が良いのではないか?」


と、ここでヴァラットが話しかけてきたのだ。


・・・気になることはあるのだが、こうしている間にも制限時間は着々と減っていっているのだ。ヴァラットの言う通り、ここはひとまず、コントロールルームへ向かって、当初の目標である【プラネットバスターキャノン】を止めるのが先決なのだ。


と、いうことで勝利に浮かれているプレイヤーたちにも声をかけてコントロールルームへの扉を探し始める我らなのであった。


おっと、その前にアルクに状況を伝えておくのだ。アルクの事だから、きっと肝心な所で間に合わず、悔しがると思うのだ。しかし、これもどこぞをほっつき歩いているアルクが悪いのだ。


・・・そんな我らに気づかれないように、()()()()()()()()()()()()がこの部屋の中で動いていたことを、この時の我らはまだ知る由もなかったのだ。


===視点切替===>アルク


アヴァンからこの要塞の司令官を撃破した旨のメッセージを受け取った頃、俺とアギラはというと・・・


『・・・』


「・・・さて、どういうことか説明してもらおうか?」


俺はアギラの後頭部に銃口を突き付けながら、アギラに問いかけた。


そう、俺とアギラは・・・絶賛修羅場中だった。

(*・ω・)*_ _)ペコリ


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